吉兆の「吉」は「土」なのか「士」なのか
いつも山の話で恐縮だが、この週末、もっとも楽しみにしていた「六郷温泉あったか山と湯田峠」の山登りと峠歩きの旅が中止になってしまった。週末の天気が悪そうなこともあり、参加者が小生一人だったため。ムチャクチャ口惜しい。が、誰を怒るわけにも行かないので、ぽっかりスケジュールの空いた週末に酒田市に行ってきた。1日目は月山をトレッキングするつもりだったがあいにくの雪。そこで六十里越街道歩きに変更。同行者は斉藤カメラマン。昔から出羽三山詣での道として、近世には庄内藩の参勤交代路にも使われた古道である。歩き始めるとピーカンの青空。汗ばむほどの陽気になった。
次の日は同じく斉藤カメラマンと鳥海山麓の遊佐町の二の滝周辺をトレッキング。斉藤さんは昆虫の専門家なので蛾や蝶々のことをいろいろ教えてもらう。まあそれにしても鳥海山の懐は深い。帰り道、遊佐町の直売所の食堂で食べた「金俣そば」のおいしかったこと。どうってことのない食堂で、おまけにざるが850円と聞いて驚いたが、値段の価があるそばだった。
それにしてもあいつぐ食品の偽装事件にはあきれるしかないが、小生が関心あるのは菓子の「吉兆」(本当は土なのだが、パソコンでは土の「吉」はでてこない)の「きち」という漢字。「よしだ」の「よし」も「きっちょう」の「きっ」もどちらも「吉」(士を使う)になってしまったようだ。船場吉兆の称号は商標ロゴで明らかなように土の「よし」である。その「土」を意識的に使っているのはNHKや民放の数社のみで朝日新聞はすべて「吉兆」といったように「士」をつかっている。あきらかに商号上まちがいだと思うのだが、知り合いの朝日の記者に問い合わせると、これで統一しているから問題はないとのこと。同じ朝日の紙面には牛丼の吉野家社長のインタビュー記事が出ているが、こちらの「よしのや」の「よし」は「士」の「吉」。これは意外にも吉野家の商号だそうで、これが正しいのだそうだ。だとすれば船場吉兆も「土」にすべきだと思うのだが、「土」は使わず「士」でまちがいないというのが朝日の見解のようだ。しかし今回の吉兆問題は常に「吉兆」という達筆な看板文字が画面に登場する。いやがうえにも「土」の「よし」という字が目に付くから、どうにも割り切れない気持ちだ。ちなみに政治家・吉田茂の「吉」もやはり「士」だそうだ。
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酒田市内のホテルの窓から明け方、ものすごい数の白鳥が鳥海山
方面に飛び立っていった |