んだんだ劇場2005年3月号 vol.75
No20  家を追い出されるの?

口頭試問
 だんだん気温が上がってきた。でも家の中はまだ涼しく、扇風機なしでも大丈夫。しかし、日ごとに暑くなってきているのは事実で、数週間後にはタイで一番暑い季節がやってくる。あの暑さは本当にものすごいので、その時期に合わせて日本に帰国する予定にしている。
 さて2月中旬の一週間、口頭試問のために私一人でロンドンへ行った。長女と次女はチェンマイで夫と留守番である。次女にとって母親なしで何日も過ごすのは初めての経験。心配で心配で、ロンドンから何度も電話をしてしまった。ところが私の心配とは裏腹に、次女は全然泣かずけろっとしていたらしい。「私のおっぱいはどこに行っちゃったのかしら?でもこの人(父親)がおっぱいに似た味のもの飲ませてくれてるし、お粥も食べさせてくれてるからいいか、、、。」と思っていたのかもしれない。
 何しろ私がチェンマイに帰ってきた時も、「この人だれだっけ??」というような顔をしていたから、全く問題なしだったようだ。母親としては、ちょっとがっかりなんだけど。一方長女は、中国滞在中に(母親不在が)経験ずみだったのに加え、私が買ってくるお土産(プリンセスの人形と卵型のチョコレート)を心の支えに、頑張って留守番していてくれたようだ。
 さて、心配だった口頭試問も無事合格し、これでやっと本格的にリサーチを開始することになった。口頭試問の結果、複雑だったリサーチデザインをもっと簡単にするようにアドバイスされ、集めるデータを減らすことになったのが、なんともうれしい。お金も人手もない私にとって、大変ありがたいことである。あとはリサーチに協力してもらう予定の学校から、無事許可がもらえるのを祈るばかり。どうかうまくいきますように。

とうとう決まった幼稚園
 例の幼稚園その2のあと、またいくつか幼稚園を見学に行った。その中のひとつ、幼稚園その3はこぢんまりとした小さい幼稚園で、インターナショナルクラスとタイクラスがある。見学に行って先生にいろいろ話を聞いた。
「インターナショナルクラスでは、遊びが中心です。もちろん勉強も少ししますが、絵を描いたり、何か作ったり、そういったことが主です。タイクラスはタイのカリキュラムの関係でもっと勉強が中心になりますが。」
とのこと。外では園児たちが砂遊びをしたり、追いかけっこをしたりしている。
 しかもインターナショナルクラスでも、希望で毎日タイ語を勉強(?)することもできるとか。
 うーん、ここならよさそう。やっぱり子供は遊ばなくっちゃね、と早速入園申し込みをした。長女には、
「今行っている幼稚園(幼稚園その2)よりも、もっとたくさん遊べる幼稚園を見つけたの。勉強だけじゃなくて、絵を描いたり、粘土で遊んだりするんだって。お母さんは(長女に)もっとたくさんたくさん好きなことをして遊んでほしいんだよね。だからその幼稚園に行ってみる?」
と聞いた。長女は、ちょっと考えて、
「たくさん遊ぶの?いいよ。」
と言い、1月の下旬から幼稚園その3に通うことになった。
 学期の途中から編入したので、仲良しのともだちを作るのにちょっと時間がかかりそうだ。それを思うとかわいそうなことをしたかな、と思うのだが、やはり幼稚園その2にずっと行かせるわけにはいかなかったからな、と改めて思うのである。
 今回の幼稚園の件では、(長女への負担など含めて)かなり高い授業料を払う羽目になってしまったが、学んだことは大きかったよね、と夫と話している。たかが幼稚園とはいっても、やっぱり真剣に選ばなくてはならないんだなーとつくづく実感した未熟な親なのであった。


 現在私たちは空港の近くの借家に住んでいる。タイの家にしては珍しく、大きい窓がたくさんついている家で(たいていは窓が少なく、外からの光を遮るようなつくりになっている)、小さいながら庭もあり、結構気に入っている。何といっても家賃の安いのがうれしい。
 住み始めてもう5年になるが、その間に近所の顔ぶれもかなり変わってしまってこのあたりではもう古株である。借り始めたときはとりあえずの仮住まいのつもりで、こんなに長く住むことになろうとは思ってもみなかった。
 でも、ここで長女が生まれ育ち、今度は次女がその仲間入りと、家族の歴史とともに歩んできた家(!)。借家とはいえ、今ではなんだか愛着がわいて離れがたくなってしまったのである。
 ところが、この家の家主がローンの支払いをしていなかったらしく、家を差し押さえられてしまったようなのだ。というのも、昨日私たちの外出中に誰かがやってきたらしく、門のところにそういったことを書いた紙を貼り付けられていたのだ。もちろん家主からの連絡は何にもない。
 こういう場合、その家を借りている私たちはどうなってしまうの?何しろ契約書もなーんにもないのだ、、、。いきなり立ち退くようにいわれたらどうしよう?
あせった夫があわてて近所の人に相談すると、
「そのまま住んでいて大丈夫だよ。」
と。ほ、本当に?
 せっかく半定住への道を歩み始めたというのに、また放浪?さて、一体どうなってしまうのでしょう?それは来月号のお楽しみ。


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