308. 2024年10月17日小指
 またやってしまった。足の小指をドアの角に勢いよくぶつけてしまった。人生で何度目だろう。瞬時に痛みがくるわけではない。ぶつけた瞬間「あ、またやってしまった」という後悔と、これからやってくるであろう痛みを予測するゼロコンマ何秒かの時間の後、猛烈な痛みが襲ってくる。「悶える」とはまさに足の小指をぶつけたときにこそ相応しい言葉だ。足の小指に関しては、「ちょっとぶつける」ということがない。ぶつける時は必ず「勢いよく、おもいっきり」ぶつける。ぶつける原因はただひとつ「不注意」だ。これは全人類に共通しているはすだ。貧乏人も大金持ちも罪人も聖人君子も等しく小指をぶつけ、あの痛みを味わう。そしてこれからも味わい続けていく。いや、もしかしたら、小指をぶつけ続けた人類の足から小指がなくなるという進化をとげるかもしれない。
(M)