秋田県 増田町まんが美術館 |
東北おもしろ博物館(加藤貞仁著)より |
おもしろ博物館 | 秋田県増田町 |
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手塚治虫や松本零士、渡辺まさこな どまんが家多士済々の原画が並ぶ |
代表作の原画を展示した 「矢口高雄まんが工房」 |
スロープギャラリーの中心は 吹き抜けの休憩所。奥の本棚 のマンガを自由に閲覧できる |
「まんが美術館」には、この町に生息する魚や昆虫の情報コーナーがある。例えば、体長十八ミリという、日本最小のハッチョウトンボ。こんなトンボがいたのかと驚かされるが、矢口さんにとっては、おなじみのトンボだ。もちろん「釣りキチ三平」にも登場する。ふるさとの山や川、そしてそこに息づく生き物たちについて、「子どもの頃から五体にしみついた素材であり、誰にもマネの出来ない、ボクだけの世界だから、これ以上の武器はない」(まんが美術館図録)と、矢口さんは語る。少年時代の矢口さんの家は貧しかったかもしれないが、今となっては金では得られない豊かさが、その作品の土台となっていたことに気づかされる。 子どものマンガには、夢があふれている。現実には起こり得ないことも、簡単に実現させてくれる。それは、ここに原画が展示されている漫画家のだれもが同じだ。 増田町まんが美術館の初代館長は、矢口さんの高校進学を勧めてくれた恩師である。立派に成長してほしいと、教え子に託した恩師の夢が実現したのが、この美術館かもしれない。 泣かせる話じゃないか。 |
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