んだんだ劇場2006年7月号 vol.91
No37
結婚願望

 今年の12月で、30歳になります。20代から30代に変わる瞬間を生きていますが、全くそういう実感がありません。【30歳まで、結婚をしたい】という目標達成の可能性が限りなく、低くなってきました。赤信号に変わる寸前の黄色信号の状況です。向こう側に渡りきれるか、ここで踏みとどまるのか…
 秋田県教員採用試験を合格し、正式に採用されてから、【30歳まで、結婚したい】という目標を心に誓いました。僕が24歳のときでした。その頃の僕は念願の教師になり、教師の仕事を覚えることに必死でした。心身にゆとりがなく、立ち止まって物事を考える時間はなかったように思います。教師生活が始まり、右も左も分からないまま、毎日が新鮮でした。そのときの僕は(今は24歳…30歳まで、6年間もある。きっと、この6年間で良い出会いもあるだろう)と楽天的に考えていました。
 それが…である。(どうして、彼女ができないのだろう)と自分の生活を振り返りました。ちなみに、生徒は「ずっと…先生は結婚して、子どもがいると思っていました」と、10人中8人くらいの高い割合で話してきます。初めて生徒に言われたとき、さすがに驚きました。僕と接する人間に、そんなことを言われたことがなかったので、生徒に理由を聞きました。「先生の落ち着いているところですよ。先生の雰囲気で、先生の年齢は30代後半と思っていました」と違和感なく話をする生徒に、僕は呆気にとられていました。間違ったイメージは払拭しようと、生徒に「今、彼女募集中ですよ」と伝えました。すると、「先生、がんばってください」と生徒に励まされました。
 僕の1週間の凡そのスケジュールを書き、どのように生活スタイルを変えると、彼女ができるようになるのかを考えています。
・ 月曜日…午前6時30分起床。午前6時40分に、ホームヘルパーが来ます。ヘルパーに朝食を作ってもらい、食べている間に部屋を片付けてもらいます。歯磨きや洗顔をしている間に、部屋に掃除をかけてくれます。それから、ワイシャツやネクタイ、背広を着せてもらい、寝癖を直してもらいます。全て終わると、だいたい午前7時40分になっています。ヘルパーは1時間契約の仕事を終えて、僕は学校へ出勤する準備をします。近所の生徒が迎えに来てくれて、一緒に学校へ行きます。午前8時〜午後8時頃まで、学校に勤務。帰宅後、母が部屋で待っています。背広やネクタイ、ワイシャツを脱がせてもらい、母が作ってくれた夕飯を食べます。入浴後にテレビ朝日系列「ビートたけしのTVタックル」を見ます。その後、新聞を読みます。地方紙の秋田魁新報と朝日新聞を読み終わった後、メールの送受信をします。その後は、プライベートタイムです。持ち帰った学校の仕事をしたり、原稿を書いたり、依頼を受けた資料を作成したり、読書をしたり、音楽を聴いたり…だいたい、午前0時を過ぎると、就寝しています。
・ 火曜日…午前6時30分起床。母が通勤途中に寄ってくれます。午前7時20分ころまで、朝食と身支度を整えてもらい、母は会社に出勤します。生徒が迎えに来るまで、新聞を読んだり、フジテレビ系列「めざましテレビ」を見たりしています。午前8時から午後7時ころまで、学校に勤務しています。帰宅後、母が背広やネクタイ、ワイシャツを脱がしてくれ、すぐにスポーツウェアに着替えて、西部公民館に行きます。地域の《西部卓球愛好会》というサークルで、卓球の練習をします。午後9時まで、気持ちよい汗を流します。自宅から、車で3分です。母が送り迎えをしてくれます。午後9時から、母が作ってくれた夕ご飯を食べます。食べ終わった食器を片付けたら、母は車で3分の自宅に戻ります。入浴後、新聞2紙を読み、プライベートな時間を過ごし、午前0時を過ぎたら、就寝します。
・ 水曜日…午前6時30分起床。午前6時40分に、ホームヘルパーが来ます。月曜日と同じ流れです。生徒と一緒に学校へ行きます。午前8時から、学校で勤務。夜に卓球の練習がないので、仕事の区切りがつくまで、学校に勤務しています。職場と自宅を完全に分けて、職場で仕事をして、あまり自宅に仕事を持ち込まないように心がけているので、帰宅時間が遅いと思っています。帰宅後は、火曜日と同じ。特に、見たい番組もないので、ゆっくりとプライベートな時間を過ごしています。
・ 木曜日…火曜日と同じく、母が来ます。その日は、土崎体育館で「みなと卓球サークル」の練習があります。仕事を早く切り上げて、午後7時前に帰宅できるようにしています。母の送りで、土崎体育館に行き、2時間程度卓球の練習をします。午後9時に練習が終わり、友だちの迎えで、自宅に戻ります。自宅に着くと,午後9時30分頃。フジテレビ系列「とんねるずのみなさんのおかげでした」の1コーナー「新・食わず嫌い王決定戦」を見ながら、夕ご飯を食べます。午後10時ころ、食器を片付けてから、入浴。いつものように、プライベートな時間を過ごします。週の半ば、しかも卓球の練習後であり、気づいたら、寝ていることが多いです。
・ 金曜日…午前6時30分起床。ホームヘルパーが来てくれます。いつも通りに出勤します。午前8時から午後8時ころまで、勤務しています。金曜日は卓球の練習がないので、週末はなるべくプライベートな時間で過ごしたいので、仕事を片付けて帰ってきます。そのため、帰宅時間が遅くなります。また、ときどき、友人・知人と飲みに行くときがあります。〈類は友を呼ぶ〉ように、男ばかりで、色気もない飲み会。もっぱら、仕事上がりのビールに美味しさを感じています。やっぱり、僕はオッサンなのかな…
・ 土曜日…午前8時頃起床。朝食はパン。コーヒーを飲みながら、食べます。午前中は通院or会合or読書or男子卓球部の練習or外出、のどれかです。昼食は家で食べるか、外食するか、まちまち。午後は秋田県勤労障害者スポーツセンターで、秋田県身体障害者卓球協会の活動として、卓球の練習をしています。午後1時から午後5時頃まで。母が送り迎えをしてくれます。母が作った夕ご飯を食べて、午後7時から午後9時まで、秋田卓球会館で卓球サークル「夕凪クラブ」の一員として、卓球の練習に励んでいます。練習が終わり、自宅には午後9時30分頃着きます。入浴後、プライベートな時間を過ごします。たまに、DVDの映画を見て、気分をリフレッシュします。午後11時55分から、日本テレビ系列「スポーツうるぐす」を見ます。スポーツニュースをチェックします。次の日の予定に合わせて、就寝します。
・ 日曜日…基本的に、1日中、予定を開けておきます。この日は、パソコンに向かって、依頼された原稿を書いています。文章に詰まると、近くの新屋図書館に行き、週刊誌類を読み、気分転換をします。また、同じく近くの「アトリエ ももさだ」に行き、主に秋田公立美術工芸短大の学生の作品を見ます。昼食はカップラーメンやレトルト食品で済ますか、チャーハンやスパゲッティーなど簡単な料理を作るのか、外食するのか…その日の気分次第です。午後3時過ぎころ、近くのスーパーに買い物に出かけます。電動車いすでの道中は、とても気持ちの良いものです。1週間分の生活用品を買い込みます。夕食は、母が作ってくれます。入浴して、午後10時からNHKBSの大河ドラマ、午後11時30分から日本テレビ系列「スポーツうるぐす」を見ます。その合間に今週1週間を見通して、仕事をします。午前0時を過ぎると就寝します。
 このような1週間を過ごしています。仕事以外に、卓球の練習に多くの時間を費やしています。それだけ、卓球に熱中しています。とても良い気分転換になっています。来年の秋田わか杉大会(全国障害者スポーツ大会)に出場することを目標に練習を励んでいます。(地元開催の国体で、生徒に自分の卓球を見せたい)気持ちでいます。生徒に「目標を達成できた・できないのでなく、目標を達成するために、どのくらいのことをしたのかが大切だと思います」と話しています。そのために、今、個人的に僕を指導してくれる方を探しています。指導料を払って、卓球の技術を向上していきたいと考えています。「彼女募集と言うなら、卓球の練習を減らして、女性と出会う機会を増やしたら…」と言う友だちと、「好きな卓球に打ち込んでも、良いと思うよ」と言う友だちもいます。あいにく、卓球サークルで若い女性が練習に来ることは、ほとんどありません。
 友だちに「オレも、合コンに誘ってよ」と頼んでいます。まだ1度も、合コンに行ったことがありません。心の底から(合コンをやりたい!) と思っていますが、誰も誘ってくれません。「学校の先生は、合コンに参加したらダメじゃないの!」と友だちは言いました。「そんなこと、ないと思うよ」と答えましたが、何となく自信がありません。社会の目は教師に対して、厳しいのかなと思います。
 祖父は84歳、祖母は78歳になります。「あとは、マナブにイイ嫁さんが授かってくれることだけだぁ」とこの世の最後の望みが僕の結婚であるかのように、話をします。「新聞広告の見合い斡旋会社に相談してみたら」と言われますが、どうも乗る気になりません。「見合い話はないの?」と聞くと、「昔はあったけれど、今の八郎潟町では全く聞こえてこないな」と祖母。「それよりも、自分でイイ人をここに連れて来いよ」と祖父。結婚願望のある僕には、つらい話です。母は自分が恋愛結婚したので、「イイ人を見つけて来い」と一点張り。ときどき、講演依頼やパネリストの依頼があります。「講演などで、あなたの話を聞いて、あなたに興味を持つ女性はいないの?」と母は言います。「さあね」と惚けています。でも、心の中で期待しています。 
 今年の12月で、三十歳になります。これまでの自分の生き方を振り返り、自分の気持ちを伝えることで成し遂げてきたことに気づきました。大学生のとき、「家庭教師になりたい」気持ちを友だちに伝えたことで、友だちの協力を得て、成し遂げることになりました。その経験が教師を目指していく自信につながっていきました。このように、節目で自分の気持ちを伝えてきました。ちょうど、今、その節目の1つかもしれないなぁ…以前は恥ずかしくて言えませんでした。だけど、今は…。ある友人は「彼女募集中と呼びかけるのも良いけど、その呼びかけに呼応する女性は少ないと思うよ」とポツリ。「じゃ、どうすればいいの」と聞くと、「恋愛に、シナリオはないからなぁ」とキザなセリフを言いました。
 これから夏になりますが、僕の心の中は寂しいです。


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