教育・研究
2018年刊

脳と自我
意識・夢・進化
苗村 育郎(なむら いくろう)
A5判・494頁 定価4200円+税
ISBN 978-4-89544-647-1

「意識する<私>とは誰なのか」
自我と思考の起源はどこにあるのか。生命の歴史と進化論を背景に、最新の医学、生物学、哲学の学説も駆使し、「自我の起源」を考察する。

冊数

序論; 進化論と生物学から意識と自我を探る
第一部 ヒトにおける自我と思考
第一章 総論;命の進化からヒトの文明まで
1.脳と意識の進化の素描
2.意識、本能、社会性
3.意識の基礎を脳に問う困難さ
4.個人の資質と個性
5.世界像に対する科学の衝撃

第二章 ホモ・サピエンスへの遠い道のり
1.ほ乳類の出現
2.サルの人間性;猿人・原人・旧人
3.ヒトの言語と前頭前野
4.動物と人間の意識;自我と主体
5.パターン認識と脳の構造

第三章 ヒトの思考の起源に向かって
1.「スイカ細胞」とイデア論
2.「作話世界」の成立
3.人の自己意識と脳
4.記憶システムの秘密
5.数学と論理学;合理性の根拠

第四章 ヒトの意識とその構造―精神医学の到達点
1.医学による意識様態の区分
2.意識の主観的様相と性格学・衝動論
3.意識の起原について―精神医学からの再論

第五章 自我とは何か-"私"とは誰か
1.歴史の回顧;古代エジプトから自我心理学まで
2.自我と自己意識の一般的検討;医学的データ
3.中枢性「自己感覚」の問題
4.自我の成長と自我心理学と言う作話
5.眠りと夢で活動する"私" の本性

第六章 夢と自我と作話
1.REM睡眠の進化論的意味
2.自己の統一と夢の作業
3.時と記憶の構造化:作話とリハーサル
4.作話の起源とその展開
5.夢の作話機序
6.夢と思念の類型

第二部 生命の進化と脳の誕生
総論 生命と意識
第一章 生命の進化;細胞の共生と合体
1.生命の発生と細菌の世界
2.シアノバクテリアと酸素型生命
3.コラーゲン問題
4.植物界と細胞共生
5.リン・マーギュリスと細胞内共生説
6.分子系統学の時代;バクテリオロドプシン
7.巨大ウイルスの投げかける問題
8.トランスポゾンとプラスミド;DNAの水平伝搬

第二章 細胞単位で見る意識の地平
1.ゾウリムシに意識はあるか
2.プラナリアの不思議な記憶
3.ゴカイの意思と攻撃性
4.眼の進化 ― "喰らい合う世界"の出現
5.諸感覚の処理と意識の成立
6.多細胞化と神経系への準備
7.ボルボックスと群体生物;細胞接着の機序

第三章 神経系の初期段階
1.神経系への道;海綿からナメクジウオまで
2.海綿の世界;その生態と進化論上の位置
3.ホメオボックス遺伝子
4.クラゲの世界;散在神経系
5.動物と植物の共生が「眼」を造った
6.アノマノカリスとカンブリア紀の生物爆発

第四章 神経節の進化と脳の出現
1.神経節から脳に向かって
2.線形動物C.elegansの記憶と学習機序
3.脳と意識の始まり;原索動物へ
4.高等動物の脳へ向かって

著者について
昭和25年 兵庫県高砂市にて生まれる
昭和44年 京都大学入学
昭和46年 京都大学中退(文学部)
昭和52年 神戸大学医学部卒業
東京大学医学部精神科研修医
昭和57年 厚生労働省国立精神・神経センター研究員
昭和60年 米国NIH留学
昭和62年 秋田大学精神科助手
平成3年 秋田大学保健管理センター講師
平成10年 同センター教授・所長

著書
2015年『自殺の内景─若者の心と人生』(無明舎出版)
2016年『殺意の内景―精神鑑定の現場から』(無明舎出版)

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