んだんだ劇場2006年3月号 vol.87
No32 マンゴーの季節

もう夏
 乾季になって庭の木の葉がすっかり落ちたと思ったら、もう新しい緑の葉で覆われている。道の脇には、赤や黄色やオレンジの極彩色の花をつけた木々が立ち並び、チェンマイに春、いや夏がやってきた。
 日一日と気温が上がってくるのがわかる。汗っかきの次女はさっそく頭に汗をかいている。私たちが汗をかきはじめるのも時間の問題であろう。ひんやりと涼しい大好きな乾季が終わってしまうのがとても名残惜しい。
 唯一うれしいのは、これでそろそろ風邪の季節ともお別れ、ということか。乾季の間の乾燥気味で一日の気温差の激しい日々は風邪をひくのにもってこい。去年の暮れ辺りから、娘二人はやっと風邪が治ったと思ったら次の風邪という具合にどんどん風邪を引き続け、全く休みなしだったのだ。ずーっと鼻水たれたれだった次女は、今では一才児とは思えないほど上手に鼻をかむ。そしてとうとう最後には私たち親もしっかり風邪をもらってしまった。咳が全然止まらない。もうそろそろこの辺にしたいものである。
 家の周りではマンゴーの木が花をつけ始めた。その実の華やかさとは対照的にとっても地味な花である。でもそのうちに実がつくと、葉の陰からぽろんぽろんとかわいくぶら下がるのだ。
 マンゴーはこの暑い季節の間に大きくなっておいしくなる。マンゴーを励みに暑い季節を乗り越えよう!

マンゴーの花 ススキに似てる?

次女の保育園
 2月の始めから次女が保育園に行き始めた。ちょうど一歳半である。泣いたのは最初の数日だけで、今では嬉々として通っている。同じ年代の子供もいるし、遊び道具もいっぱいあるし、やはり楽しいのであろうか。
 実は、2月中はリサーチのデータ収集が大詰めで、ほとんど毎日フィールドにでかけなければならなかったため、やむをえず保育園に入れることにしたのである。でも今のところ本人が泣かずに行ってくれているので、ありがたい。
 唯一私が心配しているのは、彼女が他の子供たちをたたいたりかんだりしていないかということである。
 どういうわけか強気で乱暴ものの彼女は、家では長女をたたくわ、かむわで大変なのだ。誰も次女をたたいたりかんだりしたことはないのに、一体どこで覚えたのであろう。これを保育園で他のお友だちにもやってしまったら、、、と考えるととても不安だ。
 内気な長女が幼稚園に行きだした頃は、ちゃんとお友だちができるのか、幼稚園に馴染めるのか、と気をもんだものだが、この違いは一体なんなのだろうか。姉妹でも本当に性格が違うのだ。
 さて、この保育園ですごいのは、な、なんと各部屋にテレビカメラが設置されていて、子供がどうやって一日を過ごしているかを保護者がインターネット上で見られることである。
 次女を送った後、そそくさと家に戻り、さっそく夫と二人で見てみた。おおっ!すごい!ほんとにうつっているではないか!
が、あまりにも画面が小さすぎてどれが次女なのかよくわからない。
 よくよく目を凝らしてみてみると、どうやら昼寝している子供にちょっかいを出しているのがそれらしい。その子の頭のあたりをつんつんとつついているような気がする。こらこら、ジャマするんじゃありません!
 はっきり見えないのだが、なんだか目が離せなくなってしまう。なんともおもしろく、かつ危険なシステムである。これでは日中なにも手につかないではないか!
 でもしばらくは次女が他の子供たちに危害を加えていないか、これでチェックしてみることにしようかな。

データ収集大詰め
 タイの学校は3月に入ると一斉に学年末試験が始まり、それが終わると長い夏休みに入る。
 小学校の子供たちを一年間追いかけてきた私の研究もそろそろ終盤。
 2月上旬からほぼ毎日、研究対象になっている小学校に出かけてアンケート調査をしたり、インタビューをしたり、データ収集も大詰めである。
 朝は、まだ時間の感覚というものが存在していない娘二人を必死に急がせて7時半に家を出る。それからボランティアスタッフを迎えに行ったあと、次女の保育園へ。その後長女を幼稚園まで送り、いざフィールドへ。
 この段階で既に疲れているのだが、なんとか気合を入れなおして小学校へ到着。いつもテンションの高いボランティアのJ君と無給アシスタントの夫が、二人で取り仕切ってやってくれるので、かなり助かる。
 アンケートの場合は午前中に二クラス、午後に二クラスで実施する。それが終わるともう3時。娘たちのお迎えに行かなければならない。そしてまた一路チェンマイへ。
一人ずつピックアップし、J君を送り届けた後、家に帰ると、洗濯物の取り入れ、娘たちの入浴、そして食事。わめく娘たちの歯を磨き終わると、もう7時半。また明日の朝早いので彼女たちをベッドに入れる。
 本を読んで寝かしつけ、思わず自分も意識を失いそうになるところをなんとかふんばって起きてくると、夫が洗濯機をまわしている。
 私は今日のデータの整理と明日の準備。ついでに娘たちの幼稚園バッグの中身も準備すると、もう限界。私もさっさと寝ることにする。
 こんな毎日が一ヶ月続いていたのだが、3月に入ってやっと終わりが見えてきた。あとは先生のインタビューが一人分残っているのみだ。やったー!といいたいところだが、これからが肝心だ。
 とうとう、とうとう書かなくてはならない日々がやってくるのである。とても不安であるが、頑張らなくては、、、。


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