中国江西省で1999年から3年余、さらに中国山東省青島で2007年から4年半の駐在員生活を体験、いつかシルクロードをバイクで走りたいと中国の運転免許を取得したダンナ(菅井普三)と、駐在先に押しかけてはバックシートに陣取って気ままに手綱をふるう主婦(菅井直子)の二人。中国の田舎を見て食べて走った日々を女性の視線で記録しようと、主婦の見たもの感じたものをダンナがまとめるという共同作業。その結果、著者名は菅井二人に。
No14
いつかシルクロードをバイクで走りたいと中国の運転免許を取得した駐在員のダンナ。駐在先に妻を呼んでは二人でバイクにまたがり風になる。その様はまさにフタコブラクダ。中国の田舎を見て食べて走った、普段着の中国の記録。



青島?南市内ツーリング(耐寒訓練1)
2010年1月1日:マンション⇔公園、餃子屋
予定走行距離20Km、予定走行時間0.6時間



 「耐寒訓練じゃー」と言って走り出したのはいいけれど、何この寒さは。町はバイクで走っている人もいっぱいいるけれど着ぶくれて、中には防寒着を後ろ前に着ている人もよく見かける。そもそも前からの風でジャンパーのファスナーから冷えるなんて知らなかった。背中を前にして手を通し、服の前は背中側にして開いたままで着る、こうすると襟が首を守るし前も暖かい…らしい。自分ではちょっとかっこう悪くて出来ないけれど。
 正月休みは1日から3日まで3日間あると言うからあれが欲しい、これ持って来いと、電話で言われた荷物を担いで仙台から青島に飛んできた。中国は旧正月が長い休みで、新正月の休みは3日しかない。不自由な駐在生活だからせめてお正月くらい一緒にいてあげようと、重い日本食と日本酒も持ってきたのに、耐寒訓練ですって。
青島空港から車で1時間半、ダンナが駐在している?南(ジョウナン)市のマンションに着いた。ところが運んできた荷物を開けてもくれず、すぐにバイクを引っ張り出して走り出す。今日の天気予報は最高気温が−4度、最低気温が−11度と言われてもぴんと来ない、でもヒューと風が当たれば一発でわかる。私は床暖房の暖かいマンションで、マッタリと中国茶でも飲んでいれば良かったのに、何を考えているんだろうねこの人は。
 マンションから市内を走り、15分位で公園に着いた、休みというのにほとんど人気も無い公園で入場料、駐車料無料。入口付近に物売りの人がコンクリートにビニールを敷いて、玩具やら風船やらを売っている。この寒空に一日いくら売れるのかしら。広い池は全面凍りついて、ボート遊びの船が氷漬けになって打ち捨てられているのは何とも哀れな姿。公園の奥に堤防が見えたので行ってみると大きな川がある、水の色が変なのでよく見たら凍りついている。川が全面凍っているのは初めて見た、仙台よりずっと寒い所だ。
 公園の中に12干支の像が立っている、ダンナはネズミ年なのでネズミの頭をなでていると、「なんかお前に手なずけられている感じがするなー」と言いだす。またヒガミが出てきたらしい。4人兄弟の末っ子で、できの良い兄姉から圧迫されて育ったからすぐイジケル。

?南市内公園の十二支。ネズミを手なずける私
 ダンナは買い物も好きで、一緒にスーパーへ行ってくれるのは好いけれど、お店で妙なものを買ってきては冷蔵庫や箱に入れておく。忘れた頃に「あれはどうしたっけ?」と聞いてくるから「もう食べちゃった」と答える。
 「あれもあったはずだけど…」と言うから「エエそれも食べました」とキッパリ情け容赦なく答える。未練がましく「アレ食べたかったのになー」とぼやいてもネズミはせっせと貯めて、サル年の私がそれを食べ尽くす、これが正しい役割分担。次の日曜日までなんか残るものですか。

?南市公園の凍り浸けになった船
 こんな寒々しい公園にはいられないと暖かい餃子屋さんに逃げ込んだ。少し離れた店なので10分くらい走ったから、皮手袋をしていても着いてしばらくは箸が握れない。でも食欲は充分あって、20種類くらいある餃子の中から「キュウリとえび」「シイタケと豚肉」餃子の2種類を頼んだ。
 中国ではいろいろな節句毎に餃子を食べる。特に正月は家族揃って、手作りの餃子を食べる。一家総出で小麦粉をこねる人、美味しい餡を作る人、皮を延ばすのが得意な人、餡をきれいに包む人など心を合わせて餃子を作る。日本よりも一族の結びつきが強く、新年に福を包んだ餃子を食べて、家族の健康と幸せを願うのはうらやましい姿。
 こちらでは水餃子が普通で、残って冷めたものを翌日食べる時が、焼き餃子の出番。日本のようにつつましくお皿に並んで出てくるのではなく、1斤(500g)単位でスープの入った大きな鉢にどっと出てくる。何も付けずに食べるのが普通で、やけどしそうに熱いスープが餃子の中からブチュッと出て、このスープが美味しい。
 地元の人たちは横で見ていても信じられないくらいの量を食べるから、味を変えるのに、ニンニク醤油などを付けて食べる事もある。餃子はもともと中国北方の家庭料理と言われるけれど、もちろん南方でも大好き。山東料理では、餡に煎り卵とニラを入れた握りこぶしくらい大きな餃子が郷土料理になっている。日本では餃子をおかずにご飯を食べる「餃子ライス」もあるが、中国では絶対にご飯は一緒に食べない。なぜって餃子の皮がご飯で、餡がおかずで、熱いスープも含んでそれだけで完結しているから。
 餃子のほかに、料理は「黄ニラと卵の炒め」、とどめに「なまこスープ」を頼んだ。青島はなまこの名産地で、お土産用の干しなまこもいっぱい売っている。ここのなまこスープは生のなまこを使い、見た目もナマコナマコして、味も良く、コキコキした歯ざわりも立派。
 飲み物は当然青島ビール。すると頼んだ女の子が何か言っている、良く分からないけど適当にウンウンうなずいた。しばらくすると大きなボールにお湯を入れて運んできて、ビールをお湯に入れようとする。あわてて止めたけれど、どうやらお燗にするかと聞いていたらしい。ビールをお燗で飲むなんて想像もしなかった。周りを見ると皆さん確かに小バケツにお湯を入れて、ビールを暖めて飲んでいる。ここは本当に寒い地域なのだと実感。しかし冬でもビールは冷やして飲みたいね。
 美味しいものが食べられることを「口福」と言うみたいだけど、餃子とビールで本当に幸福。耐寒訓練1日目は無事終了。

餃子屋さんのナマコスープ
 記 録:2009年10月06日
 記 録:2010年1月1日
 走行距離 22Km 、走行時間 1.0時間、平均時速 22Km/h、延べ 22Km
 (走行距離20Km 、走行時間 0.6 時間、平均時速33Km/h)
 ガソリン給油:1回 計 15元( 210円)、餃子料理:85元(1,190円)



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