んだんだ劇場2004年10月号 vol.70
No18
ストレスは旅行と買い物で

6月x日
何だか家にいることがイヤになってサンタイザベルの日本語の勉強会に行く。夫とも最近あんまり口をきいていなくて、ストレス解消の意味も少しある。彼も忙しくて私の話を聞く余裕がないみたい。もちろん娘も連れていく。娘はちょうどいい具合に人見知りしてくれて勉強会の間、うろうろ歩くくらいで大人しくしている。講師の先生が子連れに理解のある人なので娘と一緒にうろうろしながら話を聞く。脳に心地よい疲労感。たまには勉強しなければ。勉強会のあと、講師の先生とバスでベレンに行き、ホテルまで一緒に行ってもらう。ホテルに泊まること自体久しぶりなのでちょっとワクワクする。夜、娘と一緒にバスに乗りショッピングセンターで買い物。開放感と「娘と二人きり」というシチュエーションがとても楽しい。娘に何かを買ってあげたくなり絵本を買う。夕飯もショッピングセンターのフードコートで済ます。何だかとても満ち足りた気持ちでホテルに帰り寝る。夫に電話するのをすっかり忘れてしまった。

6月x日
翌日はポリシアフェデラウ(連邦警察)に行く。1年くらい前に登録した身分証明書ができているかどうか見に行くのだ。時間はたっぷりあるのでバスで行った。ところがホテルのフロントで聞いたポリシアフェデラウと私が行くべきポリシアフェデラウが違っていて引き返す事に。娘を連れて歩いたりバスに乗ったりだが、結構楽だった。例えばバスでお金を払う時、ベレンのバスはケンカしているような運転をするのだが、見知らぬおじさんが娘が転ばないように手をつかんでいてくれた。バスに乗ったら若いブラジル人の男の子がさっと席を立ってくれた。こういうところ、騎士道精神が行き届いている。
警察に行くと身分証明書はできていて、無事それをもらいバスでトメアスーに帰ってきた。夫がバス停に迎えに来てくれていて、娘を見ると嬉しそうだった。

6月x日
市場に行ったら泥ガニを売っていたので買ってくる。泥ガニは大人の手の平くらいの大きさではさみよりもみそを食べる。はさみの部分をひもでくくって12匹を一つにして売っている。ひもをつけたまま、水で泥をざっと落とし、生きたままレモンをしぼったお湯で煮る。お湯に入れたらすぐフタをする。初めのうちはフタをカツンカツンはさみで叩いているが段々聞こえなくなったらフタをあけてゆで具合を見る。カニの色が赤くなったらできあがり。シェイロ・ベルジ(香味野菜のパクチー)とトマト、玉ねぎをみじん切りにしたものと酢醤油を薄くしたものをたれにして食べる。今ごろのカニはみそもトロッとしてねっとりしてビールが進む。カニを洗う時に娘に「ホラ、見てごらーん。カニだよ。」と手をつなぎながら桶のところに行くと固まっていた。眉間にしわが寄っていた。夫と二人で床に座って、木槌でカニを割りながらもくもくと食べた。

6月x日
英語の勉強を始める。ここに来ているJICAのシニアボランティアの先生がやっている英語教室だ。久々に英語に触れる。簡単な単語を忘れていたりポルトガル語と混じっていたりして、でもやっぱり外国語を勉強するのはおもしろい。英語教室に行く時に車の窓を見るとLave-me(ラヴィ・ミ。洗ってください!ということ)と書いてあって、きっと日本語学校の子供が書いたのだろうが頭が英語になっていた私はlove me(ラヴ・ミー。愛してください。)と勘違いして一人でドキドキしていた。
夕方帰ってくるとMさんが来て息子さんに日本語を教えてほしいとのこと。息子さんは2世なので、割と日本語はわかるほうだ。なので話す方なのか書く方なのか聞くと全部と言う。日本語を教えていて中級以上の人を教える事はあまりないので、なんだかすごくやる気になった。よーし、ばっちり教えるぞ。しかも奥さんが娘を見てくれると言うし。
その娘だが最近、自分の口から食べ物を出して私や夫にくれるようになった。迷惑だけど彼女なりの好意の示し方なんだろうなーと思って「ありがとう!」と言ってお皿にそっと出している。雨が降ると「め!め!」と言って私の手を引っ張って外に行きたがる。というわけで娘と私はいつも雨を見ている。時々は雨遊びをしてぐちゃぐちゃになった娘と熱いシャワーを浴びる。

6月x日
フェスタジュニーナに行く。ブラジルの収穫祭のようなもの。子供たちは昔の田舎の農家の人の格好をする。男の子は麦藁帽子にチェックのシャツ、継ぎはぎのズボンなどをはく。女の子はレースがついた上着やスカートを着る。ベレンに行った時娘にも買ってあげようと思ったのだが、たった一晩限りのお遊びの衣装にしては結構値が張ったのでやめた。代わりに安上がりにも麦わら帽子にみつあみを付けてあげた。ワンピースも探したらちょうどいいのがあった。会場に行ったら5歳くらいのブラジル人の女の子がちゃんとフェスタジュニーナの格好をしていてすごくかわいかったので、来年はケチらないで娘にも買ってあげようと決心した。
収穫祭なので食べるばかり。ミンガウというとうもろこしとタピオカのおかゆやマニソバ、その他目についたものを片っ端から食べる。あとはクワドリーリャというフォークダンスを見た。つくづくやればできるブラジル人。やる気になるまでが大変だけど。女の子のきゅっとあがったおしりが素敵だった。

7月x日
(ベレンで)カフェオレ、アイスクリーム、紙オムツ(ジョンソン&ジョンソンMサイズ。お徳用サイズ)

7月x日
(バイーア州サルバドールへ旅行。途中乗り換えのブラジリアの空港で)イチゴタルト、キッシュ、コーヒー
(サルバドールで)シャンプー、ミネラルウォーター、クラッカー、ヘアクリーム、紙オムツ(ベレンよりも安い!都会だから?)

7月x日
(サルバドール市内観光)ココナツジュース(これはベレンの3倍の値段!)クレープ、ケーキ、ジュース、帽子、ペンダント、リボン(観光地でしかも日本人の私たちにはどこに行ってもお土産売りが群がってくる。リボンは3回腕に巻く時に願い事をして、そのリボンが切れたら願いがかなうそうだ)アカラジャ(油やしで揚げたドーナツにえびやカルルが入っているバイーアのスナック。胃の弱い夫はこれ1個でノックダウン。晩御飯が食べられなかった。)フェジョン、パーカー(常夏のベレンから行ったので思いつかなかったが今は冬。帰りも乗り換えで何時間か過ごすブラジリアがとても寒かったのと明日、船で海岸めぐりをするので寒さに耐えられなそうなので。)動物園までのタクシー(動物園は入場無料。娘も大喜び。残念だったのは娘に見せたかったキリンが骨が飾ってあるだけだったこと。バイーア州はパラー州ほど東洋人が多くないらしく珍しい"東洋人の赤ん坊"の娘は動物よりも目立っていた。)

7月x日
海岸めぐりツアー2人分、カイピリーニャ、伊勢えび(お昼ご飯。海岸で食べたのだが大きくておいしかった。味付けもシンプル。夫は油やしが入っていないのでOKらしい)、コッカーダ(バイーアのおかし。けずったココナツを練乳で固めたもの。甘くてサクサクしておいしかったのでお土産用に5箱買う)

7月x日
たこ入りスープ、プリン、バイーアの絵(テーブルの上に飾れるほどの小さな油絵。カラフルな街に褐色の肌のバイアーナ(バイーアの女性)が書いてある)、バイアーナの服(真っ白い木綿のロングスカートと上着の2ピース。市場で値切った!)、いすのハンモック(夫がどうしても欲しいと言うので何軒も回って一番安いところで買った。)ビリンバウのペンダント、レース&ししゅうのテーブルセンター、シナモン入りピンガ(皮のボトルに入れてもらった)パイナップル入りピンガ(店頭で試飲したら夫も私もご機嫌になってしまった)

7月x日
(ベレンに戻る日)乗合バス(ブラジリアで4時間も待つ羽目になったので市内観光。国会を見たり裁判所を見たり。ほとんど外から写真を取っただけだが夫はすごーーーく楽しそうだった。曰く「テレビで見たのと同じなんだもん!」)あめ(バスを待っている間、娘が疲れて飽きてきたので)

7月x日
日本語の教材テープ、(ベレンで月初めの買い物。月末に色々なものが足りなくなるとひもじい思いをするので月初めに買っておくことにしている。微妙にインフレだし。)小麦粉、しょうゆ、サラダ油、バター、リンス、ドレッシング、粉ミルク、チーズ、米

7月x日
薬(3種類:トメアスーの我が家に帰りついたとたん、娘が嘔吐。3日も下痢と嘔吐が止まらなくて入院した)りんご、ヤクルト

7月x日
マニソバ(マンジョッカの若芽を肉や臓物と一緒に1週間煮こんだもの。日本語の生徒のお家で売っているのを試食したらとてもおいしかったので買ってしまった)いちご模様の木綿布(娘にゆかたを作ってあげるのだ!)、帯用の布

7月x日
フーセン(夏祭りに行って娘に買ってあげた。次の日にはしぼんでいたけど・・・)、ポップコーン、トウモロコシのパン(夕方行くともうない人気のパンだ。)すし、お弁当、やきそば、かき氷(同じく夏祭りで食べたもの)


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