んだんだ劇場2007年1月号 vol.97

No8−あっという間の年の暮れ−


いやはやもう師走ですか……
 いやぁ、12月ですよ、まったく。早いというか(時間が)ダラダラしすぎというか(自分が)、ちゃんと1年間の反省をする時期がやってきてしまいました。この1年どんな出来事があったか、瞬時には思い出せない、というのがなんとも悲しいのですが、来年からはそんなことがないようにちゃんと手帳を使おうと12月から書けるH手帳をすでに試しています。手帳も携帯電話も持たずによく仕事ができますね、とよく言われますが、そんな不便はありません。むしろ「ある」ほうが、何かと縛られて身動きがとりにくいような気がするのですが、どんなもんでしょう。いずれ今年1年の反省というか総括のようなものは書き記しておくつもりですが、とりあえず夏以降は引きこもりから脱却、珍しいほど外に出て世間の風に吹かれまくった半年間でした。心境の変化といったほど大げさなものではありませんが、身辺に次々と起こるプライベートな出来事が仕事よりも大きなウェートを占めるようになった、のが遠因かもしれますせん。昔はどんなことよりも仕事を最優先にしていたのですが、年齢や仕事環境の変化などから最近は「自分」を優先させるように努力をしています。いやはや。書きたいことはいっぱいあるのですが、気が競っているのかうまくまとまりません。今週はこれでオシマイ。
来年の手帳です
よく行く喫茶店で一心不乱に受験勉強する学生

盛岡と仙台に行ってきました。
 週末に盛岡、仙台に行ってきました。本命は仙台でのある著者の受賞パーティに出席するのが目的だったのですが、ついでに盛岡に途中下車、昔の友人と久しぶりに旧交を温めてきました。友人は同年代で古本屋さん。彼が起業するとき先輩ぶって(古物商の免許を持っているので)いろいろアドバイスした経緯があります。ネット販売もやらず、外商も止め、年老いた母親の介護をしながら店を続けていると聞いていたので、励ましに行ったのですが、元気で一安心。本は売れない、郷土史の需要は高齢化で冷え込み、大型古書店は進出するわで、いいことはないのだが、まあ、どうにかここまでやってこられたから満足だ、と終始笑顔でした。夜は仙台の受賞パーティに出席。その会の目玉として民俗研究家・結城登美雄さんの講演がありました。この講演を聴くのも目的のひとつだったのですが、会が終わると当の結城さんと二人抜け出し深夜まで語り明かしてしまいました。あるホテルの最上階のバーでウィスキーを飲みながら、静かでゆったりと流れる時間に身を任せ、久しぶりに二日酔いです。なるほど繁華街の人気のある居酒屋で大声を出しながら飲むのも楽しいですが、ホテルのバーというのも小生の年齢からすれば「アリ」ですよね。このホテルのバーは結城さんが広告代理店をやっていたころ「食堂」がわりに使っていて、深夜、仕事が終わると社員たちと毎晩のようにここで酒を飲み、食事を取っていたそうで、「バブルって恐ろしいね」と大笑い。結城さんは繰り返し繰り返し、柳田国男と宮本常一の本ばかり読んでいるそうで、「柳田はすごい、大変な人だ」を連発、夜は静かに過ぎていきました。
結城さんの講演

新刊、近刊、目白押しの年の暮れ
 4回目の冬のDM出しが終わった。これで年末の大きな仕事が片付いたわけだが、さて売り上げはいかに。ま、あまり大きな期待はしないでおこう。新刊の特徴は「岩手もの」が多いことだろう。『写真集 花輪線』『写真集 釜石橋上市場』が新刊で、『岩手の滝』『日帰り 岩手の温泉』が来年2月に出る。同じテーマや地域の本が立て続けに出るのは、わが舎の伝統的怪奇現象(?)なので驚きはしないが4冊すべてが写真集かヴィジュアル本でなおかつ岩手ものというのはちょっと珍しい。こんなことはこれまでもなかったなあ。異例といえば来年早々1月の新刊は4冊。1月という時期に新刊が4冊も出るというのは近年なかったことである。そのラインナップは、秋田の児童文学者たちの作品集『空を飛んだきつねとたぬき』、小説集『風のしおり』、先にあげた『釜石橋上市場』そして月末に復刻版『訳万葉』という大きな本が出る。この『訳万葉』はHP紹介を見てもらえれば詳細がわかるとおもうが、昭和30年に刊行されて話題になった万葉集全首の口語訳。音の数、行数を違えず、韻律をそのまま踏んで口語訳したというすさまじいもので、当時、大舘氏在住の高校教師で万葉研究者の手で私家版が出され、それを筑摩書房がすぐに単行本化、後に日本古典文学全集にまで収録したのだが、単独ではもう入手不可能な「幻の本」なのである。定価が12600円と個人ではなかなか手が出せない高価なものだが図書館や公的機関ではぜひ1冊常備して欲しい本。限定300部なのでご注文はお早めに。
花輪線
釜石橋上市場


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