歴史・民俗
2015年刊

若勢わかぜ
須藤 功(すどう いさお)
46判・238頁 定価1800円+税
ISBN 978-4-89544-594-8

秋田県横手地方に残る奇習「若勢(わかぜ)市(いち)」は、江戸時代から昭和10年代まで連綿と続いた奉公人市である。農業がすべて手作りだった時代、厳しい農家や農作業を支えたのは若勢たちの存在だった。「若勢」はいつどのようにして生まれ、どんな歴史をたどったのか。民俗学者、宮本常一に師事し、民俗写真家として活躍する著者が、少ない史資料を読み解き、長年にわたる調査からその全体像を明らかにする。
冊数

 はじめに──7

秋田の若勢の記録──11

若勢と若勢市/浅舞町見聞記の若勢/若勢市の将来/若勢達小屋こ/若勢市と若勢を語る──37

戦後の若勢市/契約の条件/田植までの仕事/肥料を作る/馬と若勢冬の仕事/若勢と兵隊/喜んでくれた親/酒屋若勢/江戸時代の働きと休日──73

土田家の若勢/身仕度の覚/若勢の休日/新時代の変動/景気と若勢市と農村──89

横手町の朝市/若勢市の取材記/農村の実情/紙芝居「縣南哀話」──97

婦女子の身売り/縣南哀話 絹子姉妹とその父母/農村再生のために──111

満洲移民/農村更生/青少年を送る/若勢市を調べ書く──131

昭和の調査/若勢と雇主/働く若勢/調査のまとめ/庄内地方の若勢──153

きつい奉公/農作業の基準/初めての馬耕/『善治日誌』に見る若勢──161

生家と善治/庄内の乾田馬耕/丹蔵家の若勢/日々の農作業/山仕事と制裁/一年の休日/若勢から戸主となる──191

丹蔵家の労働力/戸主となる善治/『日誌』拾遺/各地の奉公人とその市──207

漁村から農村へ/魚と米の交換/奉公市(人市)/瀧部奉公市/玄海の「女中市」/塩田の「浜子市」

 あとがき──234
 参考文献──237

著者略歴
須藤 功(すとう いさお)
昭和13年(1938)秋田県横手市生まれ。民俗学写真家。民俗学者の宮本常一に師事し、各地の普段の生活を写真で記録するとともに、生活史の研究をつづける。日本地名研究所より第8回「風土研究賞」を受ける。
著書:『西浦のまつり』『山の標的 ─猪と山人の生活誌─』(未来社)、『葬式 ─あの世への民俗─』(青弓社)、『花祭りのむら』(福音館書店)、『写真ものがたり 昭和の暮らし』10巻、 『写真集 山古志村』『大絵
馬ものがたり』5巻(農文協)など。
共著:『アイヌ民家の復元 チセ・ア・カラ』(未來社)、『日本民俗宗教図典』(法(蔵の旧字)館)、『写真集 横手』(図書刊行会)、『日本各地の伝統的なくらし』(小峰書店)、『昭和の暮らしで 写真回想法』(農文協)など。
編著:『写真でみる 日本生活図引』9巻、『銀鏡神楽 ─日向山地の生活誌─』(弘文堂)、『写真でつづる宮本常一』(未來社)、『図集 幕末・明治の生活風景』



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