スピアフィッシャー [2026/02/18,09:20:08]
いつもはあまり興味がないのだが、今年発表された25年度「植村直己冒険賞」はいい。かなり驚いたのだが、この人の本なら読んでみたい、と思わせる偉業だ。受賞したのは由利本荘市出身の小坂薫平さん。30歳だ。東京海洋大に在学中に始めた、素潜りで巨大魚を突く「スピアフィッシャー」という競技で、4メートルの手もり漁で100キロ超えのマグロを捕るなど、6つの世界記録を樹立している若者だ。潜水68メートル、息止め6分45秒って、君は魚か。空気ボンベや水中銃を使わず、もり一本で挑戦するというのが、何ともかっこいい。こうした若者に賞を与える選考委員もセンスがいい。たまたま秋田の若者だったわけだが、「できる限り海と対等でありたい」というコメントが泣かせる。注目の若者である。
薬局 [2026/02/17,10:58:57]
薬を買いに行った薬局で、対応していた若い男性薬剤師がくずり落ちるように倒れた。周りには若い女性薬剤師らが数人いたが、ほとんど騒がず、静かに、電話で救急車を呼んだ。こちらは何が起きたのか、わからない。大学病院のそばなので、すぐに救急車が来た。何事もなかったかのように男性は運ばれていき、私も薬を受け取って帰ってきた。女性たちは平常時そのままに、業務を続けていた。時折、心配そうな表情で、倒れた同僚のことを一言二言、会話をかわしていたが、病人を見慣れているとはいえ、その冷静な対応力に感心した。大きな声を出すものも一人もいなかった。もしこのメンバーに40代くらいの男性リーダーがいれば、ここは俺が仕切る、俺の出番だ、とばかりに大声で指示を出し、非日常的な動きで、「やってる感」をだしていたかもしれない。若い女性って度胸が据わっているんだなあ。
スキー [2026/02/16,10:25:32]
すっかり屋根の雪が消えてしまった。空の明るさがちょっぴり「春の予感」をちらつかせている。ふた昔前、仕事場の前は広大な田んぼだった。1町歩はあったろうか。冬は雪野原で、よくノルディックスキーのまねごとをした。こんなことを思い出すのもテレビのオリンピック中継の影響なのだろう。ある時、私が田んぼで一人滑る(歩く)のを、じっと見続けている人がいた。お隣の奥さんだった。「楽しそうですねぇ」と声をかけてくれたのだが、後から彼女はスキーの名門、湯沢北高の有名なノルディック国体選手だったことを、人づてに聞いた。それからきっぱり、田んぼで滑ることをやめた。顔から火を吹くほど恥ずかしかったのだ。その奥さんも夭逝し、隣の家はいつのまにか空き地になった。ずっと空き地のままだったのだが、最近、新しい買い手が付き、今月、新築の家が建った。もうノルディックスキーをすることはないだろうが、隣の奥さんが目の前の田んぼでスキーをする姿を一度見て見たかった。
ゴミ [2026/02/15,10:27:17]
このところ天気がいい。街の雪もとけて歩道に雪のないところが増え、歩きやすくなった。そこで、いつものデジカメを携えて「路上観察」の散歩へ出た。HPの「拙者の散歩道」で掲載している写真を撮るためだ。予想通り昨日の路上は「宝の山」だった。雪の中に埋まっていたゴミが、雪がとけて露出、いい具合に被写体になっていたせいだ。宝の山と言ってもゴミである。多くはタバコの吸い殻で、次が菓子袋、マスクもけっこう多い。冬場によく落ちていた「片手袋」がゼロだったのは意外だ。そういえばここ数年、落ちている手袋を目撃していない。毎年、冬になると4,5回は発見するのに、最近は見かけない。これは何か理由がありそうだ。いつもの悪い癖で、その探索に気持ちが持っていかれそうになったが、やめた。お前はいつまでゴミに興味を持ち続けるつもりか、という天の声が聞こえたからだ。
時間2 [2026/02/14,11:10:26]
また週末かぁ……年をとると時間の経過が速くなる。これは実感だ。これには科学的な根拠がある。脳が一定の時間内に認識する明確な「出来事」が少なくなり、日常の体験が圧縮されて知覚されることが原因なのだそうだ。あるコミュニケーション生物学誌に掲載された研究成果だ。高齢者の脳では神経状態の切り替わりが少なく、出来事の認識が減少し、脳領域の専門性が低下する。それが記憶や情報処理に影響を与えるのだそうだ。認識する出来事が少ないほど時間は速く感じられる。ということは新しい経験を積むことで、この感覚を緩やかにできるわけだ。 新しいことを学んだり、旅行したり、意義のある社会的交流に参加することで、体験の記録が増え、経験が豊かになるとともに、時間の感覚も長くなる、というわけだ。なるほどなあ、そういう科学(医学)的な理屈だったのか。
遅い言葉 [2026/02/13,10:46:15]
SNSは「速い言葉」だ。バスっても数日で鎮火して、アーカイブもされない。一方、小説は「遅い言葉」だ。多くの人が時間をかけて世に送り出し、読者もお金を出して買い、時間をかけて読まなければならない。根回しして、原案を作り、推敲を重ねなければ生まれない「遅い言葉」は、時代に食い込み、消そうとしても消えず、ボディーブローのようにじわじわ効いてくる……と、ある小説家が言っていた。なるほど私がSNSという「速い言葉」に興味がないことを見事に言い当てている。本を出す仕事とは別に、この半世紀ずっと、今のSNSと同じようなスタンスでミニコミを出し続けた。その折々で名称を替えながら、途切れることなく続き、いまはこのHPブログで、それは続いている。流れていく日々を言葉でつなぎとめたい、という思いなのだ。毎日の散歩や歯磨きのように、言葉で時間をつなぎとめる。無理に言葉にすればそんなところだ。
コラム [2026/02/12,09:59:43]
去年の暮れから地元の魁新報紙に月2回のコラムを連載している。お正月を挟んだので、連載はいきなり不定期になり、うまくリズムに乗れなかった。でも5回目を過ぎたあたりから、ようやく執筆リズムのようなものが体内にできつつある。「秋田のほん箱」というタイトルの連載だが、まあ毎日書いているこの「今日の出来事」の延長のような原稿だ。このコーナーを読んでくださる方には、同じことを書いてらぁ、と笑われるかもしれない。大したことを書いているわけではないからネタに困ることはない。それでも人並みに読者がどんな感想を持っか心配になる。といっても身の丈以上に自分を大きく見せたい年でもない。ありのままの身辺雑記がテーマなので、ダラダラ、あることないこと、綴っていこうと思っている。機会があればぜひ新聞を読んでほしい。
「黒い海」 [2026/02/12,09:44:05]
ハワイ沖でアメリカ軍の原子力潜水艦に衝突され9人の死者を出した宇和島水産高校の練習船「えひめ丸」事件から今年は25年目だという。この事件はよく覚えている。あの事件から7年後の08年、いわき市の第58寿和丸が、太平洋上で停泊中に沈没、17名もの犠牲者を出した事件は、なぜか、えひめ丸ほどの報道がなされなかったため、知らない人も多い。伊澤理江『黒い雨−−船は突然、深海に消えた』(講談社)を読むまでは私もその詳細は知らなかった。未だ沈没の原因が不明で、その捜査プロセスを検証したルポだ。著者はこれが初の著作で、いきなり本田靖春ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞、日本エッセイスト・クラブ賞の3冠を獲っている。執筆動機は、いわき市の「日々の新聞」の安竜編集長だ。安竜さんには私もいろいろお世話になっている。それにしても「えひめ丸と寿和丸」の報道格差というか報道量の差は、いろんな事情があったにせよ、いまも釈然としないものはある。
松家仁之 [2026/02/10,12:32:25]
選挙もオリンピックも「過熱」は嫌い。みんなが同じ方向を向くのが怖い。だからテレビは見ない。こんな時は本を読むに限る。映画もいいのだが、映画の場合は基礎知識がないから、その日の気分にあったコンテンツを選ぶ能力がない。これが本になると、読者としての自分の欠点や弱点、弱みや苦手を「熟知」しているから選択肢は豊富だ。で不自由はない。最近はわざと苦手なジャンルの本を選んだり、絶対に手を出さない作家の本を、あえて読むという冒険をしている。このところはまっているのは「松家仁之」。この作家のデビュー作『火山のふもとで』(新潮文庫)に打ちのめされ、『光の犬』も読んでしまった。いい作家だなあ。文庫本になっている彼の全作品を読破するのが今の目標で、楽しみだ。自分の知らない魅力的な現代作家は、たぶん彼以外にも多くいるのだろう。自分の偏狭さを恨みたくなるときもあるが、知らない世界に足を踏み込むのは、この年になっても勇気がいる。生きているうち、いっぱい新しい作家や作品と出会いたいものだ。
チョウ [2026/02/09,09:28:01]
動物行動学者の日高敏隆に「チョウの飛ぶ道」という随筆がある。チョウの飛ぶ道は決まっている、という少年時代の確信を、長い時間をかけて立証していく話で、これが実にかっこいいのだ。その中で、戦中、東京から秋田に疎開した話が出てくる。遠い親戚の石田精三さんを頼って大舘町に来たのだが、チョウ道の観察には適当な場所がなかった、と嘆きつつ、ファーブルの本に出てくる小さなハチがたくさんいて、その観察に精を出している。疎開した場所は栗盛図書館の隣の家、と書いている。今度大舘に行ったら訪ねてみよう。それにしても理系の科学者たちの文章は面白いだけでなく、心が洗われるような名文が多い。。寺田、中谷、湯川だけではない。

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