猛暑の東京でストレッチしてきた
7月6日 長野県に地元の八十二銀行が発行する『地域文化』というレベルの高い雑誌がある。縁あってずっと読んでいるのだが、秋田にもこんな雑誌があったらなあ、といつもうらやましく思っていた(バブルの頃は各地で発行していたが、どこも長続きしなかった)。先日、この雑誌から突然、対談のお声がかかった。自分がちゃんと読んでいる雑誌からのオファーなので、ことのほかうれしかった。そういえば若かったころ、あこがれの雑誌といえば『話の特集』や『噂の真相』だった。それらの雑誌から初めて原稿依頼をいただいた時は、やっぱり本当にうれしかった。そんなわけで今月は長野まで行くことになりそうだ。仕事が終わったら山に登ってこようかなあ。
7月7日 早起きは苦手。いや苦手と思いこんでいる。今日は山に登るために朝3時起きだ。なにが悲しくてこんな時間から活動しなければならないのか。そう思っていたのだが、最近は少し考えを改めた。楽しいことをするための代償、と割り切れるようになったのだ。夜更かしといっても徹夜というのはほとんど経験がない。体調が悪いと仕事をやってられないタイプだ。いつもは12時前後に本を読みながら眠りにつく。それが山行前日には9時に床に入る。だから、身体がビックリして寝付けなくなるのかもしれない。最近は「眠れなくてもいい」と居直っている。夜中の2時だろうが夕方6時だろうが、なんでも来い、という心境だ。どうせ遊びに行くだけなんだから。今月はもう一つ3時起きの山(和賀岳)がある。
7月8日 朝からバタバタしている。余裕がないときって何かが起きる。気をつけなくちゃ。今週はほとんど事務所にいない。東京出張があり、仙台に寄って大学でお話し、週末に秋田へ帰ってくる。出張の会議や講義資料のために先週はたっぷり時間がとられた。今週末は岩手山小屋泊まり登山がある。この準備も必要なのだが、なにせ昨日焼石岳を10時間歩きつづけたばかり。とてもそこまで頭が回らない。しばらく山はけっこうという気分だ(3日と続かないが)。それにしても仕事にも山と同じくらいの情熱がほしい。って自分で言ってどうする。体力的には確実に若いころより今のほうが上だ。山中を10時間歩いても翌日は筋肉痛もなく、普通通り仕事できる。この体力があるから仕事も楽にこなせているのだろう。
7月9日 『明日は味方。』という書名の本が出た。人生は苦難の連続で自転車操業。でも倒れなければ明日は明るい、という内容のエッセイ集のようだ。著者は人気作家・山本一力。新聞広告をみて、あまりにいい書名なのですぐにアマゾンに注文しかけたが、止めた。カバー画像があまりにひどい。表紙いっぱい本人の顔写真で、ほとんど選挙ポスターかNHKの講座テキストだ。良いタイトルなのだが、これで読む気が失せてしまった。書名はエッセイ集として出色の出来栄えだと思うのだが、広告関係者はこのフレーズ(のバリエーション)をさっそく、いたるところで使いだすだろうな。
7月10日 東京の暑さにビックリ。ホテルで夜に冷房を切ったとたん暖気が襲いってきて、眠られなくなった。冷房をつけると寒くて目が覚める。昔、アマゾンの村で体験した40度越えの暑さより、体感温度として東京は不快な暑さだ。アマゾンは木陰に入るとマット(ジャングル)からの風で涼しい。東京は逃げ場がない。いまさら何を、といわれそうだが、もう何十年も夏に東京に行くのは避けていた。久しぶりの東京夏体験なのだ。「夏」という言葉の持っている青空の爽快なイメージとは似ても似つかない凶悪で底意地の悪い暑さだ。アウトドアで鍛えているつもりだったが、日常的に過酷なサバイバルをしている都会人には、とてもかなわない。今月はもう一度上京しなければならない。気が重い。
7月11日 仙台経由で秋田に夜遅くに帰ってきた。東京は極悪顔した猛暑で、仙台は曇り雨。わが故郷は雨、雨、雨だ。これで明日は岩手山小屋泊まり、大丈夫? でも明日のことを考える余裕はない。留守をしていて溜まった仕事を今日一日でなんとか片付けたい。優先順位を決め重要なことからやっていくしかないが、頭は出張先に飛んだまま。気持と身体がバラバラだ。こういうときは散歩に出て冷静になるのがいい。わかっているが外は雨。そういえば東京の街ではマッサージ屋さんにかわって「ストレッチ屋さん」なるものがオープンしていた。さっそく無料体験してきたが、猛暑とストレッチというミスマッチも乙なもので、いい気分転換になった。トレーナーによると小生は「尻が凝っている」そうだ。
|