講師時代の日記から
2000年10月から2001年の3月までの半年間、秋田市立下北手中学校で講師をすることになりました。そのときの日記を紹介します。
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10月16日から、講師として、秋田市立下北手中学校で勤めることになりました。12日(木)に秋田県中央教育事務所から依頼があり、13日(金)に勤務することになる秋田市立下北手中学校に行き、挨拶をしてきました。今度は、秋田市立豊岩中学校の非常勤講師と違い、責任とやりがいを感じています。下北手中学校は1学年2クラスで、一般的には小規模校と言えるかもしれない…けど、豊岩中学校の1学年1クラスと雰囲気が違うと思います。下北手中学校の校長先生が「豊岩中の生徒は純朴という感じがあるけど、ウチの生徒はそれより少し都会的かなぁ」と言っていました。2校の生徒の違いを感じるかもしれない…それはそれで学ぶことが多いです。
通勤が大変です。秋田駅を挟んで、自宅と学校は反対方向にあります。自宅の新屋から秋田駅までJRで行き、秋田駅から学校までバスで行きます。新屋駅に階段があり、サポートなしでは上り下りができません。朝、7時21分発秋田行普通電車に乗ります。「この時間帯は駅員が1人しかいないので、対応が困難で、朝7時頃に駅に来ると、サポートはできるよ」と駅員さん。しかし、僕も朝の準備が大変なので、秋田の地方紙「秋田魁新報」に掲載となった記事とサポートを求めるビラを新屋駅に掲示してもらいました。同じ電車を利用する人たちに、サポートを求めていこうと考えました。僕にとって、通勤は多くの人たちに支えられています。心と心が触れ合うことができ、とても楽しいひとときです。
1年部の所属になり、授業はT−T方式(1教室を2人の教師で担当する)で行ないます。授業の準備や生徒の学習理解度に対する責任…いろんな意味で、大変になります。けど、見たこと、感じたことを素直な言葉で綴っていきたい…重度障害者が教師を目指すきっかけになれば良いと思っています。
明日は朝集会が開かれ、全校生徒の前で一言スピーチするそうだ。とても楽しみ。
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今日、秋田市立下北手中学校に初出勤。一番、心配していたことが通勤でした。それがなんと、一番ステキな出来事になってしまいました。朝7時頃、新屋駅に着き、駅員さんと一緒に階段を上り下りして、プラットホームまで行きました。電車が来るまで、少し時間があり、待合室で待っていました。まもなく、7時21分発の電車が来たので、僕は待合室をでました。電車の扉が開き、いつものように「すみません、僕を乗っけて下さい」と言おうとしたとき、「あっ、三戸先生!!」と声をかけてくれました。見上げると、秋田市立豊岩中学校で半年間、非常勤講師をしていたときの3年生で、今は秋田市内の高校に通うM子でした。すぐさま、M子は手を挿しのべ、僕を電車に乗せてくれました。半年ぶりのM子の手は変わりなく、温かく優しかった…
通勤列車は混み合っていました。10分も経たないうちに、秋田駅に着きました。M子は僕を待ち、僕に肩を貸して、一緒に電車から降りました。「目指せ!心の美人」女子生徒に言い続けた言葉です。M子のさり気無い行為に、教えられたような気がしました。僕が中学生と関わることで、追求していくことなのかな…
『困った人がいたら、自然な気持ちでお互いに支え合おう』
僕と学校生活を一緒に過ごすことで、掴み取っていました。これから、下北手中の生徒と関わるうえで、大きな自信になりました。M子の行為に気を良くして、秋田駅から市営バスに乗りました。バスは高校生も利用します。僕はちょうど隣にいた女子高校生に「すみません、僕を乗っけて下さい」と声を掛けました。「良いですよ」と明るい声。「矢崎入口」で下車しました。そのとき、僕は運転手さんにサポートを求めると、少しフテくれた顔をして「今日はやるけど、次からは介護者をつけて、利用して下さい」と言いました。とても情けなく、暗い気分になりました。
荒れる中・高校生と言われています。本当に、荒れている中・高校生がいるのかな…と思います。また、荒れている心はまだ良い方で、腐っている心は本当にどうしようもないと、僕は感じます。もちろん、誇れる大人もたくさんいます。
秋田駅から新屋駅に帰ってきたとき、朝、僕をサポートしてくれた駅員が「初出勤はどうだった!?」と聞いてきました。「楽しかったけど、疲れました」と応えると、「そうか」と大きな声で談笑。この駅員さんの心はしっかりとハート型をしているなぁ…このような大人に出会い、僕の心は救われます。
それにしても、今日は疲れました。
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秋田市立下北手中学校は昇降口に、5段の段差があります。この段差は結構キツイです。昨日の初出勤から、登校する生徒にサポートを頼んでいます。学校の校門を通る時間は、だいたい8時頃。ちょうど良く、登校する生徒と一緒になります。僕がヨタヨタ歩いていると、「おはようございます」と生徒の清々しい挨拶。このような光景は当たり前かもしれませんが、僕にとって、とても初々しく感じます。
今日、帰宅するとき、市営バスに乗りました。いつものように「スイマセン〜」とサポートを求めると、好意的にサポートをしてくれました。今までの市営バスの運転手の中で、1位、2位を争うすばらしい対応に感動して、「これから毎日、この時間帯を利用するので、よろしくお願いします」と運転手さんに心を砕きながら話しました。すると、「近くの作業所に通っているの?」と聞いてきました。たった今まで、生徒と関わっていた僕にとって、とてもショッキングな話。運転手さんの言葉に、我にかえりました。僕は世間で言われている重度障害者なのだな…すぐさま、「下北手中学校で数学を教えています」と言うと、「えっ!!」とサプライズ。別に驚かすつもりはなかったけど…
生徒は僕を先生と見ています。もちろん、生徒に僕のことを数学教師として紹介したのだから、今にもこけそうで、ようやく歩いている僕を数学教師と見るのだろうと思います。この事実を素直に受け入れる柔軟な心を持っています。バスの運転手は「僕が数学を中学生に教えている」と言っても、驚くばかりで信じようとも、受け入れようともしません。(僕の存在を認めたくないのかなぁ)
「僕のような人間が中学校で数学を教えたって、イイジャン」
僕は声を大きくして、胸を張って、社会に言いたい…世間の障害者へのまなざしを優しく、確かなものになるのかなぁ…人間は外見で判断するところがあります。それは物事を表面的、一面的にしか見ていません。これは悲しいこと。
僕が生徒と関わることで、生徒のまなざしを少しずつ、豊かなものにしていきたい−人間や物事の本質を見極めるまなざしを育てていきたいと考えています。「三戸先生のような人間が中学校で数学を教えたって、イイジャン」と、いずれ生徒が叫んでほしい…そのためには、ありのままの姿で授業をしたり、生徒と関わったりして、生徒と一緒に学校生活を楽しみたい。生徒と一緒に社会のまなざしを優しく、温かく、確かなものに変えていきたい。
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今日、18日は秋田市秋季教職員研修会(秋田市内の小・中学生は休み。)がありました。場所は秋田県民会館。入り口のところで、中学校3年生のとき、社会科を教えてもらったT先生に会いました。「三戸先生、お久しぶりです。私のこと、覚えている!?」「ハイ、覚えています」「三戸先生のことは新聞記事などで読んで、今回、採用試験に合格して、良かったなぁ…と思って。これから、がんばってください」
僕にとって、県民会館は不便なところと思います。玄関の段差にスロープは付いていますが、ロビーから会場までの段差にスロープが付いていません。受付の先生に「スロープとか、エレベーターとかありませんか」と聞いたら、探してくれました。すぐに見当たらないので、県民会館の職員に聞いてくれました。僕にとって、このようなことは日常茶飯事。だけど、受付の先生は初めての経験と思います。障害者は社会参加していくことで、多くの人たちと不便さを共有します。きっと健常者は分からないことだろうと思います。
−どこが不便で、どんなサポートをしてほしいのか−
世間で、「バリアフリー」という言葉が叫ばれています。スゴイ想像力がある人は別として…行動を共にしないと、あちこちに転がっているバリアが分からないと思います。障害者が実際に歩く、あるいは利用することで不便さが明らかになります。今日、僕が県民会館を利用したことで、サポートを求めた先生と不便さを共有できただろう。これは重度障害者である僕の役目の1つ。今日、僕をサポートしてくれた先生にお願いがあります。今日の経験を心の中であたためて、障害者へはもとより、自分の受け持っている子どもたちへ優しいまなざしを向けてほしい。子どもを見る目が違ってくるだろうから…
これからも多くの先生方にサポートを求めていきたい。それがそのまま、僕ができる教育改革。難しい議論よりも、僕は実践派。
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1年A組、1年B組の初めて授業。3時間目がA組。4時間目がB組。少しの不安な気持ちと楽しい気持ちでいっぱい。新米教師なのだから、貪欲にトコトン学ぶ姿勢でイイのかなぁ…と思います。失敗を恐れず、生徒と一緒に楽しく授業をやっていけたら…3時間目。A組の初めての授業で、生徒に教えられたことがありました。生徒は僕が考えている以上に、僕のことを感じていると思いました。僕と一緒に授業を作る先生は1年部主任の国語の先生。初めての授業は、今月の中旬に行なわれた「総合テスト」の解説。テスト解説は主任の先生が主導で行ないました。残り15分で、テスト解説が終わり、主任から僕にバトンタッチ。学習内容は「方程式」。「方程式」はプリントを使って、進めていくことにしました。1年生の数学の授業の前任者はラーニングサポートの非常勤講師の先生。その先生が教えてくれた授業内容の復習から、始めました。「できたら、先生に持ってきて」生徒は僕か主任の先生に丸をつけてもらいに来ます。分からないところがあったら、僕に質問する。初めての授業の感想。「面白かったですよ」…これからも、生徒とステキな授業、あたたかい授業を一緒に作っていきたい。これからが楽しみだ。
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秋田市立下北手中学校に赴任して、1週間。いろいろなことがあり、あっという間に1週間が過ぎたような気がしています。今、体力的にとても疲れています。こんなに教師という職業が体力的にキツイ仕事と思いませんでした。単に、僕に体力がないのかもしれないけどね。1週間、学校で生活してみて、「学校」という建物が一番、障害者にとって、バリアフルな建物のような気がします。玄関の昇降口に段差があり、誰かのサポートなしでは、学校に入ることもできない現実。これには笑ってしまいます。校内で、1階は自力で移動できますが、2階、3階となると、生徒のサポートなしで授業に行くことができない。トホホホ…
社会では「バリアフリー」の理念が浸透してきて、まだまだ不便なところがいっぱいあるけど、障害者にとって、使い易い建物が多くなってきています。街を歩いていて、階段を上ることは少なくなりました。障害者の言葉を多くの人たちが聞こうとしています。障害者の当事者としての声は社会的に大切にされてきています。しかし、「学校」という公共施設は依然として、バリアフルな建物が多いように思います。バリアフリーな「学校」は、全国にあるのだろうか…疑問に思うと同時に、好奇心でいっぱい。
今日の3時間目は特別学活。1年B組では、「"三戸先生は段差が大変だから、昇降口の段差に板を敷いて、スロープを作ろう"ということを話し合った」と担任の先生が僕に教えてくれました。放課後、生徒は「昇降口の段差に板を敷こうということを、生徒会で提案しようと思っています」とさわやかな笑顔で、僕に伝えてくれました。僕は胸がいっぱいになり、思わず涙が溢れてきました。
荒れる中・高校生と社会的に問題視されていますが、そんな中・高校生はどこにいるんだよ。全く…もう。大人たちが勝手に問題を大きくしているだけではないか。最近の教育改革国民会議の議論を聞いていても、心の教育が叫ばれているけど、大人に言われなくても、しっかりと心は育っているよ。ステキで、あたたかい心がネ。生徒と僕との関わりを見れば、すぐに分かるような気がします。僕は生徒に数学を教えています。バリアフリーについて、話しているわけでありません。毎日、生徒は僕と触れ合って、昇降口の段差というバリアに思いを馳せています。このことこそが、自然なことではないのかなぁ。障害者が暮らしやすい世の中にするためには声高に言うことではなく、身近に障害者がいる状況を作ることが大切と思います。
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今日、1年生の2クラスの授業がありました。本格的に、生徒と一緒にする授業が始まりました。
「僕の代わりに、誰か書いてくれる人、いませんか」
生徒は戸惑っていました。僕はどうってことない。僕のやり方に慣れてくれれば…戸惑いはその通過点。6時間目、1年B組の授業。僕は呆気にとられてしまいました。今週の目標に、「三戸先生の不便な所を積極的に手伝うおう」と書いてありました。嬉しい気持ち半分、恥ずかしい気持ち半分。僕のサポートが学級の今週の目標になっていました。
『僕と触れ合いたい、関わりたい』
生徒のその気持ちに応えるためにも、積極的にサポートを求めていきたい。
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2002年からの新学習指導要領の大きな目玉は「総合的な学習の時間」。全国各地の学校では、先駆けて、様々な実践をしていることであろう。下北手中学校も総合学習の実践をしています。生徒が自分たちの興味に添って、図書館やコミセンに出かけていったり、地域の人たちにインタビューをしたり、保育園や養護学校などに行って、園児や障害児と触れ合ったりしています。インターネットで自分が知りたい情報を取り寄せたり、職員室の電話やFAXを使って、役所に問い合わせたりと、僕が中学生の頃とは想像もつかない光景が目の前で、展開しています。総合学習をしている生徒の表情はとてもイキイキしています。本当に楽しそう…自ら、主体的に学んでいるからであろう。例えば、自分が調べたい内容を役所に問い合わせても、良い返事がなかったり、たらい回しにされたり、様々な壁にぶつかる。壁にぶつかることはステキなこと。壁にぶつかって、生徒はいろいろなことを考える。教師のアドバイスを受けて、壁に立ち向かおうとする姿勢は頼もしい…その姿は新しい道を切り開いていこうとする僕の姿に似ていて、愛弟子を持ったような気分になります。
僕は総合学習では、パソコン担当。生徒たちが知りたい情報を上手く得ることができるように、サポートする役目。正式採用になったら、引率というかたちで生徒といろんなところに出かけたいなぁと思っています。きっと、面白いドラマが待っているような気がします。
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面白い・楽しい反面、ドキドキしながら、授業をしています。僕は椅子に座って、生徒に板書をしてもらっています。
「誰か、僕の代わりに書いてくれる人、いませんか」
授業の始まりに、僕はいつも呼びかけています。慣れていないせいか、生徒に少し戸惑いを感じられます。なかなか、すんなりと手があがりません。(今日はボク、ワタシが書いてやるかァ)こんな軽いノリで良いのだ…なんか、その場のフインキは重いものを感じます。1つに、僕とまだ親密な関係が築いていないこと、もう1つは他の級友に遠慮があるのではないか、と思います。お互い、他人の動きを気にしている様子。僕が代筆者を指名することは簡単。生徒はノル気か、ノル気ではないか、別にして、やってくれるだろう。だけど、それは僕の意図するところではない。僕は自発的にやってほしい。しかも、クラス全員に僕の代筆をやってほしい。(昨日はアナタがやったから、今日はワタシがやろうかなぁ)というフインキが生徒の手で、作り上げてほしい。もっと、軽いノリで僕の代筆を受けとめて、クラス全員が参加する僕のサポート体制を作り上げてほしい。授業で、僕のサポートを通して、クラス全員がまとまるきっかけになればと思っています。
僕の授業に慣れてもらわなければならない。どのようにして、生徒が僕のサポートに関わってくるか、とても期待しています。僕のサポートが自然に出来るようになることは、僕との関係と1つのバロメーター…僕はありのままの姿で授業をしていき、1人の人間としての生き方を見せていきたい。
行事などで、結構、授業がつぶれるので、毎日、頭を悩ませています。2学期までに「比例・反比例」を終えたい。
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今日、秋田市の教育委員の学校訪問。秋田市の教育委員長と教育委員と秋田市教育委員会学校教育課課長補佐の3人。学校に誰かが訪問するとき、校内の美化、時期的に掲示物は適切か、生徒の挨拶など…普段の教師の指導が見られます。
教育委員は、3年生の授業を参観しました。授業のタイトルは「円と接線」。2年生、3年生の授業は30代前半の数学の先生と一緒に授業しています。初め、教室で授業をしていたけど、円と直線が"接する""2点で交わる""交わらない"という部分を視覚的に認識させたいねらいで、途中からコンピュータ室に移動することになっていました。
コンピュータ室に移動するとき、少し不安になっていました。教室へ行くときは、数学係の生徒と一緒に、生徒の肩を借りて階段を上り下りします。授業中の移動は時間がかかるので、大変ではないか、と思っていました。授業は生徒の学習する場面。でも、生徒はそんなことを気にも留めていない様子でした。(サポートをすることが当たり前)と言う雰囲気で、なんとも素っ気無い表情。数学係の生徒は僕のことを気に留めていましたが、その前に側にいた女子生徒がすっと、肩をかしてくれました。一緒に授業をしているなぁと感じました。先にコンピュータ室に行く生徒もいれば、僕と女子生徒の歩調に合わす生徒もいました。
コンピュータ室に入り、僕がコンピュータを使って、直線を動かして、円と直線の関係について、理解を促しました。そのとき、教育委員が授業風景を見学しました。授業後、教育委員長が僕に話しかけてくれました。
「新聞や週刊誌なとで、拝見しています。子どもたちは喜んでいるでしょう」
品性のある女性の方。僕が生徒と一緒に移動するところも見て欲しかったな…と思いました。
5校時が終わって、6校時目は教育委員を交えての懇談会。6校時目に授業がある先生は授業へ、空き時間の先生は懇談会に出席しました。僕は懇談会に出席しました。最初、下北手中の教職員の2分程度の自己紹介があり、それから、教育委員の先生方から学校運営、学校の教育方針、生徒の実態などについて、質問がありました。僕は自己紹介で、
「10月16日から、特別配置講師として、この学校に勤務しています。前回の秋田市立豊岩中学校と違って、今回は講師ということで、朝から夕方まで、学校に勤務しています。日々の学校生活のなかで、教師という仕事を身に沁みて、感じています。全クラスの数学の授業を担当していて、生徒は優しく僕のことを受けとめています。生徒にいろいろなサポートを受けていますが、それも僕の生徒への関わり方だと思っています。教科指導はもちろんのこと、共に生きていく気持ちや姿勢を培っていきたいなぁと思っています」
と話しました。
「明日の教育委員の訪問で、教育委員の先生方から三戸先生に、もしかしたら、質問があるかもしれません。そのときは率直に自分の意見を言って下さい」
前日、校長室で校長先生の話。僕は(どんなことを聞かれるのだろう)と思いながら、「分かりました」と答えました。
教育委員の最後の質問が僕への質問でした。
教育委員「最後に、三戸先生にお聞きしたいことがあります。さっき、共に支え合うと言っていたけど、生徒といろいろと関わって、生徒はどんな感じですか」
僕 「2年生、3年生の教室は2階、3階で、授業が始まる前に数学係の生徒が"先生、いこう"と迎えに来ます。数学係は2人いるので、1人は授業で使うものを持ち、もう1人は僕に肩をかしてくれて、一緒に階段をのぼっていきます。そのとき、生徒たちは【今日、学習するところは簡単?難しい?】と、聞いてくるんです…笑」
答え終わった後、その場の雰囲気の和んだ。教育委員は微笑みながら、僕の話を聞いていました。すかさず、教頭先生は「三戸先生は椅子に座って、指示棒を使って、授業をやっているのですよ」と付け加えてくれました。教育委員は、「三戸先生の授業風景はTVでやっていたでしょ…これからもよろしくお願いします」と言葉を頂きました。
学校から帰るとき、小雨がぱらついていたので、主査の先生から秋田駅まで送ってもらいました。その車の中の会話。
主任の先生「先生は緊張することなんて、ないのですか。とても話が上手かったよ」
僕「そんなことないですよ。とても緊張していました」…笑。
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秋田市教育委員会計画訪問がありました。5人の指導主事が来校しました。指導主事は授業を参観して、指導・助言をします。指導主事が見る授業は1年の国語、2年の学活、3年の数学。3年の数学の学習内容は「三平方の定理」。この定理に迫ることが今日の授業の目標。中学校数学の最重要定理の1つ「三平方の定理」。塾の宿題の質問を通して、クラスの半数の生徒がすでに知っていました。塾は定理を教えて、問題を解くテクニック、技術を教えます。だけど、どうしてこの定理が成り立つのか、分からないでいました。結論にいたるプロセスが分からないのに、結論を使って問題を解いている…とても不思議な感じがします。授業中、僕は生徒一人ひとりに個別指導をしました。
放課後、各教科で分科会が開き、指導主事から指導・助言を頂きました。その指導主事は「もっと、準備とかしっかりとした方がよかったと思います。その方が生徒の思考を促したはず…」と僕に指導・助言をしてくれました。
分科会の休憩に「三戸先生は板書をいろいろと工夫をされているようですが、どのような工夫をされていますか」と指導主事が質問しました。「生徒に書いてもらったり、予め画用紙や摸造紙に書いたものを貼ったり、T−TのSubの先生に書いてもらったり…いろいろです」と答えました。「三戸先生はこれから、いろんな経験を積んでいくと思われますが、今日、一緒に授業をした先生をはじめ、いろんな先生に教えてもらってください」と指導主事。
いろいろな先生に期待されていると感じ、来年4月からの生活が楽しみ…となりました。
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