んだんだ劇場2007年12月号 vol.108

No19− 交通誘導員と肥満−

声嗄れて、少し忙しくなってきたようだ
 なんとなくあわただしい1週間でした。今、声が嗄れています。話していると急に声が裏返ったり、うまく喉に空気が入っていかない状態になり、搾り出すような感じでしゃべっています。声が嗄れたのは先週いっぱい、いろんな場所に出かけて、いろんな人とおしゃべりしたためです。普段は事務所を動かないので声を出すのは電話や家人とぐらいですが、なぜか先週はいろんな人としゃべりっぱなしでした。
 週のはじめに、いつもお世話になっている「山の学校」の協同作業(山から水を引くための準備作業)に参加しました。終わってから、生まれて初めて「芋ほり」をしました。とった芋はストーブで焼いて食べたのですが、これがうまかった。野外での作業でしたが登山と違い、楽しいおしゃべりを交わしながらの作業だったので、ほとんど遊びのようなものです。
 県北部に行く機会が減っていたのですが、阿仁町(北秋田市)にも行ってきました。食文化に関するお話の仕事で、いくつか個人的な収穫がありました。いつも関心の多くは県南部に集中する嫌いがありますが、阿仁と鹿角は県北部でも突出して面白い場所だなあ、といつも思っています。もう少しこの町のことを探訪してみたい。
 週末は仙岩峠を歩いてきました。紅葉は落ち葉になり、そのフカフカの落ち葉の古道を、国見峠から雫石側まで旧秋田街道を楽しんできました。途中、貝吹山(992m)頂上で昼食をとり、帰りは道の駅「雫石あねこ」で温泉、中仙町の若竹では「そば」を食べてきました。
 仕事のほうも少しずつですが動き出してます。何人かの著者候補とも出会いましたし、面白い企画提案もいくつか持ち込まれています。心配なのは、秋田県内の印刷業界の再編が進んでいるようで、たぶん何社かが近いうちに看板を下ろすところも出てくるかもしれません。60人前後の社員しかいない、ある印刷所の社長が運転手つきの専用車を乗り回し、ゴルフ三昧を批判されない業界ですから同情はしてませんが。書店ではこの12月に秋田駅前に「ジュンク堂」がオープンします。これで既存店の再編は一挙に進むでしょう。いやはや大変な時代になりましたが、私たちはひっそりとながら生き延びてます。
これが山の学校内部
フカフカの落ち葉のジュータン
阿仁の郷土料理・岩魚の押し寿司

吉兆の「吉」は「土」なのか「士」なのか
 いつも山の話で恐縮だが、この週末、もっとも楽しみにしていた「六郷温泉あったか山と湯田峠」の山登りと峠歩きの旅が中止になってしまった。週末の天気が悪そうなこともあり、参加者が小生一人だったため。ムチャクチャ口惜しい。が、誰を怒るわけにも行かないので、ぽっかりスケジュールの空いた週末に酒田市に行ってきた。1日目は月山をトレッキングするつもりだったがあいにくの雪。そこで六十里越街道歩きに変更。同行者は斉藤カメラマン。昔から出羽三山詣での道として、近世には庄内藩の参勤交代路にも使われた古道である。歩き始めるとピーカンの青空。汗ばむほどの陽気になった。
 次の日は同じく斉藤カメラマンと鳥海山麓の遊佐町の二の滝周辺をトレッキング。斉藤さんは昆虫の専門家なので蛾や蝶々のことをいろいろ教えてもらう。まあそれにしても鳥海山の懐は深い。帰り道、遊佐町の直売所の食堂で食べた「金俣そば」のおいしかったこと。どうってことのない食堂で、おまけにざるが850円と聞いて驚いたが、値段の価があるそばだった。

 それにしてもあいつぐ食品の偽装事件にはあきれるしかないが、小生が関心あるのは菓子の「吉兆」(本当は土なのだが、パソコンでは土の「吉」はでてこない)の「きち」という漢字。「よしだ」の「よし」も「きっちょう」の「きっ」もどちらも「吉」(士を使う)になってしまったようだ。船場吉兆の称号は商標ロゴで明らかなように土の「よし」である。その「土」を意識的に使っているのはNHKや民放の数社のみで朝日新聞はすべて「吉兆」といったように「士」をつかっている。あきらかに商号上まちがいだと思うのだが、知り合いの朝日の記者に問い合わせると、これで統一しているから問題はないとのこと。同じ朝日の紙面には牛丼の吉野家社長のインタビュー記事が出ているが、こちらの「よしのや」の「よし」は「士」の「吉」。これは意外にも吉野家の商号だそうで、これが正しいのだそうだ。だとすれば船場吉兆も「土」にすべきだと思うのだが、「土」は使わず「士」でまちがいないというのが朝日の見解のようだ。しかし今回の吉兆問題は常に「吉兆」という達筆な看板文字が画面に登場する。いやがうえにも「土」の「よし」という字が目に付くから、どうにも割り切れない気持ちだ。ちなみに政治家・吉田茂の「吉」もやはり「士」だそうだ。
酒田市内のホテルの窓から明け方、ものすごい数の白鳥が鳥海山 方面に飛び立っていった
新種の昆虫を発見! といろめきたったらタネにカビが生えたものだった
六十里越街道の古道を歩く

交通誘導員には太った人が多い?
 最近外に出る機会が増えたので、よく見かけるようになったのだが道路工事の交通誘導員には肥満タイプの男たちが多いと思いませんか?これは実は前から気になっていたことで、工事中の路上で見かける「交通誘導員」(これが正式な職業名かどうかは不明)のほとんどがかなりの「肥満タイプ」である。これは何か事情や理由があるのだろうか。この疑問はもちろん県外も同様で秋田だけのものではないく、県外(山形や岩手)でも観察するとほぼ例外なく交通案内する制服に身を固めた男たちは、太っている。なかには相撲取りか、と見ま違うような体格の若者もいて、「これは肥満関係専門の就職斡旋所のような専門組織があって、肥満者の就職活動支援をしているのだろう」と、私自身は半ば本気で思っていた。
 そのへんの事実関係を確かめるため、知り合いの建設関係会社の経営者に聞いてみると、開口一番、「オレも同じ疑問を持っていた」とのこと。やっぱりなあ。しかしその理由は関係者である彼も不明とのこと。建設業界にそうした就職支援組織はないし、決まりや不文律のようなものもない。交通誘導員は短時間の講習さえ受ければ誰でもなれるのだそうだ。たまたま肥満者が多い、というのが結論である。しかし、こんなこともあったそうだ。この友人の会社で現場工事社員を募集した時、とても体力的に現場には出せないと判断した雇用者がいた。そこで交通誘導員として臨時雇用したことがあった。この男性は中肉中背の若者だったが、数年後、彼に会うと見る影もなく(?)太っていたという。彼はこの間ずっと交通誘導員をやっていたのだ。こうなると「太っているからなるのか、やっているうちに太ったのか」よくわからない。
交通誘導員と肥満の間には、なんらかの因果関係はあるのだろうか。ある意味で、肥満とずっと戦い続けてきた私個人には、このことに異常なほどの興味がある。どなたか納得のいく説明をしてくれないだろうか。

 昨日(24日)、生まれてはじめてスノーシューをはいて冬山(保呂羽山)に登ってきました。いやぁ気持ちよかった。病み付きになりそうです。写真はその時のものです。
けっこう急な斜面もスノーシューなら楽に登れる
これがスノーシュー
保呂羽山の山頂で


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