本を出しながら考えること
いやはやもう11月になってしまった。よくよく考えれば8月9月10月とずっとあわただしい日々だった。それも11月でほぼ一段落する予定。中旬に恒例の「冬のDM」を発送すれば今年は店じまい、といいたいところだが、この経済の冷え込みで、本はさっぱり売れない。こんどは本を売る仕事のほうに全精力を注がなければならない。本造りから販促へ、である。造るだけなら楽しくて、こんないい商売はないんだけどね。
8月からここまで、毎月3,4冊の本を出してきた。けっこう疲れは溜まっているのだが、週末の山歩きでリフレッシュして、どうにか持ちこたえてきた。この息抜きがなかったら胃か肝臓をやられていたかも。しんどいことがあっても酒に逃げたり、夜の巷を徘徊するなんてことはなくなったが、山歩きがなかったら、ストレスは発散の場所を失って確実に身体の内部を蝕んでいたはず。
30年以上、同じように目の前の仕事を淡々とこなす日々を送ってきた。サボらず、あきらめず、地道に、丁寧に、才能のないぶん時間をかけ、仕事をしてきたつもりだが、そんな仕事への倫理感など、たいした価値を置くべきものではない、と「今」はせせら笑う。デジタルの波が押し寄せ、金融経済が大手を振るうようになって、活字文化の価値は相対的に下がり続けている。本を読むことになんの価値を置かない世界が現出したといっていいだろう。秋田からはほとんど街の本屋が消えた。こんななかで出版は可能なのか、本を出しながら考えていくしかない。
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