青森県

さんぼんやなぎおんせん
三本柳温泉
日帰りガイド 青森の温泉(無明舎出版編)より
青森の温泉 津軽エリア 

正直者が薬師如来から授かったと言われる伝説の湯
入浴のみ
300

(大人)
7時〜21時
-
ところ:中津軽郡岩木町百沢字温湯7―1
電 話:0172―83―2508
FAX:0172―83―2508

 「延命柳の湯」が由来
 「三本柳温泉」は、県道3号を岩木山神社から約200メートル嶽寄りのところで左に入り、1キロメートルほど緩やかに下った高原にある。
 宿は1軒。北に岩木山を仰ぎ、背後を地蔵森と呼ばれる小山に守られて、ポツンと建っている。
 およそ170年の歴史を持つ温泉には、こんな言い伝えがある。
「岩木山の神様を大切に思っている正直者の農民が、ある夜、夢に現れた薬師如来から扇子をもらう。中には、柳の古木の絵に添えて、不思議な歌が1首、書かれていた。翌朝、扇子にあった三本柳へ行くと、そこにお湯が湧いていた」
 湯は、地蔵森に立っていた延命地蔵にちなんで「延命柳の湯」と名づけられる。「これが三本柳温泉の由来」。こう話して、女将は少女のように笑った。
 はぐらかされたようでもあるが、案外本当のことなのかもしれない。岩木山周辺には、虚実入り混じった言い伝えが多いのである。

 アトピーにも効く湯
 正直者が授かったという温泉は、明るい浴室に、とうとうと湯をあふれさせていた。泉質は含土類弱食塩泉。少し黄色みを帯びていて、口に含むと、塩気よりかすかな甘味を感じる。豊富なミネラル分のせいだろうか。
 これから湯に入ろうという女性が、女将の顔を見るなり、「うちの孫、おかげさまで、アトピーがきれいに治って」と頭を下げた。医者通いをしても一向に改善の兆しが見られなかった女の子の症状が、ここの湯ですっかりよくなった、と言う。
 長年、神経痛やリューマチなど、痛みによく効くと評判を取ってきた湯は、一方で、耐えられないかゆみも鎮めてくれる湯でもあるのだ。女将は、「よかったこと」と、ただにこにこ笑っている。

 懐かしがられる手料理
 三本柳温泉の当主は、代々、岩木山神社の氏子を務めている。秋のお山参詣のときは大忙しだが、そんな日でも、歴史の長い湯治宿らしい家庭的なもてなしは変わらない。
 周辺で採れる山菜を使った「ヤヨヱさん(女将)の手料理が食べたい」と、大女将の代から何十年と通い続けている馴染み客の多くは、関東方面からやってくるという。
 浴室にかかるのれんも、そうした客からのプレゼントだ。茨城からはサツマイモが、千葉からはワカメが、毎年、決まった時期になると届く。「元気でいます。またお世話になりますよ」という便りなのである。
 宿の前の道は、世界遺産地域白神山地の入り口にあたる、西目屋(にしめや)村へと続いている。

高原にある一軒宿「三本柳温泉」

グループの利用客は大広間で休憩

湯上がり休憩ロビー

ロビーを照らす提灯の明かり

●アクセス
弘前市中心部から県道3号で12km、15分。

●温泉データ
源 泉 名 三本柳温泉
泉  質 含土類弱食塩泉
泉  温 43度
効  能 一般的適応症のほか
      リューマチ性疾患・切り傷・
      慢性皮膚病・慢性婦人病

●利用データ
入浴時間 7時〜21時
入浴料金 大人300円
       小学生100円
休  憩  和室1人1000円(入浴料込)
宿  泊  8000円〜(1泊2食付・税別)
湯  治  3000円(素泊まり・税別)
       6000円(3食付・税別)
数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。

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