No.101
花見登山は本当だった三山縦走
[姫神山(388m・大仙市――2015年4月12日)]
 毎年この時期になると大曲のMさんから「花を見に来ませんか」と連絡が来る。秋田県内の山では、大仙市にある西山こと伊豆山・神宮司嶽・姫神山の3山が、最も花が早く咲く地域でもある。一番早いといわれる男鹿の山々よりも花の種類は豊富で、花好きにはたまらない山塊なのである。今回はモモヒキーズから3名が参加、他流試合を楽しんできた。
 天気にも恵まれた。いつものように姫神公園レストハウスをスタート。伊豆山鳥居から入山し一つ目のピークである伊豆山神社まで一気に駆け上がる。といってもものの30分ほどで一つ目のピークは制覇。
 ここから神宮寺嶽までアップダウンを繰り返し往復するのだが、このアップダウンがなかなか。じんわりと後半ボディブローのように足腰に効いてくるハードさだ。
 往復を終え、いったん車道のある場所まで下山、そこで遅い昼ご飯を食べた。昼食後、いよいよ今日のハイライトである急登を登り、名もない山をひとつ越え、3座目の姫神山(大平山)にたどり着く。最後の山が一番きついのに、その前にトレーニングのように2座を制覇しなければならないのだ。
 だから3座目では体力を使い果たしヘトヘトなのだが、ここが正念場だ。標高が低いといっても長時間の歩行は疲労を蓄積させる。
 ようやく頂上にたどり着いても、この姫神からの下山コースがまたきつい。いたるところに下山用ロープが設置されていることからもそれがわかる。
 けっきょく出発したレストハウスに戻ってきたのは登り始めから7時間余。この7時間はほぼ歩きっぱなし。小さな山とはいえ鳥海山並のハードさなのだ。

イワウチワと川の合流

タヌキの糞にフウセンが混じっていた
 まるで罰ゲームみたい、とこの登山を称する人もいるが、これもひとえに「花の魅力」のなせる仕業なのだ。3山それぞれに花の名所があり、楽しめるようにガイドの方は苦心しているのだ。イワウチワの群生やシュンラン、エンレイソウ、オオバキスミレ。サイハイランは初めて見た。
 なるほど「花見登山」という言葉に誇張はない。
登り始めにしてからウスバサイシンがいっぱいだった。この葉の裏に卵を産む習性のあるヒメギフチョウに会えるかも、と期待していたら、本当に出会えた。あのタイガース縞の可憐なギフチョウが乱舞していたのだ。
 下山途中の展望台からは雄物川から魚を捉まえて巣に戻ってくるミサゴまで目撃した。猛禽類のワシタカ目、しかも漢字では「魚鷹」と書く鳥が、まさに川から魚を捕えて飛ぶ姿を目撃できたのだから、眼福である。
 温泉は「嶽の湯」。広々としてここもリラックスできる温泉だ。お湯で身体があったまると、帰りの車中は助手席で涎を垂らして寝込んでしまう。

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