塩熱飴とクーラーと山歩き
熱いッ、モーレツに熱いッ。でも窓からは隣の家(私の自宅)で屋根修理をする板金工の人たちが炎天下のトタンの上で朝から晩まで仕事をしている光景が眼前にみえる。なんとも申し訳ない気持ちになり、クーラーをキモチ抑え気味に25度に上げた。夏は苦手だ。汗っかきだから暑さにめっぽう弱い。
山歩きの面白さに目覚めて3年。県内の山を中心に年間50座ほど登る。もう初心者という謙遜は無理なのだが、つい最近まで、どんな山に登っても途中で足にケイレンが起きていた。やはり初心者なのである。登りは3時間がメドで、それ以上歩き続けると、かならずといっていいほど足にピクピクが来る。運よく何事もなく下山しても、そのあと温泉に入ったり、就眠中のベッドで、ビクビクッとくるケースが多い。入念にストレッチしてもダメ。水分もしっかりとるし、栄養補給もこまめに行っているのに。
ある日、大阪の山友達(女性たち)にこの悩みを打ち明けたら、「あれ、塩分摂らないの?」と唐突に言われた。水分と糖分ばっかりで、塩分を摂らないのがケイレンの原因であることを指摘されたのだ。翌週から塩熱飴(ミドリ安全)という優れものの飴をなめるようになった。憑きものが落ちたようにケイレンは治まった。以後、見事にケイレンは起きなくなった。汗で失われた塩分を補給してなかっただけなのだ。
ケイレンが起きなくなって山歩きが一層楽しくなった。が、この7月に入ってから4回登った山(鳥海山・焼石岳・森吉山・杢蔵山)はすべて目も当てられないほどへばった。それほど苦労せずにこれまでも登った山なのにヘロヘロになってしまうのだ。まるで熱のある病人がはいつくばってトイレに行くようなあんばいで山頂にたどり着く感じ。年なのか、それとも疲労が蓄積しているのか……いろんなことを考えてみたが、納得がいかない。さらに、もう何年も歩いている夜の散歩コースが7月に入ってから急にきつく感じられるようになって、ようやく気がついた。疲れの原因はクーラーだ、と。犯人はクーラーにちがいない。西日の強い仕事場では「23度」に設定してある。とりあえずこれを26度まで上げることから、暑がりの消極的クーラー対策をはじめている。 |