2018/6/13

 5月下旬に、誘われて友人が隠居している岩手を2泊3日でたずねました。帰りに、盛岡市内の書店数店と一関の老舗書店を見学してきました。後日のテレビで報道されたそうですが、岩手県は県民当たりの本の販売量が日本一ということで、地域出版や地元出身作家の著作や関連本など、地域を愛する「棚作り」が伝統として残っていました。また盛岡の駅中に数年前に開店した新規店は、現代風にアレンジして、その伝統と新しい試みで、棚が読者にえるというか、挑発しながら主張しているように感じられました。どなたか書店の方の言葉と記憶しますが、「地域の表現物に触れることで、次の表現者、表現物を生み出す力となるのだから、地元の書店の棚はそれ=地域性を大事にしたい」というようなことを発言していました。岩手の書店の棚を見て改めてそのことを感じました。
 偶然に旅行中の日曜の地元紙「岩手日報」の”読者の広場”で、かつてカリスマ店長と言われ、現在は一関市立図書館の副館長の伊藤清彦氏が「消えていく小出版社−多様性を失う危機感」という見出しで寄稿されていました。「ここ20年余で4分の一の出版社が消え、そこが出していた出版物は絶版となり、もう日の目は見ない。そして自分が大事に読み続けている本は小さな出版社の本が多く、図書館にもほとんどない。それがつぶれている。〜多様性という側面からも今の時代の流れには危機感を覚える」と。そんなことで、昔ながらの一関の北上書房の棚は現在を反映しながらも、四半世紀前と同じ佇まいを保っていました。

●団塊の世代の著者が、鹿児島の口永良部島に居つき、その40年余の暮しを語ります。故・貴船正二著「島に棲む−口永良部島、火の島・水の島」1,800円 南方新社刊。2015年の新岳噴火により半年以上の島外避難を強いられても、島民たちは危険の残る島に何故戻るのか?京都大総長・霊長学者の山極壽一さんは「その答えが本書から読み取れる。そして真の生活の姿が伝わってくる」と中央公論で紹介しています。ISBN978-4-86124-378-3

●話題となった本、「三池炭鉱 宮原社宅の少年」の著者=農中茂徳著「だけどだいじょうぶ-『特別支援』の現場から」1,800円 石風社は、「特別支援」学校の教員となった野中氏の、聾学校・養護学校での30年。「障害」のある子どもたちとくんずほぐれつ心をかよわせていった、その実践と思考の軌跡。ISBN978-4-88344-265-2

●”今伝えたいもの”をテーマに書き続けるライターMARUこと吉村真瑠著「葉山・鎌倉カフェストーリー」1,300円 書肆侃侃房刊は、次の週末は海と山の町へと誘います。豊な自然と素朴な人々に育まれた、心潤す37の物語で綴られた葉山・逗子・鎌倉のカフェ案内。鳴立亭葉山店、鎌倉・石かわ珈琲、逗子・菓子こよみ。ISBN978-4-89385-323-2

●江戸時代の朝鮮通信使の影響と伝えられ、朝鮮語の「セ・サラムノリ」(三人踊りの意)が訛ったと言われる「笹踊」。東海地方の東三河19ケ所、西三河1ケ所に伝わる踊りと歌を採譜した現状報告です。塚田哲史著「東三河地方の笹踊りと笹踊り歌」3,000円 春夏秋冬叢書は、豊橋の吉田、老津神社。豊川の進雄、上千神社などの例祭をレポート。ISBN978-4-901835-48-0

●子どもの読書普及に活動する公益財団法人・東京子ども図書館から、松岡享子著「選ぶこと−レクチャーブック◆お話入門2」800円が出ました。お話を選ぶための原則や語るに値するおはなしはどのようなものかをていねいに論じています。ISBN978-4-88569-188-1

●スズキ・カマス・アジ等を岸から狙って釣るためのテクニックと釣れるフライパターン、初めての海の探り方、リゾートの釣りまでも網羅。中馬達雄著「海フライの本B」2,000円 フライの雑誌社は世界初の<海のフライフィッシング教書>。ISBN978-4-939003-73-8

●日本の内水面漁業(河川・湖沼)で最も多い漁獲量の水産資源である「シジミ」。日本シジミ研究所を設立した中村幹雄著「シジミ学入門」2,500円 山陰中央新報社は、生物的な特性から環境との相互関係、漁業資源生物としての特性、食としてなど。山陰中央新報に66回に渡って連載されたものを単行本に。ISBN978-4-87903-214-0

●沖縄本島北端・最深部の集落が強い結束と互助精神で苛酷な沖縄戦の日々に耐え、乗り越え、生きぬいた慟哭の記録。宮城能彦著「奥むらの戦世の記録−ヤンバルの沖縄戦」2,500円 榕樹書林は、戦場となった秘境の集落が、共同店運営にあらわれた互助互恵の力で復興に至るまでを。ISBN978-4-89805-200-6

●駒が岳・明神ケ岳、金時山・大湧谷など全100コース。作成・解説・踏査/前田京剛「箱根・湯河原登山詳細図」900円 吉備人出版は、最近の来日外国人にも対応して山名、駅名に英語表記しています。縮尺1万6,500分の1。オールカラー両面印刷、濡れても破れ難い特殊紙使用、ビニール袋入り。ISBN978-4-86069-547-7

●日本は「老衰」大国!「老衰」では死ねないアメリカ!町立診療所を2012年に定年退職した医師・藤村憲治著「死因『老衰』とは何か」1,800円 南方新社は、増え続ける老衰死の現代的意味を問います。歴史的変遷と公式統計の成り立ち、医師へのインタビューをもとにした、死因「老衰」を診断する医師の「選択と決断」の背景を探ります。ISBN978-4-86124-371-4


Topへ