青森県
八甲田山
多くの峰を重ねる八甲田連峰の最高峰を訪ねる
東北の山小屋(福島キャノン会編)より
大岳ヒュッテ・仙人岱ヒュッテ
八甲田ロープウェイ田茂萢山頂駅〜赤倉岳〜大岳ヒュッテ〜大岳〜仙人岱〜酸ヶ湯温泉
 多くの峰を重ねる八甲田連峰の最高峰を訪ねる八甲田山大岳ヒュッテ・仙人岱ヒュッテ八甲田ロープウェイ田茂萢山頂駅〜赤倉岳〜大岳ヒュッテ〜大岳〜仙人岱〜酸ヶ湯温泉 八甲田山の名前のいわれは『新撰陸奥国誌』に「八耕田とは八峯あるよりの名なる」とある。八の数は、峰を重ねるという意味であろう。確かに甲のような火山コニーデ型の山がいくつも並んでおり、そのほとんどの山に登山道が整備されている。ここでは、八甲田最高峰の八甲田大岳を訪ねる。
 八甲田ロープウェイで一気に標高1300mまで運ばれる。田茂萢岳(たもやちだけ)周辺は、きつい登りもなく楽しい湿原の木道歩きが続く。ひょうたん沼の向こうには、赤倉岳が眺められる。樹林帯を抜け出して、登りに汗すれば間もなく赤倉岳の頂上に到着である。山頂では、展望を楽しみながら息を整えたい。
 ここからは赤倉岳火口の南側を歩き、大岳を眺めながら下れば大岳ヒュッテが見えてくる。この下りでは、道が高山植物保護のために階段状柵が設けられている。土砂流出防止柵で外観は悪いがいたし方ない。
 やがて新装なったログハウス風の大きな大岳ヒュッテに到着する。明るくて木の香りもする山小屋だ。雨の日には利用価値が高いが、またここから下毛無(けなし)岱を経て酸ヶ湯(すかゆ)温泉へ下る事もできる。
 大岳ヒュッテの建つ鞍部から大岳への登りは、短いが急な坂で汗を絞られる。しかし展望の中の登りは、その苦しさを吹き飛ばしてくれる。やがて広い山頂到着となるが、広いために、霧の時には方向を失うので注意が必要だ。晴れていれば陸奥湾をはじめ、岩木山などが眺められる。
 下りは、急な坂を仙人岱に向けて慎重に下る。道の両側には土砂崩れ防止の石が組まれているが、美観を損ねている。次第に緩やかになり、オオシラビソの中を下れば湿地帯に飛び出し仙人岱到着である。高田大岳への分岐を見送り、木道をたどれば湿原の真ん中にはうまい湧き水「八甲田清水」がある。清水をたっぷりと飲んで休憩したい。泊まるならこの先に仙人岱ヒュッテが森の中にある。
 ここからは硫黄の吹き出している地獄谷を経て、森の中の長い下りをやり過ごせば、名湯酸ヶ湯温泉到着となり、登山を終える。
(奥田 博)

大岳ヒュッテ

仙人岱ヒュッテ


田茂萢岳〜赤倉岳の稜線

赤倉岳と大岳ヒュッテ

▼参考コースタイム
八甲田ロープウェイ田茂萢山頂駅(1時間)赤倉岳(30分)大岳ヒュッテ(30分)大岳(45分)仙人岱(1時間)酸ヶ湯温泉
▼アクセス
JR青森駅よりJRバス酸ヶ湯温泉行き乗車。八甲田ロープウェイまたは酸ヶ湯温泉まで入る。車では国道394(103)号線で八甲田ロープウェイまで入る。駐車場あり。
▼2万5000分の1地形図名
八甲田山、酸ヶ湯
▼アドバイス
山麓には酸ヶ湯温泉、八甲田温泉、城ヶ倉温泉、猿倉温泉、谷地温泉、蔦温泉等多数あり、下山後に汗を流したい。関係市町村役場問い合わせ 青森市役所TEL0177―34―1111

大岳ヒュッテ
 標高1400mを超える鞍部に建てられた小屋で三叉路にある。小屋はログハウス風に建て替えられて、大きくなった。雰囲気はいいが、水場が無いのが欠点。なお、ここから下った毛無岱湿原に建っていた小屋は、現在は廃屋状態で利用できない。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★★
●小屋の広さ:40人収容
●小屋のトイレ:有り
●水場の有無:無し
●小屋の連絡先:酸ヶ湯温泉旅館
 TEL 017−738−6400
●夏の小屋番:無人、無料
仙人岱ヒュッテ
 名水八甲田清水の近く、オオシラビソの森の外れに建っている。古い2階建だが、使い勝手はいい。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★
●小屋の広さ:30人収容
●小屋のトイレ:有り
●水場の有無:有り(徒歩5分)
●小屋の連絡先:酸ヶ湯温泉旅館
 TEL 017−738−6400
●夏の小屋番:無人、無料

数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。

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