んだんだ劇場2007年9月号 vol.105

No16− ラジオ体操と人間ドッグ−

ラジオ体操から感じたこと
 梅雨が明けてから、雨ばっかりの日々。田んぼにとっては恵みの慈雨、懸念されていた水不足への不安解消にもなるし、まずは喜ばしいことといっておこう。
 8月は山のサークルが県外の難易度の高い山々に遠征するので、私のような初心者はスケジュールは真っ白。それではちょっぴりさびしいので7月末には鳥海山の鶴間池、先週は栗駒山に一人で登ってきた。栗駒は土曜日に登る予定が台風で中止、いったん一関市側に下りて、前から行きたかった奥州市水沢の「高野長英」「後藤新平」「齋藤實」の記念館を見学、一泊。翌朝早く再度栗駒に挑戦した。風が強く登山者は少なかったが、どうにか一人で頂上に立つことができた。うれしい。
 先週のニュースに唐突にラジオ体操の画像を入れましたが、「夏休みといえばラジオ体操」という単純な発想から、近所の神社に取材に行ったものです。取材といえば格好いいですが、少々夏バテ気味だったので、子どもたちから元気をもらおうというもくろみもありました。朝早く起きて、行って、見て、驚きました。子どもたちはまるでやる気がなく、おまけにラジオのチューニングがうまくいかず、はじまって5分で体操は終了。父兄も3,4人来ていましたが、イニシアチィブをとる人物が皆無。とにかくダラダラしているだけなのです。子どもや大人のリーダーがいないのがすべての原因です。早起きしたのにガッカリ、神社に車で送り迎えする母親もいたのには驚きました。リーダーって大事なんですねえ。余計なおせっかい焼きみたいに思われている大人のフォローも、大きな意味があることに気がつきました。今の親は自分の子どもは猫ッかわいがりなのに、他人の子どもはどんなことをしても見て見ぬフリ、という現実も目の当たりにしました。元気をもらうつもりが、逆に日本のいびつな教育の断面を突きつけられたようで、けっこう疲れてしまいました。
ロケーションは理想的なラジオ体操だけど
高野長英が診察に使った駕籠です
昭和湖の水も少ない栗駒

いろいろあった1週間でした
 15日の健康診断は人間ドッグ。初めてです。糖尿病の検査や検便、骨粗しょう症や眼底検査など、いつもの健診と違ったメニューがたくさんあり5時間以上拘束されてしまいました。
 16日は朝早くから飛行機で東京へ。これも久しぶりです。あわただしく用事を済ませ1泊して仙台へ。東京1泊というのは極めて珍しいのですが、正直なところ東京への興味はすっかり失せてしまいました。時間があるとひたすら今度出す本の原稿に手を入れてました。旅をしながらこんなに仕事をしたのも初体験です。
 本の街といわれる神保町ですが、本の社会的ステータスが低くなることと連動して急速に「普通の街」に変わりつつあります。泊まったのはJR田町のそばにあるVホテルで、ここが最近の東京の常宿で気に入ってます。仙台ではちょっと体調を壊し(というか古傷が急に痛みだし)、晩御飯を食べた後はずっとホテルで本を読んでいました。
 秋田に帰ってからも原稿の手入れの続きがあり、ずっと事務所にこもり続け。こんな作業が好きなんでしょうね結局。
 22日は「山の学校」の街道歩き企画「俳人芭蕉の道をたどる」旅に参加。あいにくの雨で参加者も少なかったのですが、いつものように自分がいかに何も知らないかを知った旅でした。
 原稿を書いたり、旅をしながら、吉村昭の文庫本をいつも携帯、読んでました。「破獄」と「間宮林蔵」を読破、次の本を探していたら突然「いつまでもデブと思うなよ」(岡田斗司夫・新潮新書)が飛び込んできました。ネットで購入し3時間ほどで読了、にらんだとおり、この本は最近自分が考えている減量法とほぼ同じ。彼は実践し、私は考えているだけ、の違いです。テレビでこのオタク研究者がげっそりやせていたのをみて驚いたのはつい先日で、この本はタイミングがいい。1年間で50キロの減量に成功した評論家の実践記です。
リーズナブルで清潔なホテルが東京にもある
山形最上町にある平坦地の分水嶺


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