157. 2021年11月25日 信号機
 早朝、散歩をしていると、信号機の下に人が集まっていた。こんな朝早くに信号機の工事でもするのかとよく見ると、全員カメラを手にしている。しばらくすると皆一斉に信号機を撮り始めた。そう、彼らは"信号機マニア"だ。その信号機は秋田市内では珍しい、横型の信号機(秋田市内の信号機は9割方縦型)だ。全く興味のない人からすると彼らがなぜ信号機の写真などとっているのか意味不明だろうが、私には理解できる。以前、無明舎でアルバイトをしていたM君は筋金入りの信号機マニアだった。彼は休日になると珍しい信号機を撮るため全国各地に出かけていく。私は信号機というより、彼のその情熱に興味がわき、一度、信号機撮影の旅に同行したことがある。目的の信号機を見つけると、様々な角度から何百枚と写真を撮る。飯も食わず、ひたすら信号機を撮り続ける彼の姿に感動すら覚えた。今、目の前で一心不乱にシャッターを切っている彼らを見て、ふとその時のことを思い出した。M君もまだどこかで信号機を撮り続けているのだろうか。
(M)