んだんだ劇場2007年4月号 vol.100

No11− ジッコへの道−

天童はなかなかいい街だった
 この週末は車で山形・天童へ。うちの先祖はこの天童の北西にある「小山家(こやんべ)」という小さな城の城主だったそうだ。それが最上と天童の戦いの余波を受け、その地に居られなくなり秋田・増田に逃げ、帰農して安倍姓を名乗った、といわれている。400年前の1603年のことである。そのご先祖の城跡を見にいってきたのだが、ちょうどその場所で果樹園をやっているTさんが農作業中で、アポなしの来訪だったのにもかかわらず丁寧に対応してくれ、周辺を案内までしていただいた。りんごやプラムの木の間をぬって小さな山を走り回り、それから群立郷土資料館や市立図書館に行き資料類を確認、小山家城の対面にある天童城のあった舞鶴山にも登った。その後、ゆっくり街中をほっつき歩いたのだが、「華やかな温泉街」というイメージが強かったのだが、文化的にも成熟している街で、先祖の地であるという身びいきをさっぴいても、奥の深い、好きになれそうな街だった。美術館も充実していて広重美術館、斉藤真一心の美術館、出羽桜美術館まで個人の美術館も多くあり、そのほとんどを1日がかりで駆け足で観て来た。有名な「水車そば」にさして感心しなかったが、近くにあった小さな老夫婦のやっている団子屋さんのお団子は美味しかった。街中どこもが「古今雛」の展示が花盛りで、この雛人形の多くは京から買ったもの、というのも驚いた。紅花の生産地だったため北前船で地主たちが取り寄せたものらしい。雛たちの着る着物が紅花で染め付けられているのだ。いたるところで(温泉や山菜料理屋さんでも)古今雛の展示があり、ちいさなお店に入っても必ずどこかに雛人形が置いてあるのには感心した。今回は下見のつもりだったので安いビジネスホテルに泊まったのだが、今度来るときは奮発して温泉に泊まってみよう。
城址の前には看板もあり、安倍家のことまでちゃんと書いてあった
ここが城のあった丘のてっぺん
反対側の天童城のあった舞鶴山から小山家城のほうを見る

フィットネス・山の学校・MBT
1週間が過ぎるのは本当に早い。先週はどんなことをしたっけ? と考えてもせいぜい2,3のことしか思い出せない。こんな風に年齢とともに時間はどんどん早く過ぎ去っていくのだろうか。怖いなあ。それでも、日常がちょっと変化したのはスポーツクラブ通いが1ヶ月になったことか。すっかり1日の中心(核)としてフィットネスがまた日常の中心におさまった。ダラダラ単調に流れるだけの時間がフィットネスでいったんリセットされる。身体の中の淀んだ空気が新鮮なものに入れ替わる。やるまえと汗をかき終わった後では、まるで世界が別のものになるから不思議だ(元の淀んだ世界に戻るのも早い)。いまは週2,3回の頻度だが、過去の教訓(やりすぎて帯状疱疹でダウン)から週2回ほどに定着させようと思っている(この1ヶ月間ではジム通い15回。こりゃ多すぎ)。
身体が動き出すと、気持ちも前向きになってきた。突然、山岳ライタの藤原優太郎さんが主宰する「山の学校」に入校した。月一回あるアウトドア企画に参加させてもらうためだ。さっそく山ろくの雪のブナ林を歩く「鳥海山スノーシュートレッキング」に参加申し込みをしたのだが、直前によんどころない用事ができ断念。スノーシューというのは「西洋かんじき」のことで、久々にクロカン・スキーで雪野を散策、と楽しみにしていたのだが、そううまくことは運ばない。まあ、徐々にアウトドアと付き合おう。今年はこの学校のお世話になって、いっぱい山で遊ぶつもりだ。引きこもりとはもうおさらばだ、って子どもかジブン。
もうひとつ。これも健康関連、趣味の散歩に関する最新情報。あるHPで知ったのだが、歩き方を根本的にかえる靴があるときき、あたらしもの好きとしては矢も盾もたまらず、買ってしまいましたウフフフフッ。MBT(マサイ・ベアフット・テクノロジー)という靴で、これは靴というより歩き方の矯正トレーニング・ギア。この靴は通販で買えない。正しい使用方法のレクチャーを受けなければ売ってくれないからだ。秋田ではICI石井で買えた。さっそくレクチャーを受けたのだが、けっこうこれが難しい。靴には歩き方のDVDもついていて、間違った歩き方をすれば逆効果になる難しい「矯正靴」である。そこが山型になっていて不安定、バランスをとるだけでていっぱいなのに、正しい姿勢で踵から小幅でシャカシャカ歩かなければならない。毎日、控えめに15分間、この靴を履いてゆっくり歩いている(ヘンな癖がつくので長い時間歩くのは禁止されている)。まだ1週間ほどだが、この靴を履いていないときもたえず背中の曲がりに気を使うようになった。これも効果だろう。しかし、昼食を抜いてリンゴ1個のダイエットも併行しているのだが、体重はこの1ヶ月間で2キロほどしか落ちていない。ボチボチやっていくしかないね。
これが靴底が不安定なMBT
冷蔵庫は昼飯用のリンゴでいっぱい

新刊ラッシュと年度末とジッコの道
 学習能力がない、と笑われそうですが、今週1週間に5冊の新刊が集中して出てしまいました。お役所の年度末で、どこもかしこもむちゃくちゃ忙しいこの時期に、よりによって23日から隔日新刊ラッシュが続き、30日ようやく最後の5冊目が出て、全部の作業が終了しました。ホッとしているところです。
 この下旬には定例の春のダイレクトメールを出し終えて一息ついたばかりでしたが、この愛読者への定期便に「んだんだ通信」というミニコミ誌をあらたに製作同封したため1週間ほどの時間がとられました。年2回の棚卸や編集を請け負っている季刊誌「ラルート」の発売、公官庁仕事の年度末締め切りも、すべてこの下旬に集中、テンヤワヤでした。でも4人の人間がいつもと変らず淡々と作業をこなし(毎日10時過ぎまで仕事をしていましたが)、どうにか新しい年度を迎えることが出来ました。確か去年は若いアルバイターが3人ほど常駐し、この忙しい年度末を乗り切ったのですが、ロートルだけでもやれば出来るもんですね。4月からはまた穏やかな日々が帰ってくる予定ですが、ひとり60歳定年退職を迎える人間がいて、しばらくは3人体制でシコシコやっていくことになりそうです。会社としては、忙しいにこしたことはないのですが、人員や能力、年齢や環境を鑑みれば、昔のような猪突猛進型の仕事や長期じっくり調査型の仕事は難しい、となかば諦観しています。目の前の仕事を丁寧にひとつひとつクリアーしていくしかありません。個人的には近所のスポーツクラブ通いを再開し、友人が主催する「山の学校」に入校して今年は山登りでがんがん身体を苛め抜くつもり。身体は元気なのに、気持ちが付いていかない、まさに「ジッコの道」をとぼとぼ歩んでいます(ジッコは方言で老人のこと)。
これが5冊の新刊
愛読者用の通信と季刊誌ラルート


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