250. 2023年11月17日綺麗事
 ある著名なアルピニストが駆除したツキノワグマについて以外のようなことを綴っていた。「駆除された熊を破棄するのではなく、肉を食べたり、漢方にしたりと活用すること。毛皮を使うのもいい。奪った命を無駄にしない事がせめてもの情けというものではないだろうか」
 "奪った命を無駄にしない"とは聞こえが良いが、この方は本当に何も知らないのだなと思う。「漢方にして活用」というのは熊胆のことを言っているのだろうが、熊胆は1匹の成獣の個体からほんのわずかしかとれない。現在駆除されているのは里山で産まれた子熊が主だ。毛皮に関しては、昔は売ってお金にすることができたが、今はどこの猟友会でも燃えるゴミとして処分する。熊の手も同様、昔は高級珍味として買い取ってくれる料理屋があったが、今は生ゴミだ。肉は淡白で臭みはないが、決して美味しいとは言えない。
 「命を無駄にしない、活用しよう」と言うのは綺麗事で、ほぼゴミになるというのが現実だ。
(M)