ものすごい春の嵐でしたね
4月1日 自分自身ではけっこう深刻なのだが、お酒が飲めなくなった。慶賀ではないか、という人もいるが、いやこれがそう単純ではない。夜の時間を持て余す。旅(出張)がめっきり少なくなったのも、このことと関連がある。酒を飲まない旅の夜は本を読んで過ごすしかない。本を読むだけなら旅先より家のほうが環境は整っている。枕も身に慣れてるし、ずっとリラックスできる。家に圧倒的なアドヴァンテージがあるから、わざわざ旅先で寝付けない苦しさを味わいにいく必要はない。酒とともに食べたいと思う料理の選択肢も狭くなったなあ。老化がはじまっているのだろうか。
4月2日 散歩の途中、アウトドア用の度付きメガネ(くもり止め加工)と春のジャケットを衝動買いしてしまった。よくよく考えると、しばらくぶりにお金を使った。旅に出たり、外で飲んだり、ネットで本を買ったり、事務所に食品備蓄をしたりするのは、実は会社の「経費」のことが多い。自分の財布を痛める機会が少ない、といえばうらやましがられるか。個人的にはエンゲル係数も下がる一方だし、外飲みもしない。旅の機会もめっきり少ない。イヤイヤだから、お金を使いたくなったわけではない。ショッピングというのはただの「浪費」ではない。もっと創造的な何かではないのか、とふと思った。衝動買いの後は、よかったのかどうか悩むことも多いのだが、消費した分の穴を埋める「特別なエンネルギ―」のようなものが身体に充満する(ような気もする)。
4月3日 ipodにいれた落語をまた聴きだした。寝る前に布団の中で聴くのだが久しぶりに声を出して大笑してしまった。一人、寝室で笑い転げるなんて初体験といっていい。聴いたのは志の輔の古典「八五郎出世」と創作「みどりの窓口」の2本。創作のほうは何度も聴いているのに、それでもおかしくって、のたうちまわった。志の輔の創作落語は他の追随を許さない。ぶっちぎりである。同じ噺でも聴くたびに可笑しいのだから、すごい。近所のレンタル屋で落語のCDをたっぷり借り、今日はipodにインポート。これから夜が楽しくなりそう。それにしても志の輔落語で知ったのだが、海にいるウニの数え方は1坪2坪、はじめて知ったなあ。
4月4日 風速40メートルの嵐って、わが生涯最大の経験、かな。新聞によると戦後何番目かの大あらしだったのことで、これ以上のものもあったらしいが、経験上は今回が一番怖かった。3・11の後ということもあるんだろうな。寝室の場所が風の通り道に面していて、前は数年前までダダ広い田んぼだったから、ちょっとした風でも耳元には大音響のように響渡る。が、昨夜の「春の嵐」はそんなレヴェルではなかった。稲妻の頻度もすさまじく、まったく眠られない。屋根が吹き飛ばされる恐怖と、近くの大学病院付近を走り回る車のサイレンの音で、いやおうなく3・11の日を思い起こした。ボリュームを上げて落語を聴いて、眠られぬ一夜を過ごしたのだが、ちっとも笑えなかった。朝になってもまだ不気味な嵐は吹き続けた。
4月5日 「全訳遠野物語」の増刷ができてきた。これが売れ残るとせっかくの増刷も逆に大きなリスクに早変わりしてしまう。そこで「営業」が必要になった。なぜか小生が遠野市に出張、営業してくることに。取次からの報告によれば、書店よりお土産屋さんで売れ行きがいいのだそうだ。しかし営業なんて創業当時を除けば未経験、大丈夫かジブン。秋田市から遠野市はかなり遠いイメージがあるが、それは盛岡経由の距離感のため。横手、北上経由だとそう遠いかんじはしない。でも遠野まで行くと釜石や気仙沼はすぐそばだ。やっぱり遠いか。
4月6日 同じ敷地の中に自宅と事務所がある。そのためもあるのだろうが、四季を通じて仕事以外の雑用がけっこうある。窓のガラス磨きや草むしり、垣根や落ち葉や雪の処理、駐車場や排水溝の修理から屋根や壁面の補修……。家と仕事場の明確な区別があるわけでないから常に両方を視野に入れ区別しないで作業が必要になる。経理上、事務所や倉庫を家側から無料で「借りている」関係だ。こうした雑用のためシルバー人材センターや時々のアルバイトでしのいでいるのだが、毎回やる人が違うと効率ははなはだ悪い。専用のパートの人が欲しい。誰かいい人いないかなあ。
|