岩手県
岩手山
高山植物の女王コマクサの咲く、火山砂礫の道をたどる
東北の山小屋(福島キャノン会編)より
八合目避難小屋・平笠不動避難小屋
御神坂〜不動平〜岩手山〜八合目避難小屋〜平笠不動避難小屋〜焼走り登山口
 岩手山は、南部富士とも呼ばれ、十和田・八幡平国立公園の南東部に位置する休火山。外輪山である黒倉山、鬼ヶ城、屏風尾根、さらには御苗代湖など、変化に富んだ山容をなしている。その荒々しい地形の中には高山植物が豊富で、花の女王と言われるコマクサなどが美しい。
 御神坂(おみさか)駐車場を出発し、約1時間の登りで鳥居に着く。ここはワラジ牧場と呼ばれ、絶好の休憩ポイントになっている。さらに 分も登ると、岩場の展望台に出る。やがて森林限界を抜け、ハイマツと高山植物のやせた岩稜歩きとなる。
 視界が開けてくると、行く手に立ちはだかる鬼ヶ城に圧倒されてしまう。鬼ヶ城コースと合流し、旧岩手山の火口壁を東面に下れば、休憩所やベンチのある不動平に出る。
 不動平からは、コマクサやイワブクロが生育する火山砂礫の斜面を登り、お鉢と呼ばれる外輪山に出る。周囲は約4kmあり、その一番高いところが標高2038mの薬師岳だ。薬師岳からは、県内の山はもちろん、八甲田山、鳥海山、遠くには裏岩手縦走路も一望できる。外輪山の中央に見える火口丘が妙高岳である。
 山頂からはコマクサが咲きお地蔵様の立つお鉢を戻って、道標にしたがって北へ下る道へと入る。ザレた道で足元は滑るので、注意しながら下りたい。次第にオオシラビソやダケカンバ、ナナカマドなどの木々が現れると、平笠不動避難小屋に到着する。岩場を後ろに従えて、くぼ地に風を避けて造られている素晴らしい小屋だ。
 小屋からは、岩手山の大きな裾を回り込むように下っていくので、急坂は少ない。北東側に出れば焼走り溶岩流の黒い岩が印象的に眺められる。次第にかん木の中をたどるようになれば、その焼走り溶岩の脇をたどるようになり、もう下山口の焼走り駐車場は近い。
(谷尾 誠)

岩手山八合目避難小屋

平笠不動避難小屋


岩手山外輪山


▼参考コースタイム
御神坂駐車場(4時間)不動平(50分)岩手山(50分)八合目避難小屋(50分)山頂(40分)平笠不動小屋(2時間30分)焼走り登山口
▼アクセス
御神坂駐車場まではマイカーかタクシー利用が便利。焼走り駐車場からは、タクシーを呼ぶしか足の便は無い。下山口にある「焼走り温泉」でタクシーを呼ぶといいだろう。焼走りからJR花輪線大更駅まで30分。
▼2万5000分の1地形図名
松川温泉・大更・篠崎・姥屋敷
▼アドバイス
2001年現在、岩手山へは一部のコースは登山禁止となっている。入山の場合には地元自治体へ問い合わせのこと。下山口の焼走り登山口には、日帰り温泉施設が出来た。汗を流して帰途につきたい。
八合目避難小屋
 以前は岩手山の測候所があった場所に建つ。東北の山小屋としては、大きな造りをしている。中は平屋だが、寝床は2段式になっている。また小屋の前には大きなテラスがあり、夏の好天時には、満点の星空を眺めながら、ぜひ外で食事することをお勧めする。小屋の前の水場は小屋の北方250mの御成清水から引いている。夏でも水量は豊富で枯れることはない。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★
●小屋の広さ(間取り):130人収容
●小屋のトイレ:有り
●水場の有無:有り(徒歩1分)
●小屋の連絡先:岩手県盛岡市青山2-20-24
 武田勝栄  019−647−7014
●夏の小屋番:有り 料金1000円
(食料と寝具は持参のこと)

平笠不動避難小屋
 岩手山山頂北側の台地に静かに建つ山小屋。とてもきれいに整理整頓され、地元の方に管理されているようだ。泊まりには、水場が無いので現実的には避難小屋として使われている。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★★
●小屋の広さ(間取り):20人収容
●小屋のトイレ:有り
●水場の有無:無し
●小屋の連絡先:西根町役場商工観光課
  0195−76−2111
●夏の小屋番:無人、無料

数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。

無明舎Top ◆ 旅ガイドMENU