ノンフィクション
2009年刊

検証秋田「連続」児童殺人事件
北羽新報社編集局報道部
46判・271頁 定価1800円+税
ISBN 978-4-89544-508-5

日本中を震撼させた白神山地のふもとで起きた連続児童殺人事件。畠山鈴香は、なぜ事故死と断定した警察に異議を申し立てたのか。判決をみた今も殺意を否認しつづける訳は…。不可解な事件の核心へ、被告の心の深部まで迫った、雪国の小さな新聞社の勇気ある挑戦!
冊数

はじめに(報道の意図) 007

第1部 彩香さん事件から1年
殺害自供、公判は否認へ 012
物語っていた遺体…… 014
「川を流れる」は本当か 016
住民の疑問、日毎に増幅 018
違和感抱かせる行動が 019
団地のイメージ独り歩き 021
近所につき合い求めず 023
明るく元気ないい子が…… 025
子育て手回らず? 面倒? 027
母も娘も苦しかったのか 028
「悲劇の母」演じた裏に 030
さらに暗い闇の中へ── 032

第2部 豪憲君事件から1年
愛息奪われた悲しみ深く 036
犯行動機、いまだ闇の中 038
「1カ月で2人」に衝撃 040
行方不明時点からマーク 042
「虚」が「実」に、特異な心理 044
「感情の爆発」の矛先 046
中学校では「浮いた存在」 048
自己中心的信用されず 050
関心事は常に自分のこと 053
「事件は防げたのでは……」 055
ミスと認めず、謝罪なし 057
理不尽さ、遺族に重く 059

第3部 地域再生へ
住民の心の傷は深く 064
精神的ストレス、町全体に 066
住民の心情、辛く複雑に 068
つながり問われ、自責、憤り 070
問われた集団的過熱取材 071
押し寄せて去る「取材の論理」 074
野次馬、抗議、弔意、供物…… 076
「安心 安全の空間」構築 078
児童の「心の傷」最小限に 080
2人は心の中に生き続ける 083
住民、力合わせ一歩ずつ 085
「つながり」の構築を模索 087

第4部 傍聴記・一審
「私にも分かりません」とは── 092
被告の“育児放棄”浮き彫りに 094
娘への邪険、その背景には── 097
被告、長女を邪魔にしてた 099
長女殺害「もしかしたら」 101
妻への期待裏切られ 104
2度の涙、何を物語るのか 106
食材購入も料理せずに…… 108
抱き付く長女を振り払った 111
抱き付いた娘、なぜ怖いのか 113
「子どもの事件起こそう」 115
「心神耗弱」その線引きは 128
検察と応酬、徹底して“抗戦” 120
感情の落差が大きく…… 123
少女期、青春期に疎外感 126
生活に厳しさ、八方ふさがり 128
涙交じりに「極刑を望む」 131
真相はなお未解明のまま 134
長女殺害、自供の経緯が克明 136
長女の「殺害容認」調書で対立 139
「彩香が怖かった」の真意は 141
「不当な取り調べ」と主張 144
証言の家族に厳しい現実 147
家族は「邪険な子育て」否定 149
「豪憲を返して」悲痛の両親 151
遺族を逆なでする日記 154
コントロールできない感情 156
鑑定医、事件の見方示す 159
「社会性の欠如」と「馬鹿正直」 162
鑑定医の新説、判決に影響大 165
二つの事件真相いまだに 168
「親子の見方」で殺意の有無 170
なぜ救護しなかった── 173
「自白の任意性」で鋭い対立 175
検察、三つの動機要因を示す 178
「なぜ」の問い、なお尽きぬ 180
被告の人物像に迫れたのか 183

第5部 一審・判決を終えて
喧騒に包まれた「裁きの日」 188
退けられた弁護側の主張 190
判然としない殺意への心情 192
責任能力認め、計画性認めず 194
「死刑」とのはざまに揺れる 197
長女事件の背景は他人事か 199

第6部 傍聴記・控訴審
何を物語るか被告の動揺 204
被告、何を恐れ何に脅える…… 206
本当のことを話せぬ被告 209
豪憲君事件の動機を探る 211
「豪憲に会いたい」──遺族の無念 214
性格鑑定から浮かぶ特異性 217
「心の深部」の解釈、法廷外で 220
精神鑑定が示す「心の深部」 223
検察、遺族の処罰感情を強調 225
連続性か、場当たり的か 228
一審の「健忘」認定が争点 231
被告はいまも「覚えていない」 234
両事件の真相はどこに 237
事実認定、厳しく踏み込む 240
被告否認の「殺意」を認定 243
最大の証拠は「自白調書」 246
動機、目的を解き明かす 249
複雑な心理は認定されず 252
犯行の悪質性認めつつ「無期」 255
被告、真実を語る日はいつ…… 258

取材ノート 262
事件の経過 270

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