秋田県
太平山・馬場目岳
うっそうと茂るブナと天然秋田杉の美林が魅力の山
東北の山小屋(福島キャノン会編)より
太平山山頂神社小屋・馬場目岳避難小屋
旭又キャンプ場〜御手洗〜太平山奥岳〜笹森山〜馬場目岳〜旭又キャンプ場
 太平山山頂には三吉神社奥宮があり、参拝登山でにぎわいをみせる。前岳から馬場目岳まで馬締形の山塊をかたどっており、その連峰には登山道が開かれている。うっそうと茂るブナと天然秋田杉の美林が魅力の山である。
 車道終点の旭又キャンプ場から歩きだす。まずは昔の広いトロッコ道を歩く。弟子還沢の橋を渡るとすぐ山ノ神(御滝神社)の祠に出る。ここから先は天然杉の巨木の尾根筋の急坂を登る。高度を上げるにつれて、ブナ林が混交し、今度はブナの巨木が周囲を支配する。やがて森に囲まれた御手洗に着く。
 ブナ原生林の中、道はジグザグの登りとなる。尾根にたどり着き大鳥居をくぐり、最後の急坂を登り切れば、社殿と宿泊所のある太平山奥岳に着く。ここからは日本海に秋田市内、男鹿半島、遠くに鳥海山などが美しく望まれる。
 いったん戻って、尾根を下らずに、そのまま北に向かう尾根道をたどる。遠くに馬場目岳が見えるが、目標は遠い。尾根道は、時折やぶに隠され、分かり難い個所もあるので注意して進みたい。意外にアップダウンも多く、汗を絞らされるコースである。また赤倉岳より先には道標もなく道も怪しい個所があるので、地図を確かめながら歩きたい。しかし原生的ブナ林はこの山域随一であり、その苦労に十分に報いる価値がある。
 旭又からのコースを合わせると、道は再びしっかりとする。山腹を巻き込んで登ると、平らなブナの森に着く。森を抜け、かん木帯になるとイヌツゲの茂る眺望の良い小さなピークとなる。少し下って登り返せば小さな湿原に出てこの先に、避難小屋の建つ、馬場目岳山頂に飛び出す。
 馬の守護神のある山頂には三角点が置かれ、素晴らしい展望が待ち構えている。日本海から男鹿半島の寒風山、八郎潟干拓地、そして向かい側には太平山がそびえている。下りは、分岐から急な坂をひたすらに、旭又キャンプ場を目指す。
(奥田 博)

馬場目岳避難小屋

太平山山頂 神社と小屋


太平山縦走路のブナ林

太平山 山頂から北の山並み

▼参考コースタイム
旭又キャンプ場(30分)山ノ神(1時間40分)御手洗(50分)太平山奥岳(1時間)笹森山(2時間20分)分岐(40分)馬場目岳(2時間)旭又キャンプ場
▼アクセス
登山口まではバス等の公共交通は無く、タクシーによる。JR秋田駅(車50分)仁別国民の森(車10分)旭又キャンプ場。
マイカーでのアプローチが便利で、仁別国民の森までは舗装道路、その先旭又キャンプ場までは未舗装の道をたどる。駐車場完備。
▼2万5000分の1地形図名
太平山、松原、天上倉山
▼アドバイス
コース中、縦走路には水場が無いので十分に持参すること。旭又キャンプ場は水場・トイレが完備され、登山基地として利用価値は高い。

太平山山頂神社小屋
 山小屋というよりは、参拝者向けの宿。りっぱな管理された宿だが、場所が山頂神社に付属した施設であり、登山客の宿泊場所としては考えない方がいい。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★
●小屋の広さ(間取り):30人収容
●小屋のトイレ:有り
●水場の有無:無し
●小屋の連絡先:太平山三吉神社
  総本宮TEL 018−834−3443
●夏の小屋番:有り
●料金:素泊まり 2500円

馬場目岳避難小屋
 昭和56年に新設された山頂に建つ避難小屋である。山頂に建つがゆえに、水場は無い。小さな山小屋で快適そうだが、利用する機会は少ないように思われる。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★
●小屋の広さ(間取り):15人収容
●小屋のトイレ:無し
●水場の有無:無し
●小屋の連絡先:秋田市公園課
  TEL 018−866−2154
●夏の小屋番:無人、無料

数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。

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