2018/11/06

 継続が危ぶまれていた、鳥取県民が「地方出版」を顕彰する地方出版文化功労賞ですが、第31回が実施され、今年も11月10日(土)の13時30分から鳥取県立図書館において「表彰式・受賞記念講演会」が行われることになりました。今年、<功労賞>に選ばれたのは、九州博多の忘羊社刊の、田中一彦著「忘れられた人類学者(ジャパノロジスト)−エンブリー夫妻が見た<日本の村>」2,000円 忘羊社(ISBN978-4-907902-16-2)です。選考理由は以下です。
「昭和10年から1年間熊本県の小さな農村に滞在し、調査した若き人類学者夫妻の村での日々や調査内容について紹介した本。日中戦争以前の戦時色に染められていない農村の様子を、妻が日本語に堪能という要素もあって、互いに信頼関係を築いた上で深く調査し、自らの価値観を押し付けることなく、その風俗・習慣などをレポートした夫妻自身についてとその調査内容や意義をわかりやすく読ませてくれる。今読むと驚く内容も多いが、それが旧来の姿であり、今、日本の伝統と思っていることは必ずしもそうでないことに気づかせてくれる。また、須恵村の協同社会の豊さに圧倒される。優れた本であり、忘れられつつあった稀有な調査活動や内容にスポットを当てたことが高く評価された。」
 奨励賞は長崎文献社の、山口美由紀著「旅する出島 Nagasaki Dejima 1634-2016」2.000円(ISBN978-4-88851-267-1)です。「江戸時代の鎖国の窓であった出島について多方面から書かれた本。出島の観光的な紹介本だと思って読むと、よい意味で大きく裏切られる。著者は長崎市で学芸員として発掘から復元に深くかかわっており、出島を様々な角度から広く知ってもらおうという「出島愛」にあふれている。」
 特別賞は「文学の國いわて−明治大正昭和平成 輝ける郷土の作家たち」3,700円 (ISBN978-4-87201-419-8)です。「岩手の文学通史として書かれた本。石川啄木や宮沢賢治をはじめ、岩手県は文学が非常に豊かだということをあらためて、かつ強烈に印象づけられる。通史ではあるが、文章は平易で、豊富にエピソードが興味をそそり、読み物としても面白い。600頁を超える分量でありながらテンポよく読み進められる。こうした読みやすく面白い文学史が多くの県で出版されるよう願う。」

●79歳で病気が発見され、サルコペニアとなり、寝たきり状態になり、再び歩けるようになった医学博士の著者による実践記録。岡本勉・岡本香代子著「寝たきりからのリハビリウォーク」1,800円 歩行開発研究所は、予防法、在宅医療看護、リハビリ・介護編等。ISBN978-4-902473-23-0

●島津本宗家及び重要家臣団二十三家の由緒寺跡を訪ねます。写真・文/川田達也、系図監修/野田幸敬「鹿児島古寺巡礼」1,800円 南方新社は、各家の由来を解説し、未見の略系図を付しています。鎌倉時代から数百年鹿児島を統治してきた各家を概括する格好の手引書です。ISBN978-4-86124-387-5

●著者である古代歴史文化協議会は、石川、島根、鳥取など古代歴史文化にゆかり深い14県で構成されます。その研究成果としての報告集。「玉−古代を彩る至宝」1,800円 ハーベスト出版は、古くから身を飾る美しさだけでなく、魂・霊(タマ)に通じる神秘性が見出され、特別な存在として大切に扱われてきた、知られざる古代の「玉」の深層に迫ります。江戸東京博物館、九州国立博物館で開催される展覧会の図録でもあります。
ISBN978-4-86456-289-8

●読み聞かせのボランティアにおすすめの、保育園・幼稚園,学校での実践ガイド。東京子ども図書館編・刊「よみきかせのきほん」750円 は、初心者に読み方のポイントを伝授する好著。304冊を対照年齢別に紹介。フルカラーで表紙画像を掲載。プログラム例、条件索引付き。ISBN,978-4-88569-227-7

●奇想天外で楽しい童話が9編。カレル・チャペック著/栗栖茜訳 和田誠装幀「カレル・チャペックの長い長い郵便屋さんのお話」2,000円 海山社は、夜中の郵便局に小人があらわれたり、年寄りカッパがお医者さんに診察を受けにきたり。ISBN978-4-904153-12-3

●ある学園の高等部看護学科に学ぶ学生たちが、現代版蟹工船に著者とともに乗組み、自らの「蟹工船」体験に気づきます。中俣勝義著「若者たち、蟹工船に乗る」2,000円 青風舎は、世はまさしに現代版「蟹工船」そのものだと、自らの体験を書き合い、読み合うなかで、変革への道へ歩み始めます。巻末に小林多喜二作「蟹工船」全文を収録しています。SBN978-4-902326-62-8

●全曲YouTubeと連動して動画で、先生であるガズのレッスンを無料で受けられます。GAZZ著「ウクレレYoutuber ガズ レッツゴーさあ行こう!」2,500円 豊作パブリッシングは、全9曲オリジナル楽曲。ウクレレ1本で壮大なスケールの演奏が実現出来るようになるそうです。ISBN978-4-9909522-9-7

●著者の涸沢純平さんによると、〜出版とは本をこしらえて売るだけでなく、著者を敬愛し、著者を家族と思うことである〜。その著者たちとの人生の「やちまた」でのめぐり会いから永の別れまでをつぶさに描きます。「やちまたの人−編集工房ノア著者追悼記続」2,000円編集工房ノアは、前著「遅れ時計の詩人」に続く、関西の文学界の貴重な人間記録ともなっています。ISBN978-4-89271-282-1


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