No.115
見納めの紅葉、シカとは会えず
[焼山(1366m・秋田県鹿角市――2015年10月18日)]
 10日前の栗駒・秣縦走の紅葉は1週間ほど時間を見誤った。遅かったのだ。もう一度目の覚めるような紅葉の中に身を浸したい、と八幡平・焼山に挑戦することにした。
 栗駒よりも北に属し、標高もそれなりに高い山なので無理は承知だ。実は山よりアプローチの紅葉が見事なのだ。案の定、八幡平に入る鎧畑から玉川ダムにかけての国道341号沿いの紅葉はまだまだ盛んで、いつもながら十分目を楽しませてくれた。
 去年はここからさらに八幡平に上がっていく路上で、先頭車がシカを目撃。後続の私は見逃し悔しい思いをした。今回は目を皿のように車外を注視していたのだが空振り。秋田県内でシカを見てから死にたい、と今も真剣に思っている。

 今日は後生掛温泉からべこ谷地を通って湯ノ沢、鬼ケ城を巻いて避難小屋。そこから一挙に頂上に。団体の登山客もいたのですぐに下山を開始し、眺めのいい途中でランチ。
 下山は登りとは違う毛せん峠、国見台を経て後生掛温泉に戻ってくる6時間半のコースだ。
 山頂は荒涼とした風景で硫黄の臭いが鼻をつく。紅葉もあらかた終わっていたが、そのなかでナナカマドの赤い実だけが、この世の色と思えない輝きを放って、存在感を示していた。雲一つない澄んだ青空に深い朱色が不気味なほどだった。

新しい登山靴

こんな青空でした
 山頂からは玉川温泉もよく見えた。年1回はこの時期に焼山に登るようになったが、よく考えるとよく登るようになったのはこの3,4年前からだ。6,7年前、一人で来たことがあったが、その時は焼山への登山道は「閉鎖中」だっった、後生掛から登って焼山を横目にトラバーしたことを思い出した。
 急峻やハードな個所はないが、岩場がけっこう多い。今日から新しい登山靴なので履き心地を試すには絶好のロケーションだ。
 さすがに靴擦れができてしまったが、指への圧迫はなく、特に岩場が歩きやすい。いつも下りの岩場に体力を奪われてきたが、この靴なら大丈夫そうだ。よかった。
 温泉は玉川温泉「湯冶館そよ風」。去年は間違えて源泉に近い風呂に飛び込み、全身「傷口に塩」状態になり往生したのを思い出した。今回は慎重に弱酸性の風呂を選び、長湯はせずに素早く上がってきた。それでも帰りの車中は身体のいたるところがピリピリ。新しい登山靴でできてしまった靴擦れにしみこんだやつは強烈で、寝床に入っても痛みは続いた。強酸性のお湯は苦手。もう勘弁してほしい。

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