戦国時代
[2021/03/03,10:29:44]
文献資料の多くが残る江戸時代であれば、その資料を基にいろんな物語を作り上げることが可能だ。それ以前の戦国時代ということになると、極端に文字に残された記録は少なくなる。よって作家たちは豊かな想像力で補うしかないのだが、鳴神響一『斗星、北天にあり』(徳間文庫)はその空白の時代を描いた貴重な秋田の物語だ。16世紀の秋田の豪族、武士たちの政争が生き生きと描かれているのだが、主人公は佐竹氏が転封される前の安東愛季(ちかすえ)。このへんの時代や人物に関してはまったく知らなかった世界だ。時代小説としての出来不出来はよくわからないが、実に興味深く、一晩で読了した。安東以外の当時の為政者の動静も詳しく秋田県民にとっては戦国時代を知るうえで重要な指針になる本なのかもしれない。
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