No10
生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
[八塩山―713m(東由利町) 2012年11月28日(水)]
 八塩山は大好きな山だ。5,6年前に山登りを再開したとき最初の1年間はみんなについて行くのがやっとだった。これがいったい愉しみなのか、修行と同じ苦行なのか、わからない山行が続いた。そんなとき八塩山に登り、山歩きの楽しさに目覚めた。いわば苦行から脱した山なのである。以来、7,8度この山に登っている。それもひとりか、冬の山が多い。
 今日は週末ではなく平日。山仲間には定年退職した悠々自適の方が多いのだが、還暦過ぎても現役の人もいる(私もそうだが)。そうした人に配慮してできるだけ週末の登山を楽しんでいるのだが、時にこうした平日登山も催している。
 朝は7時集合、登山口は3か所あるが今日はポピュラーな風ぴらコース。下山はルートを変えて鳥居長根の急峻コースを選んだ。
 登りは1時間半、下りは30分。天気予報は午後から雨だったが、ずっと晴れていてくれた。頂上付近の「鳥海山眺望場」では頭は雲に隠しながらも隣の稲倉岳とともに鳥海山がその威容を惜しげもなくさらしていた。
 最近、なぜか先頭を歩くことが多い。今日は雪なのでラッセルなので、けっこう疲れた。でも先頭の余禄もある。新雪につけられた動物の足跡を一番先に見つけることができる。カモシカやウサギの足跡がいっぱい。途中の急峻な登りでは、30メートルほど先に、大きくて真っ白なウサギを発見した。山頂ではキツツキのようなホシガラスを至近距離で目撃した。先頭は疲れるけど福もあるのだ。
 ダイエットを始めて、体重は2キロ前後の減少でとどまっているが、それでも以前に比べて身体は格段に軽いのが、山に行くとよくわかる。まあ、とにかく晴天の山はそれだけで気持ちがいい。
 昼食は山頂のあずまやで。とにかく立ち止まったとたん冷気が足先や指先に這いあがってくる。小さな使い捨てカイロが雪山の必需品。これを手袋の中に入れて冷えを防ぐ。コッヘルで湯を沸かしインスタントラーメンを食べる人が多いのも雪山の特徴だ。冬はおにぎり派が圧倒的に少なくなる。最近話題の袋めんを持ち込み具のネギやキャベツ持参の人もいた。うまそうなのでおすそ分けをもらったが、山頂でラーメン屋に行った気分になったほどうまい。今度は自分でも持っていこう。下界ではほとんど行くことはないが山頂のラーメン屋は楽しそうで食欲倍増だ。

山頂からは鳥海山と稲倉が

登山口の案内板がわかりやすくて、いい
 温泉は黄桜温泉「湯楽里」。暑い夏山の後も気持ちいいが、寒さの後の温泉はこたえられません。ここの温泉は、浴槽が大きく清潔で好感度大。お湯も無色透明、匂いなし、洗い場も広い。欠点は露天風呂がないこと。すぐノボせてしまう性質なので、最初に露天風呂に入る癖がついているのでザンネン。
 温泉の隣の直売所で掘り出し物を見つけた。渋い毛糸のスキー帽が食料品売り場横で売られていた。不用意に食材を買い込むのはカミさんに禁止されているがスキー用帽子は前からほしかったもの。デザインも色も自分のイメージにぴったり。何より驚いたのは値段だ。200円である。税込みだ。バーゲンというより投げ売りのようで、大量に積まれている。食料品や薬品の横にポツンとザルに入った帽子がでんこ盛りになっている異様さ。すぐに買うと、仲間たちもその安さに驚いて続いた。次回からの山行には全員この帽子で参加することを決めた。モモヒキーズの制帽である。
 家に帰るとまだ4時前。またいつものメンバーで事務所宴会。駅前のスーパーに買い出し。Sシェフはアナゴ煮、サケ焼き、ワラサの刺身などを家で下ごしらえして5時からはもう酒飲みがはじまる手際良さ。宴会に必要な調理用具や皿、基本食材はすべて和賀事務所に完備。あれがない、これを買ってこいといった不首尾は一切ない。ってそんなことエバってどうする。仕事場なのにほとんど宴会場も兼ねている。そして不思議な事だが、宴会をするたびに仕事場はどんどんきれいに清潔になっていく。調理道具も事務所も、実は使えば使うほど、洗練され汚れが取れ、きれいになっていくのだ。いや、これは自己弁護ではなく本当のこと。

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●No.1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No.2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No.3 白神のブナの森を彷徨う
●No.4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No.5 巨木の森で、雨に追われて
●No.6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No.7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No.8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No.9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山

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