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青森市と奥入瀬を結ぶ国道103号は、萱野高原から、十和田八幡平国立公園域に入る。そこから、ブナの原生林を10分ほど走ったところに、八甲田ロープウェー山麓駅がある。
ここで標高650メートル。101人乗りのゴンドラで、標高1326メートルの田茂萢(たもやち)岳山頂駅までは、10分だ。ロープウェーは、ほぼシーズンを通して運行され、八甲田連峰への最も手近な入り口として、訪れる人の波が絶えない。
「ホテルフジサワ八甲田」は、ロープウェー山麓駅と地続きのところにある。ブナ林に囲まれた南斜面のほうに、少し奥まっていて、国道側から姿を隠したシックな建物は、観光客のにぎわいからも逃れて、静かなたたずまいである。
寒水沢温泉は、平成元年の開業で、八甲田地区の温泉としては歴史が最も新しい。それだけに、このホテルで外来入浴できることは、まだあまり一般的には知られておらず、ちょっとした穴場発見、といった趣がある。
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大浴場は、ホールの階段を下りたところにある。まるで湖の底に下りて行くような雰囲気だ。
ところが、浴室の扉を開けると、そこには陽光があふれている。そして、ガラス窓の向こうはブナまたブナだ。
地下に下りていって目にするとは意外な光景だが、建物が斜面を生かした設計になっていて、2階に玄関が、1階に浴室がある造りなのである。
湯は、体を沈めてはじめて、心もち白く濁っているのがわかるくらいで、ほとんど透明に近い。肌のあたりがやわらかく、やさしい湯だ。
目の前のブナは緑のスクリーンのようだが、これが秋には黄葉し、冬は一面の雪景色と化し、春は小花を残雪に散らして、やがて新緑が芽吹く。
それを、湯船につかりながら眺められたら最高のぜいたくだが、実際、八甲田を散策がてらという感じで、毎日のように通う人もいるそうだ。さぞ、肌がすべすべになっていることだろう。
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田茂萢岳は冬から春にかけて、雄大な眺望を楽しめる絶好のスキー場となる。アフタースキーの温泉は、また格別だ。
ロッジを思わせるレストランでの昼食は、11時から15時まで。
外来入浴は12時からだが、これは朝の掃除を徹底するためで、掃除が済みしだい受け付けてくれる。
八甲田ロープウェーの始発は朝9時。山頂駅から、一周1時間ほどの、湿原を巡る遊歩道が整備されている。
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冬はスキー客のオアシスになる
「ホテルフジサワ八甲田」
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