2025/07/03
「土徳(どとく)」とは、富山県南栃地方に伝わる言葉で、土地の精神風土を表わす言葉といいます。具体的には、厳しい環境の中で、そこに暮らす人々が自然と共存し、感謝しながら生活することで育まれてきた価値観や品格のようなものを指します。民芸運動の創始者である柳宗悦が造語したといわれており、何十代にもわたって積み重ねられた土地の信仰生活や、感謝しあう人々の心が風土となり、目に見えない力として人々を育てるものとされています。
桂書房刊の能登文化を語る会編「能登と越中の土徳」1000円(ISBN978-4-86627-163-7)は、二度の災害で傷ついたふるさと能登と越中の関わりを一冊の著書にしたいという、能登・珠洲出身で宗教民俗研究の第一任者であった故・西山郷史師の熱い望みを具現したものです。太田浩史「能登を憶う」、尾田武雄「石動山信仰と法蔵菩薩」、中井清一「地域方言からみた能登、そして越中」、福江充「能登半島の立山信仰」、竹部俊恵『「なんまんだぶつ」の夏』、経沢信弘「大伴家持の春巡行の鵜飼について」が収められています。2024年1月の能登半島大地震、同年6月の豪雨災害とたて続けに襲った天災の復興には年月がかかるが、能登と越中の交流の歴史、文化の背景を調査し知ることは、人々を心豊かにし、この地に住みつづける誇りとなる…。その一助として欲しいという願いをもとに編まれました。
●水野敦之著『改訂版 「気づき」と「できる」から始めるフレームワークを活用した自閉症支援』1,800円 エンパワメント研究所は、誰でも同じ一貫した視点で自閉症支援をはじめ、継続するための視点を整理するための枠組み(フレームワーク)の実際。累計一万2千部の旧版に補助資料等を豊富に追加した改訂版。ISBN978-4-907576-32-5
●関ケ原の戦いの後、九州黒田家に仕え、長崎・出島にて蘭方外科医の免状を受け、その時写したのがオランダで出版されたヨハン・レメリン著の「小宇宙鑑」の翻訳解剖書。杉田玄白らの「解體新書」(1774年)に先立つこと87年前=1687年に日本に解剖書があった。それを訳した原三信一族の400年の足跡をまとめました。原寛編著[完全版 原三信と日本最初の翻訳解剖書」4,500円 石風社は、その「小宇宙鑑」の全容を伝える貴重な資料。解剖図譜が豊富に記録されています。ISBN978-4-88344-333-8
●大津の宮などが営まれた近江地域。飛鳥・白鳳期の寺院跡を遺構・瓦類、そして文献「日本書紀」などから検証し、在来・渡来系の有力氏族が営んだ実像に迫ります。小笠原好彦著「近江の古代寺院と造営氏族」2,700円 サンライズ出版は、「誰が何のために営んだのか」その謎を解きます。ISBN978-4-88325-844-4
●東北の中山間地の地方公務員になって45年。自らNPO法人を立ち上げ「まちづくり」に奔走。生まれ故郷に残った団塊の世代の実践とチャレンジの記録。菊池新一著「遠野カッパの独り言」1,800円 無名舎出版は、型破りな自治体職員の物語。「市役所が起業塾を開く」、「遠野の売りは」など。ISBN978-4-89544-698-3
●文豪ゲーテは、科学者でもあった。ゲーテの科学精神が近代科学につきつけたものは何だったのか?大嶋仁著「森を見よ、そして木を−科学者ゲーテの眼力」1,900円 弦書房は、「科学者」ゲーテの本質に迫る。現行の科学を疑う人にとって彼の示した科学は意義深く、混迷している現代人に新たな希望の光を与えるものと著者は言います。ISBN978-4-86329-309-0
●与謝蕪村原作/金井英津子=絵と文「はるかぜ蕪村−画本・春風馬堤曲」4,500円 深夜叢書社は、蕪村が61才の時に作った斬新な俳詩に絵と文を添えて、日本文学史上、類例のない傑作を現代に画本として甦らせます。ISBN978-4-88032-509-5
●石牟礼道子・原田正純ほか水俣病研究会による研究成果を解題・注を付して増補・新装版として刊行。水俣病研究会著「水俣病にたいする企業の責任−チッソの不法行為」3,500円 石風社は、水俣病第一次訴訟を共同作業により理論面で支えたユニークな研究成果であり、未来への責任と施策を問う先駆的報告書=<水俣病>研究の原点です。A5判493頁、圧巻の書です。ISBN978-4-88344-330-7
●30年続けてきた調査・研究成果をポケットサイズに再編集した古典。島根県古代文化センター編集、島根県教育委員会刊行「出雲国風土記」1,500円(ハーベスト出版発売)は、精緻な校訂による解釈、読下し文、原文、解説、索引、全体地図を収録。ISBN978-4-86456-546-2
●沖縄の天然記念物に指定されている日本在来馬の一つ・宮古馬。その記録を掘り起こし、絶滅の危機から復活させた経験の記録。長浜幸男著「宮古馬−ルーツを探る」2,700円榕樹書林は、歴史資料をあたり、江戸期には貢馬として重要な存在だったことを探り、繁殖に至らせた歩みを描き、宮古馬の百科全書と言える書。ISBN978-4-898005-257-0
●行動時間5時間以内。気軽に計画可能な日帰り専用。安藤雅樹著「絶景を楽しむ 信州日帰り山歩」2,000円 しなのき書房は、YAMAP連携、絶景×日帰りトレイル77選。エリアは信州全域です。ISBN978-4-903002-83-5
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