No.116
アラレ舞い寒さでブルブル宝蔵岳
[太平山(1170m―秋田市仁別・2015年10月25日)]
 今年最後のハードな山登り。11月にはいれば秋田の山はもう雪だ。雪が降ると登山道は隠れてしまう。登山道のある山は逆に危険になるから登らない。逆に雪が降ると、もっぱら夏道もない麓から頂上の見える小さな山に登るようになる。夏場はやぶだらけで、モノの1時間もすれば登れてしまうような「とるにたらない山」こそがスノーシューを履いた雪山ハイキングの「主戦場」になるのだ。
 太平山は秋田市内にある地元の山だがけっこうハードだ。個人的には神室山、鳥海山、和賀岳につづくナンバー4にはいる難易度と思っている。
 今日は旭又から宝蔵岳に入るコースで、正常ルートよりもさらにハードだ。急峻が続き、後半は鎖場が連続する。休むところのない初心者にはきついコースだ。
 さらに今日はあいにくの曇り。登り始めから小雨模様、昨晩ずっと雨が降り続けていたので足場も悪い。登山口からレインウエアーを着用し、一度も脱がずに下山した。

山が暗い

山頂小屋は冬準備
 天気は良くなかったが、もうすっかり木々の葉が落ちて眺望がすばらしい。ふだんは木々に囲まれて周りの景色が全く見えない山なのだが、この季節ならではある。山頂付近でいたるところに「なめこ」を発見、そのたびに山歩きは中止になるのだが、風が強くとにかく寒い。山頂付近ではついに「あられ」までが降り始めた。立ち止まると寒さが足元から這い上がってくる。指の感覚がなくなりかけたが、どうにか3時間半かかって山頂へ。
 山頂の山小屋は火気厳禁。バーナーを使ったラーメンは食べられないことが分かり、がっくりする。稲荷ずしを2個口にして、とにかく寒さから逃げるために、下山。歩いていると寒さはそれほど意識しなくてすむ。
 下山は正常ルート(旭又)を降りてきたが岩と石、木の根っこだらけでテクニックのいる登山道だ。この歩きにくい旭又に比べ、登りの宝蔵コースは急峻と鎖場のハードコースとはいっても道は落ち葉でフカフカ、歩きやすい。どちらがいいかは微妙な選択なのだ……。
 温泉は「ザ・ブーン」。服を脱ぐのももどかしいほど身体は冷え切っている。いつもは露天風呂がメインなのだが、今日ばかりは普通の熱い風呂で十分だ。じっくりと熱い風呂に浸かっていたら、まるでギリシャ彫刻のような贅肉のない美しい身体をした若者たちがドヤドヤ入ってきた。太平山前岳コースを走って登る「トレイルラン」の大会に出た若者たちだった。200名以上の参加がある全国規模のレースなのだそうで、その身体つきは陸上選手ともちょっと違う。トライアスロン系と言えばいいのだろうか。こんな寒い日に半袖、短パンで山中を駆け回るのだから普通ではない。ギリシャ彫刻になるのも当然か。風呂の中で彼らの話を興味深く聞いていたら長湯でのぼせてしまった。

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