んだんだ劇場2007年5月号 vol.101

No12− 登山、花見、トンカチドンガン−

大人の遠足に行ってきました
 3年ぶりかな、東京奥多摩の山に登って以来だから4年ぶりか。山登りを再開しました。山頂にまだ雪の残る、早春の男鹿三山の山歩きを楽しんできました。再開を祝うかのように前夜から雨と雷が降り注ぎ、朝の天気予報では前線が真上で居座り、大雨、雷、波浪、強風……ほとんどすべての注意報が出てくれました。なのに不思議なことだが「大丈夫だろう」というまったく根拠のない自信があり、集合場所に行くと他のメンバーも当たり前のように雨のバスに乗り込んできました。雨でも嵐でも「とにかく山に入りたいッ」のです。「山の学校」メンバー8人と共に市役所前を朝7時出発。北浦の真山神社から歩き始めるころには、あら不思議、雨はやんでいました。きつく長い登りが終わる山頂の自衛隊道路につくと同時にものすごい雨。その雨の中で優雅にコーヒータイム。その後はダラダラのくだりが続き、五社堂について昼ごはん。寒かったし登りもきつかったのでが、ベテランクライマーたちの足慣らしに足手まといにならず付いていけたことに、まずは大満足。雨でしおれていたがカタクリの花がきれいだったし、危険なトリガブトがいたるところに生えているのにも驚きました。観光地の男鹿にたいしては批判的な視点しかもっていなかったのですが、いやぁ自然はかなり奥行きがある。派手な観光地とは裏腹に、シックでシンプル、さりげなさが魅力的。大人の遠足地としては穴場ですね。
みんなで記念写真
まだ雪が残っている
かたくりの花

桜・新聞連載・山の学校
 今週、ようやく秋田は桜が満開となりました。近所の大学病院前の桜もなかなか風情があるのですが、もう少し足を伸ばし、市街のど真ん中にある千秋公園の夜桜を「花見」前夜に見て来ました。人のいない咲き始めの桜もいいものです。以前、酔狂にも弘前まで足を伸ばしたこともありますが、その巨大イベントぶりに、とてもついていけませんでした。あれでは朝っぱらから酒でも飲んでハチャメチャにならないと、ハイテンションの「祭りモード」とつりあいません。うるさいだけ選挙戦に迷い込んだような感じでした。そういえば津軽は選挙と祭りが好きですもんねぇ。桜は一人で静かにぼんやり見るのが一番いいかも。

 仕事の忙しさは一段落しました。朝日や岩手日報、春のDM発送や新刊ラッシュ、新年度締め切りの公官庁関係の仕事、すべて終了。おまけに3年余り週一で書き継いできた朝日新聞秋田県版の連載『食文化あきた考』も120回で最終回を迎えました。本当は100回で終わる予定だったのですが、朝日側の意向もあり20回分追加。けっこう調べることが多くしんどい連載だったのですが、終わるとなると「あれも書けばよかった、これも書きたい」と未練も出てきて、こまったものです。朝日と入れ替わりに4月からは、河北新報(仙台市)に「元気東北」という、これまた週一のコラムを書いています。秋田県大館市の北鹿新聞にも週一で「メタボ・オヤジどすこい奮戦記」という同時進行ダイエット連載を無謀にもはじめてしまいました。どちらもウェブで読むことができます(たぶん)。朝日は最終120回目がGW前で、その後は月一で「あきた時評」というリレーコラムを引き続き担当します。ですから仕事はヒマになっても、毎日机に向かって、でまかせ無意味原稿をせっせと書いています。

 忙しさからようやく抜け出ても原稿書きで四苦八苦の毎日です。自分で自分の首を占めているだけなのですが、そんななかで楽しみは週3回は行くスポーツクラブのエアロビクス。それと週末の山登りです。明日はその「山の学校」の入校式。この年になるまでほとんどの組織や会員なるものと無縁でしたが、このアウトドア・クラブには積極的にこちらから入会(校)させてもらいました。先週の「男鹿三山お山 花めぐり」登山で、他の人たちに迷惑をかけない程度の体力がついていることがわかったので、今年の春は毎週県内のどこかの山に登ろうと思っています。週末は原稿書きにほとんどの時間をとられていましたが、これからはアウトドア専用です。東京への出張回数も減りそうです。
山の学校の校長・藤原優太郎さん
大学病院の桜と太平山
準備たけなわ千秋公園のお花見

桜と事務所の改修工事
 今週いっぱいが秋田の桜の見ごろです。例年ですと桜の開花時期がいつかなんて、気にかけたこともないのですが、今年はどうしたことか桜が気になります。3月早々に鎌倉の鶴岡八幡宮で桜を見て以来、いろんなところで見かけた(といっても近所ですが)桜をパチパチ写真に撮ったりしています。何でこんなに季節感に敏感になったのかしら、とつらつら考えるに、ここ数年、目の前の石井さんの田んぼが住宅地に変わり、そのへんから季節感にすっかり無頓着になっていました。田んぼが目の前にあるといやおうなく「季節感」が現実のものになりますが、なったら元の木阿弥、季節感のない日々に慣れきっていました。それが今年に入って、3年ぶりにスポーツクラブに通うようになり頭よりもはやく身体のほうが季節に敏感に反応するようになりました。雑念が消えた感じとでもいいましょうか。同時に登山も始めたのでいっそう季節が気になります。東京に行く機会もめっきり減り、暇があればウォーキングするようになったのも影響を与えているようです。昔のように夜の散歩でなく昼時に街に繰り出します。引きこもりから一転、積極的に昼の街に出ているのです。そうなると風や雨、木々の緑や軒先の花々に自然に目が行くようになります。ま、そんなわけで、精神的にはきわめてニュートラルで穏やかな日々ではあります。
 桜と時期を同じくして事務所の改修工事がはじまりました。25年前に建てたものですので、窓枠から雨や雪が染み込んで内部を腐食させるのが心配なためです。5,6年前、突然シロアリが出現し、前面の壁をすべて引っ剥がしたことがありましたが、これも窓枠から染み込んだ雨水によってシロアリの絶好の住環境を作ったのが原因です。いまさら築25年の事務所に高額な修理費をかけて、と思われるかもしれませんが、小舎編集長は元内装業、建物は壁面や屋根からだめになっていくことをよく知っています。いっけん地味な作業ですがこれらのケアをちゃんとやることが建物を長持ちさせる秘訣です。せっかく足場を組んだので屋根の錆落としと塗り替えもやってしまうことにしました。事務所の内部は、これはずっと昔から禁煙だったので、ほとんど痛みはありません。タバコのヤニというのは建物を徹底的に老朽化させます。
 そんなわけで桜の季節に、事務所からはトンカチ、ドンガン、職人さんたちの作業音が鳴り響いています。
千秋公園の桜
近所の見事な桜の木
壁面に足場を組む
デスクの窓にいつも人


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