んだんだ劇場2008年10月号 vol.118

No29− エコな警報−

夏バテ・新刊・ミニコミ雑誌
 なんとなくパッとしない1週間だった。ふりかえると。週末に登った真昼岳は途中からドシャ降りで引き返したし(里に下りたらピーカン)、仕事もずっと頭痛で、いまいち調子が出なかった。ま、こんな時もある。
 全般的に身体に疲れが溜まっているのは間違いない。夏バテっていうやつ。
 夜の散歩も1日おきで、さらに9月に入って急に蒸し暑くなり、散歩後に冷たい飲み物をとり続けたのも疲れを呼び込んだ要因。夜の散歩はipodで落語を聴いているので楽しみなのだが、それでも2日に1回に散歩を減らさざるを得なかった。身体が悲鳴をあげているのだ。それにしても「志の輔」の創作落語は面白い。「みどりの窓口」や「はんどたおる」なんて何度きいてもおかしい。枝雀は笑いのつぼがパターン化しているので、ちょっと飽きてくるが、立て板に水の大阪弁がくせになる。創作落語の面白さをこの2人ではじめて知った。
 新刊も2本できてきた。「秋田おそがけ新聞」と「村に生きる」、それと増刷も1点。「おそがけ」はうまくすれば大化けするかもしれない本だが、人気ブログの単行本化で、ブログの人気と単行本の売れ行きはなかなかリンクしないのも、これまでの経験から十分承知はしているのだ。「村に生きる」もうちでは珍しいマンガ本。著者は二冊の著作のある杉山夫妻なので、この点は自信があるのだが、これもまた漫画の読者についての予備知識が版元にほぼゼロ、というのが怖いところだ。両著ともその面白さには自信満々なのだが、それが売れ行きに結びつくのか付かないのか、難しいところだ。
 出版界に詳しい友人の話だと、この秋は業界にとってかなり厳しい季節になりそうだという。印刷所や書店、出版社や取次店など、かなりの数が倒産必至だそうだ。だんだん他人事ではなくなってくる感じ。
 そういえば、いっけん華やかで、売れてそうに見える秋田のタウン誌なんていうのも、実は広告が集まらず、部数は長期低迷で、経営者が裏でこっそり変わっていたりするケースも少なくないのだそうだ。いいときは県内の大手企業が傘下におさめ利用し、経営が思わしくなるとすぐに手放そうとし、水面下ではいろんなゴチャゴチャがあって、これもまた時代の先が見えてしまった斜陽若者メディアに分類されている産業だという。興味がなかったので知らなかったが、紙の広告媒体に未来がないのは当然だろうね。いやはや。


エコと環境は「手抜きホテル」の金科玉条
 週末になると、もっぱら一人で近隣の山に登っている。先週は3連休なので盛岡の駅前ホテルに2泊しながら真昼岳、八幡平・焼山、姫神山の3つの山に3日連続で登ってきた。3日とも晴天で、こんなに充実した連休を過ごしたのは、ホント久しぶりというか、久しくなかった。
 山はよかったのだが、泊まったホテルのインパクトもすごかった。
 駅前の、最近地方都市に乱立している5千円台のビジネスホテルなのだが、フロントもなければ、カード決済も自分でやる仕組み。寝巻きも歯ブラシも自己申告で、冷蔵庫は自分でスイッチを入れ、ゴミ箱も小さなものがあるだけ、分別ゴミ箱はホテル入口に1箇所のみ。クーラーは26度に設定されていて勝手に変えることが出来ない。従業員の女性はエコや環境を連発、連呼するのだが、その本質は「人員削減や反サービスの理由にエコを使っている」だけなのはみえみえ。
 その証拠になるような事件が夜中に起きた。夜10時過ぎ、突然、大音響でスピーカーから警告音が響き渡った。火事か地震だな、とあわてて着替え始めた。「7階で火災発生との連絡があり警報を鳴らしましたが誤報でした」とアナウンスは続いた。誤報なら警報は鳴らすなっ、と怒鳴りたかったが、まあ、よかった事故でなくて。
 うとうとしはじめたら、またものすごい警報音。「さっきいの警報は誤報でした」と、前と同じことを繰り返した。わかったって、もう。アナウンスはいいが、その前の警報音はわざわざ流す必要はないだろう。心臓の悪いお年寄りなら、あの音だけでショック死する可能性だってある。それを1度ならず2度までも。ムカムカと腹が立ったが非常階段では従業員が駆け下りたり登ったり、ドアを思いっきりあけたり閉めたり、乱暴な音が続いていた。ホテル内で何が起きているのか、警報を流すだけで何の説明もない。とんでもないアホ・ホテルに泊まってしまったなあ、と後悔しながら、ようやく眠りについた瞬間、またしても大音響でサイレンに似た警告音。やっぱり火事だったんだ、と服を着ようとすると、「……の警報は誤報でした」とアナウンスが続く。
 ここで、さすがの私も切れた。電話を入れると「すみません、すみません」と女性従業員は謝るだけ。その後2日間、チェックアウトするまで従業員からこの警告音騒ぎの説明は一切なかった。
 エコや人員削減もけっこうだが、ホテルにとって一番大切なのは安全と安心だ。エコや環境問題が「いいかげんさ」や「手抜き」の免罪符にされているのだから、ほんとに頭にくる。


9月ももう終わりか……
ずっと青空の日が続いて、こうも雨が降らないとすぐに不安になってしまうのだが、天気がいいと活動的になるのはまちがいないようだ。例年に比べても忙しい月になった。新刊が3点出て増刷も2点、本を出すのだけでアップアップで、1冊1冊の販促がおざなりになってしまった観も否めない。新聞の取材を受けたり、ひんぱんに打ち合わせがあったり、この月末も出版パーティーや結婚式が待っている。でも、お祝い事はいくつあってもうれしいね、この年になると。
週末は相変わらず山行だが、参加している「山の学校」の活動スケジュールがこのところ若干不安定になっているので、ほとんど自分勝手に行動できる単独行か、気の合った友人と二人で出かけるケースが増えている。9月だけをとっても団体行動は一度もなし。真昼岳、八幡平(焼山)、姫神山(岩手)、胎蔵山(山形)、三ツ森山とほとんどが一人か二人。一人で登るのは気軽で、いつでも引き返せる安心感もあるのだが反面、難しい山にいけない、熊や事故が怖い、ペース配分が難しい……といったマイナス面もある。団体と個人のお互いのよさを組み合わせながら秋から冬の山を楽しみたい。
先週、ちょっと変わった会に出てきた。十文字の居酒屋で毎月定期的に開かれている「蕎麦打ちの会」で、友人に誘われて出席。会員が勝手に蕎麦を打ち、その傍らで店のご主人のキノコ鍋や鹿刺しを食べ、最後に各打ち手の名前がついた蕎麦を賞味する、というなんだかよくわからない会だが、会費3千円は安い。本物の蕎麦屋さんから公務員まで出席者は多士済々で、誰も名刺交換したりしないのもいい。若い外国の男女も来ていた。蕎麦が好きで、自分で打ちたい人たちの親睦会なのだが、ウンチクも酷評も見栄っ張りもない、なかなか雰囲気のいい会で、次回も参加しようかな。


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