秋田にはイノシシもシカもいるようだ
2月25日 「自分で食べられなくなっても人って、生きていたいもんなんですか?」とホスピスで働く若い女性に訊かれた。「そういう状態になってみないと、わからない」としか答えようがないのだが、無反応で暗い老人たちを毎日見ていると、いろいろと考えてしまうのだそうだ。仕事をプライベートにまで引きずりたくない、と彼女は明日の東京マラソンに出場する。その歓送(完走)会を事務所2階で。いつものメンバーたちであるが秋大新聞部のH君も参加したので平均年齢は一挙に若返った。若い人と飲食するのは楽しいね。
2月26日 山に行く前日は10時前にベッドに入る。いつも寝付きがいいのに山行になると眠られない。修学旅行前の中学生か、ジブン。睡眠導入剤として本を読むのだが、こんな時に限って面白くてやめられない本に出会う。昨夜は内澤旬子『飼い喰い』(岩波書店)。最初から悪い予感がしたのだが「どんなにおもしろくても半分でやめよう」と決めていた。が、どうにも止まらない。できるだけ退屈な本を読むべきケースなのに、なんというざまだ。それにしても内澤さん、おもしろかったよ。
2月27日 湯沢市秋ノ宮でイノシシが捕獲された。このニュースにはちょっと驚いた。秋田には害獣であるシカやイノシシはいない。昔はいたようだが農作物被害が大きく駆除されてしまった。去年は八幡平でシカの目撃情報があったので秋田にはシカもイノシシもいる、のはほぼ確実。シカは岩手側から越境したもの。イノシシも「温暖化北進現象」で岩手や山形ではすでに確認されている。こちらも山を越えてきたものだろう。山に行く楽しみが増えたが、ま、遭うことはないだろうなあ。
2月28日 もう2月も終わりか。何度か長い休暇をとるタイミングはあったが、けっきょく「家」を選んでしまった。DVD映画もそんなに観たわけではないし、本も量的にはたいしたことがない。いったい何していたんだろう?自分でもよくわからないうちに時間が過ぎていく。なんとなくゴール(死)に向かってまっしぐら、といった感じだ。そういえば毎朝起きるとき「死」について考える。この年になると当然のことなのか。世の中、おもしろいことって、そんなにあるもんじゃない。1日が短いというのはゴールが近いってことなのかな。
2月29日 物忘れが心配になってきた。思い込みもひどい。今日の朝日の県版を見ていたら自分の原稿が載っていてビックリ。てっきり来週だと思い込んでいた。先日は山帰りの温泉に洗面道具一式を忘れて、とりに帰ったばかり。事務所宴会では必ず物忘れをする人がいて、バカにして笑っていたのだが、自分がこんなことになるなんて。でももっとひどい人たちもいる。自分が忘れ物をしたことをまったく忘れている、というか覚えていない人たちである。それを考えると少しは安心できる。
3月1日 ものすごく忙しかった(ような気がする)20年前と今では仕事量がどのくらい違うんだろう。30年前なら確実に1日15時は働いていた。でもそれは机に座っている時間が長いだけ。成果から逆算するとたいした仕事をこなしていたわけでもない。現在の正味の仕事量は1日5時間弱か。でも土日も同じペースで働いているし、昔のように飲み歩いたり、1か月も海外に出かけたり、出張と称して旅することも、少ない。情報通信の長足の進歩を考えれば、もしかして今のほうが仕事量は増えているかも。これに経済効果も計算上加味すると……う〜ん、複雑でよくわからない。
3月2日 「ノロゲンゲを食べたい」というE君の要望にこたえて、Sシェフが昨日事務所で「お吸い物」と「ムニュエル風」(片栗粉なのでなんというんだろう)の2品をつくってくれた。淡白で上品な味で、これは魚本来の味なのかシェフの腕なのか、比較材料がないのでよくわからない。ノロゲンゲは秋田では氷魚(スガヨ)というらしいがスーパーで5尾70円。その値段からもわかるように下魚としてほとんど秋田では食べない。次回は男鹿でとれる「すごえもん」(だっけ)を食べたいのだが、Sシェフいわく、たいしてうまい魚ではない、そうだ。
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