中国江西省で1999年から3年余、さらに中国山東省青島で2007年から4年半の駐在員生活を体験、いつかシルクロードをバイクで走りたいと中国の運転免許を取得したダンナ(菅井普三)と、駐在先に押しかけてはバックシートに陣取って気ままに手綱をふるう主婦(菅井直子)の二人。中国の田舎を見て食べて走った日々を女性の視線で記録しようと、主婦の見たもの感じたものをダンナがまとめるという共同作業。その結果、著者名は菅井二人に。
No45
いつかシルクロードをバイクで走りたいと中国の運転免許を取得した駐在員のダンナ。駐在先に妻を呼んでは二人でバイクにまたがり風になる。その様はまさにフタコブラクダ。中国の田舎を見て食べて走った、普段着の中国の記録。



北京・大同・ツアーガイド養成編2
2010年2月15日(月):北京市内、北京→大同市
タクシー(ホテル→香山公園→北京駅)40Km、寝台列車、380Km



 香山公園に向かうタクシーの中で、ダンナは私をけしかけて運転手さんと話をさせる。片言でも中国語がわかるとなると、運転手さんも北京自慢をする。北京大学と清華大学が隣だとか、中関村は中国のシリコンバレーといわれるとか、道々教えてくれる。おかげでオリンピックのメイン会場「鳥の巣」などに寄り道し、写真を撮ることができた。
 香山公園は市内から20Kmほどの北西郊外にあり、山全体が広い公園になっている。北京市民の憩いの場として、春のピクニックや夏のキャンプ、特に秋の紅葉の時期が最も人気が高い。頂上の香爐峰まで歩いて登っても1時間ちょっとで行けるし、往復リフトを使うこともできる。

北京発大同行き寝台列車
 入場料10元(140円)を払って公園に入り、まっすぐ二人乗りリフトに向かう。リフト代60元(840円)は高いと思ったけれど、乗ってみると長いリフトだった。頂上から北京市内一望を期待したのに、霞んでよく見えない。山の高さは557mだから、心がけさえよければ市内を眺めることができたかもしれない。冬の北京はとにかく乾燥して寒い。子供達が凍りついた池で、遊んでいるのを横目で見ながら、急ぎ足でタクシーに戻り北京駅へ。
 北京駅は大きな駅で、自分達の乗る列車の待合室を探し、改札が始まるまでベンチで待つ。広い待合室には、改札口のある正面に電光掲示板があり、「大同行き15時40分」と列車番号、改札口番号などが表示されているのを確かめる。中国の鉄道駅待合室は大体同じ造りで、高い天井、大きな柱の間に赤や青のプラスチックの椅子が並んでいる。乗客は大きな荷物を抱えたり足元に置いて、列車の改札を待つ。
 「荷物を見ているから、ビールとつまみを買って来い」と、さっそく私を使いに出そうとする。酒もつまみも私が日本から運んで来ているのに、何かしら用事をいいつける。ツアーガイドとして私を鍛えるつもりらしい。売店で北京のビ―ル「燕京?酒」を選び、指差しと手まねでつまみらしいものを買って、戻るともう改札が始まっている。
 割り込み大好きな中国人に混じり、負けじと前を詰めながら、進んで改札を抜ける。皆の後に付いてプラットホームを跨ぐ長い通路に入り、何番ホームか探しながら、やっと大同行きと書いた列車が待つホームに到着する。制服・制帽のきりっとしたお姉さんが、各号車の入り口に立っていて、チケットを確かめて中に入れてくれる。自分の寝台番号を見つけて、トンと座るとホッとする。本当に乗れるのかドキドキした。一人でこれをやるのは難しいかも知れない。列車旅行のガイドはかなり上級だと思う。

硬座寝台はカーテンなしの3段ベッド。通路には折畳みの椅子が付き、マホービンのお湯も提供される
 何が驚いたといって寝台にカーテンがない、通路から寝ている姿が丸見えになる。「硬座寝台」というのは別に硬いわけではなく普通寝台の意味。ベッドが三段あり、料金は上ほど少し安くなる。一番下が108元(1,512円)で、380Kmの乗車券も含むと思えばずいぶん安い。日本の列車運賃は本当に高い。
 大同まで6時間だから、寝台のほうが横になったり座ったりできるのでずっと楽だ。夜じゅう走るわけでなくとも、長距離旅行の場合は、寝台が取れたら寝台のほうが嬉しい。理由はわからないけれど、車掌が来て切符を取上げて、代りに番号を書いたプラスチックのカードをくれる。そして列車を降りるときに、カードを集めに来て切符を返してくれる。
 ダンナは走り出すとすぐに「さあビールだ」と飲み始める、つきあって飲むうちに北京の街を抜ける。日が短いので夕日の中をだんだん山に入ってゆく景色を眺める。寝台に寝そべって、ビールを片手に背中の振動を感じながら、暮れなずむ異国の景色をみる…。列車の旅では最もロマンチックな時間帯、他の乗り物でこれは味わえない。北京から河北省を抜け、山西省大同市に行くには、太行山脈という大きな山脈を越える。凍りついた川を遡り、奇妙な岩肌の山を抜ける頃には、すっかり夜になってしまう。
 大同の駅に着いたのは夜9時半。タクシーに乗り込み、旅行ガイドに書いてあるホテルの名前を頼りに、予約もなしにホテル探しをやるのはとっても危険。幸いガイド本に書いてあった「雲崗賓館」に空き室があり、しかも大きな湯船がついている。青島のマンション暮らしで、シャワーしかないダンナには何よりのご馳走。久しぶりにお風呂に入れるのが嬉しいらしく、長々とお風呂に浸かって、指がシワシワになって出てきた。

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