青森県 さんないまるやまいせき 三内丸山遺跡 |
東北おもしろ博物館(加藤貞仁著)より |
おもしろ博物館 | 青森県青森市 |
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大型竪穴住居の内部。長さ32m、幅10mもあり、共同作業所とか、集会所、あるいは冬の間の共同家屋などに使われたと推測されている | 約1000年間の生活の廃棄物が堆積した盛土遺構。土器、土偶、翡翠の玉などが出土した | イグサ科の植物の茎で編まれた「縄文ポシェット」。編み物としては日本最古。中には殻を割ったクルミが入っていた |
展示ケースの中には、かなり大きな翡翠もある。装身具としては重いだろう。それで、「孔に息を吹き込んで鳴らした」、つまり「石笛だ」との説があるそうだ。とすると、縄文の空には音楽が流れていたのか。それはいったい、どんな音色なのだろう。 最初の三年間の発掘で、出土品はリンゴ箱で四万箱に達した(リンゴ箱で数えるところが、いかにも青森県らしい)。それは、青森県の過去の出土品の四十年分の量だった。 岩手県久慈市周辺の琥珀(こはく)、秋田県産の天然アスファルト、北海道や佐渡島産の黒曜石、そして翡翠は新潟県糸魚川流域からと、三内丸山の縄文人がとてつもない行動力を持っていたことを、出土品が教えてくれる。また、彼らが豆類やヒエなどの植物を栽培し、タイやヒラメなどの魚を食べ、布や漆器を作り、死ねば墓地に葬っていたことなどもわかって来た。 この遺跡は、三十八ヘクタールもの広さがあり、発掘されたのはまだ一部だ。現在も発掘が続いている。これから、どんな大発見に出会えるかわからないのだから、こんな楽しいことはない。しばらく発掘作業を見学していたが、女性作業員らの顔はとてもイキイキと輝いていた。 |
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