上手な休暇の取り方
8月29日(月)時間が少しでも空けば、『ババヘラの研究』という自分の本のチェックに充てている。山に行かない土日はほとんどこの本に集中している。といっても、もうずいぶん前に(5年前!)書き上げたノンフィクションだ。なかに法律の記述が何カ所かあり、そこがどうにも自信が持てず、大きなネックになっていた。そこで思い余ってE弁護士に相談、予想通り、法的な解釈に関して「要注意」のチェックが何カ所か入った。そこで取材を根本的にやりなおし、大幅な書き直し。それが先週末ようやく弁護士からOKがでた。10月には本になる予定だ。
8月30日(火)曽我六郎氏が亡くなった。羽後町出身で享年80。といっても誰のことかわからないだろう。昔「たいまつ社」という業界では有名な出版社を経営していた人で、本名は大野進。その会社はとっくに倒産、ご本人とは電話で2,3度しか話したことはないが、著者の多くが重なっていた。晩年、羽後町に別荘を構えたときいたが、それは妻の川柳作家・時実新子が建てたもの。妻が突然有名になり、つられて夫もメディアに登場する機会が増えた。若いころ先輩編集者、出版社主として、ある種の憧れをもってみていた。そのころのことを訃報記事を読みながらつらつら思い出した。合掌。
8月31日(水)こまち球場で楽天対西武を観戦。1万人以上の人の塊をしばらくぶりに見た。そうか、こんなところに秋田県民はいたのか、と意味のない感激をする。でも、この人たちの99パーセントは、たぶん無明舎の本を読んでいない、という確信も頭をもたげてきた。生涯1冊の本を読まなくても生きていける人たちのほうが圧倒的に多いのだ。それはともかく、広くてきれいな野球場でビールを飲みながら大声をあげているのって気持ちいい。10年ほど前、後楽園で巨人対広島を観戦して以来だなあ。
9月1日(木)9月である。月があらたまればなにかがかわる、ってことはないが今月は別。これまでずっとバタバタし通しだったのでしばらくは(10日間ぐらい)は机の前を離れてフラフラする予定。とはいっても9月中に新刊4本、増刷2本の本が出る。9月に集中してしまった。いつものことながら工程管理の拙さに舌打ちしている。
9月2日(金)予定通り2泊3日で東北関東方面をフラフラしてきた。最初は盛岡を拠点に被災地を回る予定だったが、どうやらローカル列車がまだほとんど復旧していないので、車でないと無理、と訊いて予定を変更。仙台まで行き、被災地近辺を歩き、その日は大宮泊。よく日は信州まで足を延ばし1泊、翌朝、秋田まで一挙に戻ってきた。昔と違って旅も2泊目になると仕事のことが気になり、しきりに事務所に電話をいれてしまう。不思議に思うのは、昔は資金繰りが苦しいのに1カ月事務所を明けても全然平気だった。なのにいまは資金繰りの心配もないのに仕事のことが気になって3日と外でゆっくりできない。仕事、資金繰り、年齢、休暇……この4つにどんな相関関係があるのか。仕事がなくなった老後のことを考えると背筋が寒くなる。
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