No.105
爆睡の快感のために宝蔵岳のクサリ場をよじ登る
[太平山奥岳(1170m・秋田市――2015年5月24日)]
 太平山の奥岳は岩崎元郎が47都道府県から必ず一山をいれる条件で提唱した「日本の百名山」に入っている。標高が低くても山登りの喜怒哀楽を十全に体現できる魅力的な山だからだろう。高山ではないのにきつい。これが奥岳の印象だ。高山に登るためのトレーニングの山、として名前を挙げる人も少なくない。
 今回はいつもの旭又コースのピストンではなく宝蔵岳コース。下山はいつも通り旭又コースを下りてくる周回コースだ。
 この宝蔵岳経由の登りは初めて。下山したことはあるが登るのは初体験だ。急坂が続くが、登山道は歩きやすい。ほどよくクッションの効いた土と草の道が続く。旭又コースのように石と根っこだらけの道と正反対なのだ。これだけでも十分好印象だった。宝蔵岳では野田口から一人で登ってきたモモヒキーズメンバーのSさんとバッタリ。いつか野田口にも挑戦してみたい。

山頂にはわずかに雪が

太平山名物ヒメシャガ
 先日の鳥海山のハイペース自滅を避ける意味もあり、今回はゆっくりペースを最後まで貫くことにした。それが功を奏した。最後まで疲労感を感じなかった。きつい坂になればなるほど歩幅を狭くし、ゆっくりとおだやかな気持ちで足元を見ながら1歩1歩。途中にはヒメシャガの群落がいたるところにあり目を楽しませてくれた。山頂直下には宝蔵岳名物の弟子還のクサリ場がある。県内でこれだけのクサリ場があるのはここだけだ。北アルプスの大きな山を登っているような気分になる場所だ。
 4時間ちょっとで山頂へ。ハードな山にもかかわらず疲れも痙攣もなく登れたことに満足感がわいてくる。そうか、山登りは「ゆっくり」が基本だ、と改めて思った。
 下山は2時間半。石と根っこがむき出しの本当に歩きにくい旭又は下山の消耗度がひどい。
 珍しく前夜ほとんど眠られなかった。夜中の3時半に目が覚め、もう眠られない。外が明るくなったと同時に起きだし近所のコンビニで買い出し。朝ごはんと山頂のランチおにぎりを買う。眠られなかったが食欲はなぜか朝から全開だ。ナポリタンのスパゲッティをチンしてペロリ。ふだん炭水化物を意識してとらないようにしているせいか、これはうまかった。スタミナの元グリコーゲンをたっぷり蓄えさせてもらった。
 下山途中ではストレッチも試みた。登る前にはストレッチするのだが、下山途中というのは珍しい。これはSリーダーが「いい」というので試してみた。もしかすると快調さの原因はこの辺にあったのかもしれない。
 温泉は「ざぶーん」。温泉に入ると帰りの車中は爆睡。夜十分に眠られなかったときは特にひどい。助手席に座ったとたん睡魔が襲ってくる。家に帰ると事務所の2階でビールとちょこちょこ肴を作り、後は寝るだけだ。山登りの後の愉しみは10時間以上爆睡する「睡眠の快感」だ。

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