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![]() 2009年10月2日:青島?南市→臨沂市
予定走行距離202Km、予定走行時間6.1時間 ![]() 臨沂市に着いてすぐの仕事はホテル探し、町のどの辺りかもわからず当てずっぽうに走る。大きなビルがあるとホテルかと目を凝らす。立派そうなホテルを見つけると、あそこで値段を聞いて来てとダンナに言う。 「えー、高そうだよ」とブツブツ言いながら、フロントに行き、「部屋は空いていますか?いくらですか?もっと安い部屋はありますか?」と聞いて、「あのー高すぎてだめだけど…」と報告に戻る。男は安くて泊まれればよいと思うけれど、女性はやはりホテルにこだわる。猟犬の様にあっちへ行け、こっちを見て来いと言われ、高いからやめますと戻るのも気恥ずかしいらしく、だんだん機嫌が悪くなる。 やっと300元(3,900円)で四ツ星ホテルを見つけて落ちついた。女性にとって食事とホテルの選択は簡単には譲れない。実際300元のホテルは、日本の物価に直して言えば2万円近いから、現地の人にとっては高いホテル。探せば100元、200元のホテルもいっぱいあるけれど、あまり安いホテルは安全の面からも、衛生の面からもお勧めできない。良いホテルは、フロントがしっかりしていて警備も安心。 シャワーを浴びてお茶を飲んでから、フロントでこの町の観光地図を買う。山東省は古くから歴史の舞台となった所だから、各所に名所旧跡がある。臨沂市紹介を見ると、この地も多くの有名人を出している。まずは三国志演義で有名な「諸葛亮」がここで生まれ育っており、諸葛亮故里記念館がある。性悪説で知られる戦国時代の思想家、儒学者「荀子」の墓があったり、唐代の書道家「顔真卿」の故里もある。 歴史好きにこたえられないのは、1972年臨沂市銀雀山の前漢時代墳墓から『竹簡』(竹に書いた古文書)が出土し、この中に二つの『兵法書』が発見された。一つは紀元前500年頃春秋時代、呉国に仕えた「孫武」が書いた『孫子』、一つは紀元前360年頃戦国時代の斉国の「孫?(ビン)」が書いた『孫子』。 『孫子』の著者が「孫武」なのか「孫?」なのか1000年以上議論されていたのが、これにより『孫子』として流布していたものは孫武の書と決着した。孫?は孫武の100年後の子孫といわれているが、こちらの『孫子』も日本語訳もされている名著。同じ孫さんという姓の人が、どちらも立派な兵法書を書くから、ややこしい事になってしまった。 歴史が好きなダンナは地図を広げて「王義之の旧居がここから近い、書が観られる」と、歩き方をフロントに聞いて張り切って出かけた。「王義之」は魏晋南北朝を代表する書道家(303〜361年)で、『書聖』と称される。この地方が琅?(ランヤ)郡と呼ばれていた頃の名門貴族「琅?王氏」の出身。歩いて10分と言われたのに、1時間以上探しても見つからない。庭に大きな池まである町中の家で、すぐ近くまで来たらしいのにどうしても見つからない。『書聖』の書いたものを見たら、少しは字が上手くなるかと期待したのに残念。「一度に全部見ちゃいけないの、少し思い残しがあった方がまた来れるんだから」となぐさめてホテルに戻った。 夕食は市街をブラブラ歩いて美味しそうなお店を探す。ホテルの付近は百貨店、電気店、銀行などの建物が立ち並び、日本の景色とあまり変わらない。看板に漢字を使っているから、街の感じに違和感が少ない。セルフサービスの安いレストランを見つけて入った。 お店の名前の「馬蘭拉面」を頼んでみると、美味しそうなチャーシューがたっぷり乗って、麺もスープも日本のラーメンとよく似ていて美味しい。中国では実は日本のラーメンというものになかなか出会えない。中国の麺は小麦粉、塩、水を捏ねてのばした生地を包丁で切った「麺条(メンティアオ)」。これを薄めのスープに浸けて食べる「湯麺(タンミエン)」が普通で、ラーメンとは全く違う、むしろうどんに近い。 ラーメンに近いのは『蘭州拉面』。これは中国西部が発祥の地で、日本のラーメンと同じく「かん水」を使い、捏ねては伸ばして生地を作るコシの強い麺。注文を受けるとお客の前で1人前の塊をちぎり、両手で生地を引っ張ったり、上下に振ったり、板に叩きつけたりしながら伸ばしていく。両手の指にからめ、生地の一本が二本、二本が四本、四本が八本と、両手を広げるたびに引き延ばされる。徐々に麺が細くなって本数が増えてゆき、食べ頃になるまで引っ張る。中国語の『拉』は引っ張るという意味で、ラーと発音するから、これがラーメンという名前の由来かと納得。 ほとんどの町に『蘭州正宗牛肉拉面』と書かれた青い看板があり、中国全土に広まっている。青島では1杯5元(65円)と安くて量が多い。中国に行ったら必ず食べたいものの一つ。ただし蘭州拉面は「清真料理(イスラム料理)」の一つで、豚肉は使えないから必ず牛肉を使う。そして残念なのはイスラム教だからお酒を出さない。 「馬蘭拉面」は正宗と書いていないから、イスラムではないらしく、ありがたいことにお酒が飲める。拉面の他にニンニク醤油かけチャーシュー、生姜タレをかけたピータンもつまみに取り、ビール2本飲んで合計55元(715円)だから安い。しかも美味しくて今夜の夕食は当り。
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