んだんだ劇場2006年9月号 vol.93
No37 我が家生態史

子どもたちの新学期
 このところのチェンマイは雨が降ったりやんだりと涼しい毎日が続いている。時折の大雨で洪水警報が出ることもあるが、現時点ではまだ昨年のような被害は出ていない。雨季はあと約3ヶ月。どうかひどい洪水になりませんよう。
 次女が2歳の誕生日を迎えた。ぐんと子どもらしくなり、長女と一緒に遊ぶようになった。語彙もだいぶ増えてきて、コミュニケーションの質もぐんとアップ。ちなみに「じゅ、たーい」は「水、のみたーい」。「しい?」は「おいしい?」。現在のところ、語尾のみである。お姉ちゃんが大好きで、いつも「まにゃー、まにゃー(まな、まな)」と後ろをついて歩き、着替えるのも、歯磨きも長女にやってもらいたがる。その上ちょっと太めの体で長女に馬乗りしてとびはねるわ、気に入らないことがあるとたたくわ。優しい長女はそれでもじっと我慢。お姉ちゃんはつらいよ、である。
 さて長女はこの8月からKG3つまり日本の幼稚園でいう年長に進級し、新しい学校に移った。第一志望に落ちてからあわてて他の学校を受けに行き、結局家から近いところに行くことになった。幸いなことに、前の幼稚園で仲のよかった子も同じ学校に行くことになったのでほっとした。
 この学校は比較的新しいインターナショナルスクールで、タイの生徒に引き続き、韓国などからの生徒も多い。新学期が始まったばかりなのでまだよく様子がわからないが、とりあえず第一日目、長女が「楽しかった」と言って帰ってきたのでほっとした。母親は心配でドキドキしてはほっ、どきどきしてはまたほっ、の繰り返しだ。
 次女は長女が今まで通っていた幼稚園(といっても2歳児クラス)に移った。彼女は1歳6ヶ月から保育園に通っているので、もう慣れたもので学校が変わってもへっちゃらだ。長女が新しい学校に行くために新調したバックパックと同じものを買ってもらい、自分でオムツも入れて、それを小さな背中にしょって通っている。ちょっと山へ薪をとりに行くおばあさんのようだ。
 私は10月のロンドン行きに備えて、また論文を書き始めた。いろいろと小さなミスに気づき、結局集めたデータの分析をもう一度やり直すことになってしまった。正確に言えばもう5回以上やり直ししている。でも結局はコンピューターの統計解析ソフトがささっと計算してくれるわけで、いうほど大変ではない。母に言わせれば「私たちの時代は、手回し計算機をぐるぐるまわして大変だったのよ」ということで、文句を言ってはばちが当たるというものだ。
 それにしてももう9月。37歳の誕生日がすぐそこだ。お肌はまだいけそうだが(?)、脳みそはどんどん退化しているような気がする。将来のことに関してはまだ思考が停止している。とりあえずやらなければならないことをこなして毎日を生きている。

生き物大集合
 雨季は生き物たちが元気になる季節である。あんまり元気になりすぎて、彼らは家の中にもやってくる。
 茶色に黒、大小さまざまなアリたちはどこからともなくやってくる。壁に列を作り、絨毯の上をさまよい、湯沸しポットのなかにも入り込んでは溺死する。棚に食パンでも置いておいたら最後、次の日の朝にはアリがたかってゴマ食パンに早がわり。仕方がないので何でも冷蔵庫に保管する。
 茶色と黒のちょっと変わった模様がついたカエルは、お風呂場が大好き。どうやら日中は部屋のすみに隠れていて、私たちが寝静まる真夜中になると、そろそろと風呂場へゆき、水浴びをしているらしい。朝になると彼が部屋の隅からくっつけて来たらしい埃やゴミが風呂場の片隅に残っている。
 変わったのになると、台所の流しのすみのスポンジ置き場にこっそり隠れていたり、洗った食器を置いておくトレーの片隅にじっとしていたりする。見つけるたびに外に出してやるのだが、また次の日になるとやってくる。なぜそんなに家の中が好きなのか。実によくわからない。
 夕べはベッドのまわりに蚊帳をつっていたら、蚊帳にくるまっていた赤いムカデを発見。うーん、君は一体どこからやってきたのか、、、。
 まあ我が家が隙間だらけということなのだろうか。
 だいぶ生き物関係には強くなってきた私だが、やはりお手上げなのはテラテラ光る大きなゴキブリだ。あまりにも大きくて気持ちが悪いので、スーパーにゴキブリホイホイのようなものを探しにいった。となんと、まさにゴキブリホイホイがあるではないか、、、。早速購入して台所の隅に設置。と、翌日にはもう2匹のゴキブリがかかっていた。しかしそのゴキブリに向かって、今度は長い長―いアリたちの行列が、、、。
 自然に囲まれているといえばそうなのかもしれないけれど、ねえ。

寝る前のお祈り
 私はクリスチャンではないのだが、寝る前に時々お祈りをする。例えば、「今日は楽しい一日をどうもありがとうございました。どうか明日も愛萌と爽萌が元気で楽しい一日を送れますように。おやすみなさい。」という感じ。
 これが次女バージョンになると、「んにゃんにゃんにゃーに!んんんんーに!んんんんーさい!」(語尾だけ真似している)
 そしてこれが必殺長女バージョン。
「どうかあしたあめがたくさんふりませんように。みんながたのしくくらせますように。それからまほうでおかあさんがあまりおこらないようにしてください。それからわたしがあまりやんちゃをいいませんように。おやすみなさい!」
 そして皆満足して眠りにつくのである。


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