2025/03/27

関東では今週、桜が開花となりました。
 アメリカの出版業界事情を日本に紹介している大原ケイ氏の最新報告に興味深いレポートがあったので紹介します。アメリカにおいて、かつて栄えた巨大な「ショッピングモール」が各地で廃れて、廃屋となり無残に荒れているという報道が増えていますす。最近浮び上がってきている傾向として、アメリカ全土における「ストリップモール」の再興が顕著だと言います。アメリカ人が日常のショッピングを済ませる場として、1000(330坪)から5000(1500坪)平方メートルぐらいの規模のこのストリップモールが今や全米に7万箇所ぐらいに増えているといいます。このストリップモールというのは、幹線道路沿いによく見られる小規模のショッピングセンターのことで、コンセプトはLocal(地元の)、Easy(手軽に立ち寄れる)、Simple(ほとほどの品揃え)というもの。日本でいうなら、駅前の路面店といったほどの大きさのお店が10軒ほど一列に並び、そこに駐車場がついているといったスペースです。コロナ禍でオンラインショッピングに慣れてしまったアメリカ人、さりとて今さら、以前のように買物のために広大なモールに出かけるのも億劫だという人が増えたということです。ネットで買うより、試着してから買いたい衣料品や、Zoomでは受けられないサービス業(ネイルサロン/ヘアサロン/24時間オープンのスポーツジム/宅配便を出す受け付けオフィスなど)の店舗が揃っているというイメージです。今や斜陽産業となったメイシーズやブルーミングデールなどの大手デパートも、ストリップモールに入るぐらいの小規模な店舗を展開しています。さらにこれからはこの空間に書店が入る可能性もありそう。
 昔、ショッピングモールに入っている書店といえば、B・ダルトン(後にバーンズ&ノーブルに吸収された)や、ウォルデンブックスといったチェーン店がありましたが、そんな規模の書店がどんどん出来てもふしぎでもないといいます。実際に、最大手のチェーン店のバーンズ&ノーブルは、以前のようなメガストアーは閉店する一方で、もう少し規模の小さい店舗を増やしており、24年だけで新たに60店を展開していて、来年からはさらに増える予定といいます。このアメリカの傾向は日本にも反映してくるのか?関心を強く持ちます。日本でも、大型店ではなく、中規模の坪数の新規書店が少しづつ増えている気配ですし、一般小売においても、中規模専門ショップの開店は活発で、スーパーは撤退等苦戦ぎみです。米国ほど車社会ではない日本ですが、都市部はともかく地方に行けば同様な傾向です。人口増の米国、人口減の日本と環境の違いも指摘されますが、消費環境は、これからどうなるか、そして書店立地は?

●阪神大震災時立ち上がった外国人を支援する「NG0神戸外国人救援ネット」30年の活動と歩み。特定非営利法人NGO神戸外国人救援ネット著「震災から30年 救援ネットのあゆみ」2,000円 神戸学生青年センター出版部は、講演録3本-<阪神大震災-そのとき私たちは?そして今>、<阪神大震災と外国人-震災から何を学ぶか>、<震災からの復興と外国人の人権>。そして、76号分の救援ネットニュースを収録。ISBN978-4-906460-72-4

●漁卵というテーマを軸に各地の歴史や豊かな食文化を取材しためずらしい本。星羊社編・刊「ギョランギョラン-呑兵衛さんの漁卵紀行」1,600円は、虎杖浜のタラコ屋さんや小樽の市場、青森では弘前市の筋子屋さん、「すじこのうつわ」を焼く津軽焼職人、鰍ケ沢のイトウ養殖場、秋田・八峰町のハタハタ・ブリコを提供する温泉などを巡ります。ISBN978-4-909991-03-4

●「あっちゃんあがつく」のカタカナ版、みねよう・原案 さいとうしのぶ・作「カっちゃんカがつく」1,900円 リーブルは、幼児から楽しめる、ゆかいで あそべる たのしいえほん。食べ物と動物がたくさんでてきます。(例)ワっちゃん ワがつく わいわいワンタンメン。ISBN978-4-910310-10-7

●2021年に世界遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の存在は、津軽海峡をはさむ津軽・下北・道南の各地域に共通の文化圏が形成されていたことを示します。大谷伸治・小瑶史郎他共著「教科書と一緒に読む 海峡地域の歴史」1,800円 弘前大学出版会は、この地方を「海峡地域」として一体的に捉え、歴史的な歩みの相互の関係に着目して描きます。ISBN978-4-910425-19-1
●各国の人々が母国語の粋を駆使して詠いあげる<世界俳句>の実例の数々。夏石番矢著「俳句は地球を駆けめぐる」3,300円 紅書房は、世界俳句協会理事長の手による実例や心おどる、世界の作家たちとの感性の交流の数々。著者の二十一年ぶりの評論集でもあります。ISBN978-4-89381-371-8

●ほっこり四コマ漫画で理解度アップ。岩川拓夫著 東雲ののか絵「かごしま戦国絵巻」1,800円 南方新社は、九州の戦国時代をわかりやすく解説。戦国時代最強と言われた島津武士団の姿を描き、戦国乱世を楽しく学べる本です。ISBN978-4-86124-529-9

●神戸史談会会長(生田神社名誉宮司)の著者が古代から現代までの神戸を速歩き、五色塚古墳から平清盛の大輪田泊、そして幕末の勝海舟の海軍操練場を経てポートアイランドまでの発展を語ります。加藤隆久著「神戸歴史散歩 海がつくった国際都市」1,300円 アートヴィレッジは、世界から多くの人々が渡来し、幾多のドラマを生みながら国際都市になった歩みを跡づけます。ISBN978-4-909569-90-5

●長野からの送出数33,000人、そしてその半数が亡くなり帰らぬ人となった。満州開拓移民を知っていますか?青木隆幸著「満州は豊かだったか」2,400円 龍鳳書房は、国策によって推進された満州開拓移民について戦争に於ける被害と加害両面から無残な実態を伝えます。戦後80年記念出版。ISBN978-4-947697-86-8

●朝日新聞の人の欄で紹介されました。佐々木貴範著「写真集 釜石呑ん兵衛横町」2,800円 無明舎出版は、戦後25軒の屋台からスタート。釜石名物だった飲み屋街も全面的に2018年に消滅。震災と復興の歴史を残す写真と取材ノート。ISBN978-4-89544-691-4


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