ずっと行きたかった場所「金山町」
最上盆地と庄内平野を結ぶ、古代の重要な山越えの官道である「与蔵峠」を歩いてきた。好天に恵まれきれいなブナ林の中を歩くのは気持ちがいい。途中にまぼろしの滝群やひっそりと湖沼などもあり、ほとんど登りのないピクニック気分の山歩きは楽でいい。帰りは山形・金山町にある谷口・四季の学校で「谷口がっこそば」を食べた。前から噂には聞いていたのだが、山中の廃校になった小学校で近所の主婦たちがおいしい板蕎麦を食べさせてくれる。山中にあるその場所についたときの最初の印象は「あれ、この場所、知ってる」という既知感だった。
与蔵沼を横に見て | ブナ林が気持ちいい |
もちろん初めてなのだが、この風景は確かに見たことがある。そうだ、10数年前、仙台の民俗研究家・結城登美雄さんが「この廃校を利用して、面白い町おこしを考えてるんだ」といって見せてくれたスライドの、あの場所ではないか。調理しているお母さんに、結城さんの名前を出してみると案の定、その通り。ここをつくるときのアドバイザーが結城さんだった、という。そのころから「金山はいい町だよ、一回行ってみた方がいい」と結城さんだけでなく何人もの人に言われていたこともあり、今回は秋田市に帰る山仲間を見送って、私一人、金山町の「シューネスハイム金山」に宿泊した。翌日、半日かけてじっくり町を歩いてきた。昼は町の真ん中にある「草々」という蕎麦屋さんで、またしても板蕎麦。イザベラ・バードの碑があることで知られているが、公文書の情報公開を全国に先駆けて条例化した町でもある。鉄道は通っていないから帰りはバスで新庄まで出、そこから各駅列車に乗ってゴトゴト秋田市までのんびり帰ってきた。また行きたい町だ。