126. 2021年4月23日 老夫婦
 毎朝、出勤前に畑に行って少しずつ作業を進めている。畑から事務所へは徒歩。その途中、必ず同じ場所で、同じ時間にすれ違う老夫婦がいる。知り合いではなく、挨拶をしたりもしないが、毎日必ずすれ違う。その老夫婦は毎日同じ服装で、旦那さんが少し前を歩き、その後を奥さんがついていく。いつも無言で、ゆっくりと歩いている。ちょうど朝の通勤ラッシュの時間帯で、道路は渋滞し、歩道も通学の中高生で賑やかだが、その老夫婦とすれ違う一瞬は、なぜかそこだけ時が止まったような不思議な感覚になる。朝の忙しい街の中で、その夫婦がいるところだけポツンと異空間のようだ。彼らはどこから歩き始めて、どこまで歩いているのか毎朝気なっている。 すれ違うようになって一ヶ月ほど経つが、今朝は少し様子が違った。並んで歩いて、少し笑いながら会話していた。会話しているところを初めて見たので、それだけで今日はなんかいい日だなと思った。もう少し暑くなると彼らの服装も変わるのだろうか。ちょっとした朝の楽しみになっている。
(M)