雪解け・ひろっこ・缶つま
4月7日 大雨警報が出ていたが雨はお湿り程度だった。予想外だが、できればこのまま降らずにいってくれないかなあ。最近は雨や雪より風が怖い。家も事務所も老朽化しているので、屋根が飛ばされそうな恐怖感があるためだ。でも、この程度の雨なら選挙も散歩(遠出)も歩いて行けそうだ。ダイエットはもう半年になった。体重は9キロの壁の前で3週間以上停滞中。イライラするが閉塞感が喰い意地に変わらないよう気を紛らわせるしかない。雨は天敵。今日は二ツ井町の七座山に行く予定だったが、荒天予想が出たため中止。雪なら中止なんていうことはない。雪ならよくて雨ならダメって、このへんのニュアンスは雪国に住む人間にしか分からない感覚かも。
4月8日 NHKドキュメンタリー「運命の一枚―'戦場写真' 最大の謎に挑む」をたまたま観た。キャパの世界的な戦場写真「崩れ落ちる兵士」は本人が写したものではなく、映像もやらせだった、というものだ。原作にあたる沢木耕太郎『キャパの十字架』を読んだのはその後。テレビの種明かしを観た後の読書で釈然としなかったが、本も十分面白かった。それにしても本が売れているさなかに、まったく同じ内容の謎解きをテレビで見せてしまうのは「異常」というか「反則」だ。本の「あとがき」を読めばわかるのだが、活字だけではうまく伝わらない「真実」を最新の映像技術で確認してほしい、という沢木氏側の要望から作られた番組のようだ。ネットでは激しい沢木氏や番組批判が流れていた。キャパの写真はヨーロッパではずっと疑われていて、なにも沢木の「新発見」などではない、という批判だ。その批判も的外れではないが、テレビを見ただけでの批判が多いのが気になった。ネットブロガーの底の浅さというか、少なくとも沢木氏の本も読んでから批判するべきだと思う。
4月9日 すっかり雪が消えた。家や事務所の傷や汚れが目だつようになった。垣根はずたずたに壊れ、ガレージ壁面はほこりだらけ。いたるところに雪中のゴミが露呈し、窓枠は真っ黒。外にあるゴミ箱や石油タンクの損傷も激しい。落雪の被害だ。春の明るい陽光の中で、冬を耐えた勇者たちの傷ついた身体をみるのは痛ましい。冬の一番の被害者は直接目にできないが屋根。雪国の家のもっとも重要な場所であり、すべての「老化」はこの部分からはじまる、といわれている。専門家に見てもらって今年は屋根の全面的な補修をする必要がありそうだ。待ってろよ、すぐにちゃんと手当てしてやるからな。
4月10日 雪国では、雪解けの季節はしばしば「天国」に例えられる。が、わずか30年前、春になると路上は霞がかかったように風景が歪む地獄の季節でもあった。スパイクタイヤに削られた粉塵が舞い上がり、PM2.5どころではなかったのだ。スタッドレスタイヤを開発したのはミシュランで82年。スパイクタイヤ禁止条例をいち早く制定したのは宮城県で85年。秋田は例によって「そんたもの効がね」と装着率はよくなかった。あのスパイク粉塵がどれだけの人命を縮めたか。正直なところミシュランと宮城県には今も感謝を忘れない。ちなみに国が粉塵防止法を施行したのは91年。国ってこんな程度なのだ。宮城県より6年遅れている。今日はタイヤ交換をしよう。
4月11日 いい天気が続くが午後からは雨だそうだ。もう10日近く山に行っていない。雑用に邪魔されて日課の散歩もできない日もある。なのに、夜はぐっすり眠ることができる。10日前の山行後、湯冷めして体調を崩した。あれはどうやら身体の黄信号で「少し休めよジブン」というシグナルだったようだ。山も散歩もなくても熟睡できるのは、身体によほど疲労がたまっているからだ。ダイエットなどで長期間いじめ抜いてきた身体が悲鳴を上げ、「湯冷め」で異常を知らせてくれたわけだ。身体にあらわれる些細な変化に屁理屈を付け向き合うのは、私の趣味だ。これを健康オタクっていうんなら言え。
4月12日 横手市に住む(首都圏から移住してきた)リンゴ農家の友人からヒロッコをいただいた。ユリ科ネギ属のノビルだ。雪国の春の息吹のような山菜である。さっそく夕食はサバ味噌缶と併せてヒロッコ鍋。口中に春の風が吹き抜けた。酒がうまい。そういえば最近の愛読書は『缶つま』(世界文化社)。缶詰で作る酒のおつまみ本だ。先日はこの本をみて、初めて「カニ玉」を作った。ポケット版なので机横に置いている。まさに座右の書だ。コンビーフやスパム缶を使ったワイン系つまみにも挑戦してみるつもりだ。洋酒系のツマミは難しいのだが、この本のおかげで長年の悩みが消えそうだ。
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