復刻 奥羽永慶軍記
四六判・1026頁 定価9400円+税 冊数


戦国期・東北地方の
群雄争乱を描いた名著
ついに復刊!


天文元年〜元和九年の東北戦国史
復刻 奥羽永慶軍記 全一巻
今村義孝校注(戸部一カン斎正直著)

 奥羽永慶軍記は39巻から成り、その自筆本は現存しない。
 写本として今日に伝わるものには、国会図書館21冊、静嘉堂文庫20冊、東京大学史料編纂所20冊、東京教育大学図書館20冊、東北大学図書館狩野文庫16冊本がある。
 刊本としては史籍集覧(明治16年)及び改定史籍集覧(明治35年)所収のものがある。
 本書は昭和41年、人物往来社から上下巻として刊行されたものを一巻本として復刻したものである。

 著者である戸部一カン斎は正保二年(一六四五)に生まれ、宝永四年(一七〇七)に六二歳でその生涯を閉じた。戸部は秋田雄勝・横堀村の医師で、本書は「十余年かかって奥羽各地を巡歴して古書を渉猟し、古人の話しをきいて書かれた」。活力、思想とも円熟した四〇歳代に全情熱を傾けて、足で書いた、数少ない奥羽の戦国史として、古来、多くの史家に引用されている名著である。
 本書の大きな特徴は、江戸期に成立した軍記物にもかかわらず、幕府への反骨の気概や客観性、東北への温かな同情の眼がある点であろう。東北群雄の興廃を哀歓こめて描いた戦記文学の傑作である。

四六判・上製函入 1026頁 
定価9870円(本体9400円+税)
ISBN4-89544-388-4




目次
巻一
奥州に兵乱の起るの事
奥州滑井合戦の事
奥州赤坂合戦の事
奥州朝川合戦の事
二階堂盛義、石川を攻むるの事
会津、田村矛盾に及ぶ事
結城七若丸、同義親の為に城を落さるるの事
佐竹勢、白川に働くの事
和田安房守牢人、知謀の事
佐竹、白川城を攻落す事
朝川合戦の事
盛満一揆に逢ふの事
奥州関山合戦の事
永禄八年檜原合戦の事
同九年檜原合戦の事
大崎・国分、論地合戦の事

巻二
小野寺中宮助討るゝの事
最上義守父子、夜討に逢ふの事
羽州天童合戦の事
天童頼澄、国分に頼るの事并草刈討るるの事
白鳥十郎討るゝの事
谷地・寒河江落城の事
延沢信景勇力の事

巻三
和賀・山北境藤倉合戦の事
山北前田氏断絶の事
油利・山北境合戦の事
真崎兄弟最後の事
南部先祖の事并 晴継病死の事
南部家督相続并 (葬場)一乱の事
九戸九郎実親討れるの事
高田弥五郎、南部へ新参の事
戸沢九郎盛安、沼舘を攻むるの事

巻四
鮭登落城の事
武藤駿河守光安悪行の事
武藤駿河守光安滅亡の事
豊島二郎重村油利へ落ちたるの事
羽黒と秋田確執、小野寺和を入るゝの事

巻五
心済入道諸国修行の事
八沼落城の事
山形隠居義守遺言の事
柏山合戦、輝宗内室陣中に来るの事
上野山満兼討るるの事

巻六
秋田山北境合戦の事
土崎湊合戦の事
船越・北野合戦の事
秋田城之介、再び土崎湊を攻るの事
猿ケ鼻合戦、大川左衛門討死の事
寺内合戦の事
秋田城之介浅利城を攻るの事

巻七
佐竹武威盛なるの事、付宇津宮の事
真壁安芸守、小田城を攻落すの事
北条氏康、下野に出陣の事
上総国府台北条合戦の事
三春・須賀川合戦度々の事
百目木城合戦の事
会津盛興死後、養子盛隆の事
須賀川の為、今泉落城の事
十石畑・初森両度取合の事
田村砦・滑津・千石森、大内定綱の為に破らるるの事
高倉合戦、田村勢敗軍の事
白川亢食丸、会津家を継ぐの事
伊達政宗家督の事
大内備前守、謀を以て米沢へ降るの事
佐竹・北条合戦の事

巻八
会津・喜多方合戦の事
檜原・大塩合戦の事
檜原夜討并猪苗代の事
青木、人質を捕ふるの事
政宗、大内備前守を攻むるの事
小手森落城の事
小浜落城并人質引替の事

巻九
伊達輝宗、二本松の為に生害さるるの事
二本松合戦の事
佐竹勢、伊達・安積出陣の事
安積合戦の事
佐竹・伊達両軍帰陣の事
畠山国王丸、渋川城を攻むるの事
箕輪舘騒動敗北の事
小瀬越中守、高名の事
二本松後詰合戦、同く落城の事

巻十
大山義氏、滅亡の事
蕨野合戦の事
千安合戦の事
最上、山北と境目に於て合戦の事
天正十四丙戌年五月八日の有屋峠合戦
最上東根合戦の事
本庄重長由緒の事

巻十一
大崎騒動、新田籠城の事
伊達政宗、大崎義隆を攻むるの事
伊達上野介、黒川月舟に頼るの事
長井・泉田、大崎の為に人質に取るるの事
長井月鑑・泉田安芸守が事

巻十二
土崎湊落城の事
小野寺、秋田と合戦の事
羽川小太郎、神宮寺八幡宮に願書を捧ぐるの事
羽川義稙、夜討強盗を為すの事
羽川義稙、山路に迷ふの事
保呂羽山権現縁起の事

巻十三
田村清顕卒去并原田盗人を討つの事
鮎貝落城并政宗、大崎発向の事
二本松返攻、苗代田合戦の事
二本松再び返攻、玉の井合戦の事
大内兄弟、米沢に降参の事
会津・須賀川両勢、安積表に働くの事
三春騒動の事
相馬抱築山・小手森・石沢落城の事
大越合戦の事

巻十四
南部信愛加賀国に行くの事
斯波安芸守、没落の事
津軽乱逆の事
大光寺合戦并津軽政信病死の事
浅利父子滅亡の事
秋田実泰妖怪を討つの事
南部信直、秋田比内を攻るの事

巻十五
佐竹、伊達と安積合戦付岩城・石川扱の事
佐竹・伊達の和睦破るゝの事付阿子島・高玉落城の事
三春合戦付新地・駒ケ嶺落城の事
猪苗代盛国父子不和の事
政宗、猪苗代出馬の事
会津摺上坂合戦、同じく落城の事
奥州太平落城の事
門沢落城 常盤合戦の事
大越紀伊守生害の事
山内刑部少輔討るゝの事

巻十六
五城目兵庫心変り、比内落城の事
津軽右京亮、波岡城を攻落すの事
秋田城之介、比内返攻の事
浦村五郎、叔父九郎に討るゝの事

巻十七
須賀川落城の事
須賀川後室の事并諸城主政宗に降るの事
政宗、須田美濃二郎を殺すの事付妹を助くる事
須田美濃守、飛脚を矢部・保土原に遺すの事
赤舘合戦の事

巻十八
最上勢、山北境を攻破るの事
御返事・合川落城の事
由利十二党の事
仁賀保・矢島確執の事
矢島、夜軍に仁賀保明重を討つの事
仁賀保二郎安重生害の事
仁賀保宮内少輔生害の事
仁賀保八郎、矢島に討るゝの事
仁賀保兵庫頭、矢島と合戦し、和睦するの事
仁賀保の馬、神罰の事
矢島満安、仁賀保城辺に出陣の事

巻十九
羽柴関白由来の事(略)
関白相州御下向并奥羽軍勢馳参ずるの事
北条持数ケ城合戦の事(略)
南部信直訴訟を達せざるの事
伊達政宗、関白の御不審を蒙るの事
関白、小田原城攻を東国武士に問はるゝの事

巻二十
箭田野藤三郎義正武勇の事
小田原落城の事(略)
関白奥州御進発の事
奥州御政道の事
岩城家督并箭田野・黒川・国分が事
箭田野義正、政宗に降るの事

巻二十一
木村伊勢守、一揆の為数ケ城を落さるるの事
和賀・稗貫一揆蜂起の事
蒲生・伊達・大崎一揆を攻むるの事
木村父子、佐沼城より名生に来るの事
浜田・黒沢人質問答の事
須田伯耆守、政宗を讒するの事
浅野の下着、氏郷・政宗和睦の事

巻二十二
九戸左近将監政実、一揆を起すの事
諸国軍勢、九戸誅罰の為、奥州に入るの事
和賀落城の事
薩摩守最後の事
鳥屋ケ崎落城の事
姉帯・根曽利落城の事
鯖内坂合戦の事 
浄法寺口合戦の事

巻二十三
政宗、大崎・葛西一揆退治の事
九戸合戦の事
九戸落城の事
三好・徳川両将、暫く陸奥に御逗留の事 

巻二十四
子吉合戦、矢島敗軍の事
矢島与兵衛心変りの事
矢島与兵衛父子最期の事
矢島落城の事
西馬音内勢、矢島に後詰の事

巻二十五
秀吉公朝鮮攻評議付北畠殿遠流の事(略)
太閤洛陽出陣、名護屋御動座の事(略)
朝鮮加勢并黒田・浅野上使の事(略)
晋州落城の事(略)
伏見御普請の事(略)
関白秀次公御生害の事(略)
最上義光・伊達政宗閉門の事
伊達安房守成実牢浪の事

巻二十六
八柏大和守討るゝの事
湯沢落城の事
原田大膳、岩崎城を乗取るの事
岩崎合戦、六郷一味の事
矢島五郎最期の事
矢島諸臣滅亡の事
矢島満安が女の事
矢島三右衛門十五歳の時、働くの事

巻二十七
小野寺、湯沢城返攻の事、付岩崎合戦(城攻)の事
山北馬倉落城の事
山崎藤十郎・小栗宮内、高名公事の事
稲庭・川連・三梨落城の事
稲庭、杉宮明神に祈るの事付甘糟(数)の事
羽川、楢岡に於て敗北の事
羽川落城の事
豊島落城の事
豊島、太平城を攻むるの事
西馬音内、武略を以て人質を奪返すの事
小野寺一門、所々の城返攻の事

巻二十八
伏見御普請、太閤御逝去の事(略)
朝鮮軍勢帰朝、付切支丹国の事(略)

巻二十九
山北徒党、大谷郎党を討つの事
奥羽軍勢、大谷を見次の事、付先陣軍の事
大森合戦の事
横堀一揆合戦并武太助最後の事
伊達三河守盛重落城の事
仙台築城の事

巻三十
石田三成、表諸将中騒動の事(略)
上杉景勝の上洛を催促するの事(略)
家康公、会津退治の為御下向の事(略)
大谷刑部小輔、石田に頼らるゝの事(略)
加賀の野江弥八郎、江戸に下るの事(略)
加賀野江、水野和泉守を討ち帯刀に討るゝの事(略)

巻三十一
奥羽加勢、山形に来り、同じく帰陣の事
津軽・戸沢・六郷、関ヶ原に馳上るの事
白石落城の事
福島合戦、甘糟働くの事
最上勢、畑屋落城の事
簗川合戦并政宗、須田に褒美を賜ふの事
長谷堂合戦、付鮭登働くの事
鳥海勘兵衛書置の事

巻三十二
上の山合戦、会津勢敗軍の事
長谷堂口へ会津勢敗北の事
谷地合戦、下治右衛門最上に降るの事
義光、田川、飽海を切取るの事

巻三十三
矢島旧臣等、笹子・赤舘合戦の事
最上勢、山北出陣、法領が舘を攻むるの事
慶長五年大森合戦の事
山北吉田合戦の事
柳田落城の事
馬倉に於て最上勢敗北の事
田子内の城堅固に持つの事
最上勢帰陣、付柳田童男女を害するの事

巻三十四
関西・北陸道徒党敗北十九箇条の事(略)
 一 伏見落城の事
 二 大津落城并勢州数ケ城の事
 三 信州真田合戦の事
 四 加州大聖寺合戦の事
 五 同、小松合戦の事
 六 丹後(波)田名部合戦の事
 七 関東先手衆合戦の事
 八 岐阜落城并瑞竜寺落城の事
 九 石田合戦付大垣合戦并岡鼻推の事
 十 関ヶ原合戦并大谷生害の事
十一 戸沢・六郷合戦の事
十二 吉川・脇坂・小川・朽木の事并藤堂、島を討つの事
十三 忠吉卿軍功付敵方戸田・平塚并本多の事
十四 関ヶ原敗軍、大谷、吉川陣に来るの事
十五 岡鼻合戦の事
十六 沢山落城并長束没落、勢州数ヶ城落るの事
十七 津軽・水野、大姉城を落すの事
十八 石田・小西・安国寺虜られ死罪の事
十九 内府公御政道の事

巻三十五
和賀薩摩守滅亡、付嫡子又二郎、二男又四郎の事
和賀主馬介の勧に依り、所々に一揆蜂起の事
南部領境谷瀬・安俵城に一揆寄するの事
安俵小五郎、一揆を起すの事
鳥屋ケ崎夜討の事
和賀主馬介敗軍の事
和賀主馬介、岩崎籠城并南部働きの事
南部利直、再び岩崎城を攻むるの事
和賀主馬介、討るゝの事
南部、岩崎城代の事
筒井縫殿助討たるゝの事

巻三十六
戸沢妻子、関東に上るの事
上杉景勝訴訟の事
小野寺遠江守義道流罪并先祖の事
秋田城之介国替の事
佐竹義宣、国替の事
由利、山北所替の事
秋田郡阿仁・比内一揆蜂起の事
山北一揆蜂起の事

巻三十七
最上義光、嫡子義安を討つの事
里見権兵衛の事
最上義光、騎馬揃の事
狂歌の事
二条御城に於て、家康公、秀頼公と御対面の事
鮭登左衛門尉頓死の事
鮭登左衛門佐万覚書の事
鮭登越前守書伝の事
奥羽両国名有る陪臣の事
新田十助夢の事
義光病死、里見の徒党等死罪の事
一栗兵部少輔逆心の事
一栗、不吉な狂歌をよむ事
力丸所左衛門が事
最上家親、舎弟清水を討つの事

巻三十八
秀頼公御謀叛大坂籠城の事(略)
片桐市正、関東御味方に参る事(略)
岸和田・尼ケ崎城の事(略)
秀頼公諸国廻文の事(略)
諸国軍勢大坂へ馳登るの事(略)
織田雲生寺の事(略)
大坂郎等南条の謀叛露顕するの事(略)
景勝陣場物見付屋代甚三郎高名の事(略)
米沢景勝、鴫野合戦の事(略)
佐竹義宣、今福合戦の事(略)
御船奉行中相働くの事(略)
石川主殿頭忠綱軍忠の事(略)
蜂須賀阿波守陣へ夜討の事(略)
天王寺合戦事(略)
大坂御和睦の事(略)

巻三十九
大坂御和睦破るゝの事(略)
将軍御父子御上洛の事(略)
大坂勢南方に働くの事(略)
五島又兵衛尉討死の事(略)
渡辺勘兵衛尉武勇の事(略)
真田、片倉と諍合ふの事(略)
大坂落城の事(略)
秀頼公御自害の事(略)
新田十助、直江の事を夢見るの事
最上源五郎改易の事
郎等共、諸国預と成るの事
庄内城主数代替るの事付御静謐の事

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