福島県
一切経山
火山の荒々しい光景と吾妻の瞳の彩りを楽しむ
東北の山小屋(福島キャノン会編)より
酸ヶ平避難小屋・家形避難小屋
浄土平〜一切経山〜五色沼〜賽河原〜不動滝
 一切経山(いっさいきょうざん)は東吾妻火山群に位置し、瓦礫と乾いた土に覆われ、火山の荒々しい雰囲気を持つ。行楽シーズンは観光客で賑わう浄土平。そこから一切経山へ登り、近隣の山小屋をめぐる下りのコースを紹介する。
 交通の便がいい浄土平の土日は、多くの観光客で混雑する。浄土平基点のハイキングコースは数多くあり、多くのハイカーで賑わっている。
 浄土平から湿原の木道を通り一切経山へ向かう。酸ヶ平を経由して登るコースの途中には酸ヶ平避難小屋がある。平成 年に作り替えられた新しい小屋である。ここからザレた斜面を登れば、一切経山へと到着する。1949m一切経山山頂からは、あり地獄のような噴火口を持つ吾妻小富士、湿原の中の三日月形の鎌沼、眼下の五色沼、遠くには磐梯山や安達太良山や蔵王連峰などの名峰と、360度の展望が楽しめる。五色沼の飲み込まれそうな美しさには、別名「魔女の瞳」とつけられた理由も分かる。
 しばしの休憩の後、コバルトブルーに輝く五色沼に向かって降りて行き、台形の形をした家形山を左手に見ながら慶応吾妻山荘方面へ進む。途中分岐があるが、家形避難小屋へ向かう急な下りのコースは荒れていて現在通行不可能である。
 1580m付近で左へ脇道がある。ここを入ると家形避難小屋にたどり着ける。さらに途中の分岐を右に下っていくと東海大緑樹山荘を経由して板谷方面へ抜けられる。東海大緑樹山荘までは標高差300mあり、途中沢筋を通る少し荒れた登山道だ。
 ルートをそのまま不動沢へと向かえば、途中「KO」の看板がある分岐を右に入ると、静かな森の中を抜け慶応吾妻山荘に着く。ここは通年有人の小屋で、泊まりはもちろん、温かいコーヒーで休憩だけもできる。
 ここから賽河原を抜け不動沢橋までは、緩やかな下りのコースで展望はほとんどない。ハクサンシャクナゲが道沿いに多く、初夏はきれいな花を咲かせる。最後は沢を渡り吾妻スカイラインの不動沢橋バス停へ出て、登山を終える。
(高橋哲也)

酸ヶ平避難小屋

家形避難小屋


一切経山と五色沼

鎌沼と東吾妻山

▼参考コースタイム
浄土平(30分)酸ヶ平避難小屋(30分)一切経山(30分)五色沼(30分)分岐(15分)慶応吾妻山荘(40分)賽河原(20分)不動沢橋バス停
▼アクセス
自家用車、バスともに、吾妻スカイライン(有料)を利用する。駐車場は、不動沢橋バス停に約 台、浄土平には大駐車場(有料)がある。JR福島駅西口から浄土平行きのバスは午前1本、午後2本と少ないので時刻の確認が必要。車の場合には、スカイライン経由で浄土平に駐車し、不動沢橋バス停からバスで浄土平まで戻るといいだろう。所要時間バスで 分だが、バスダイヤに合わせる必要があり注意のこと。
▼2万5000分の1地形図名
板谷、天元台、土湯温泉、吾妻山
▼アドバイス
公共のバスとマイカーを利用することで手軽に縦走を楽しめるコース。浄土平近辺にはハイキングコースが多く、軽装の観光客でも楽しめるが、縦走コースは装備もきちんと整えたい。

酸ヶ平避難小屋
 酸ヶ平から一切経へのルートの途中に建つ。平成10年に建てられたりっぱな避難小屋だ。コンクリートの土間を囲むように壁に腰掛けが配置されている。浄土平の管理者が清掃をしてくれているようで、清潔である。50mほど離れたところに水は流れているが、飲料としてはお勧めできない。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★★
●小屋の広さ(間取り):30人収容
●小屋のトイレ:無し
●水場の有無:徒歩10分
  鎌沼の水が利用できる。
●小屋の連絡先:
  福島県庁環境政策課
  TEL 024−521−7251
●夏の小屋番:無人、無料

家形避難小屋
 家形山方面からの登山道は荒れていて通行不能のため、ハイカーも少ない道沿いにある。煤の香りのするトタン張りの古い避難小屋だ。小屋の中は小ぎれいに片付いていて気持ちがいい。すぐ近くに水場がある。
●小屋の清潔度/雰囲気:★
●小屋の広さ(間取り):10人収容
●小屋のトイレ:無し
●水場の有無:有り(徒歩1分)
●小屋の連絡先:
  福島県庁環境政策課
  TEL 024−521−7251
●夏の小屋番:無人、無料

数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。

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