No.122
未踏峰・大森山に遊ぶ
[大森山(315.8m・大仙市協和町――2016年1月31日)]
 前回の山が前年12月10日だから、なんと1か月半以上山とはご無沙汰だった。これはここ10年で最長不登山期間かもしれない。なにかと小さな予定が入り、それに師走の忙しさが追い打ちをかけ、山どころではない状態だった。こんなこともある。
 今年初めての山は、協和町にある「大森山」。同行者はSシェフと2人のみ。Sシェフの「偵察登山」に同行させてもらった、という形だ。
 国道48号にある「協和道の駅」の正面に聳えるのが大森山。小さな山だが、急峻な坂が頂上まで続き登山道はない。中腹までは杉の植林地帯なので作業道はある。そこから上は山が壁になってわずかに尾根が見えるだけ。山頂はその尾根のさらに先にあって見えない。かろうじて冬にはやぶが雪下に埋もれ、その雪上をトラバースしながら尾根にたどり着くしかない山だ。
 この日はスノーシューを履いてスタート。誰も登った経験はないし、ガイドブックに載っている山でもない。事前知識ゼロなので念のためにザックにカンジキも括り付けていく。坂が急になるとスノーシューはその長さがネックになり難儀する。そうなるとカンジキに履き替えると活動域がぐんと広がる。
 杉植林地帯を過ぎると一挙に坂はきつくなった。細かく細かくトラバースしながら道を切り開く先頭のSシェフのつけた踏み跡を一歩一歩呼吸を整えながらついていく。それが精いっぱいだ。すぐ目の前に尾根が見えているのだが、なかなか取り付けない。道を作りながら登るとはこういうことなのか。
 1時間半かかってようやく山頂へ。ほかの山に登った時よりも、なんだか達成感が満ち溢れている。でももう登りたくはない。

この角度、わかりますか

山頂の2人
 道のない山がどれほど大変かは、下山してみるとよくわかる。何と下山は20分ちょっと。20分ちょっとで降りてこられる道を1時間半かけて登ったのだ。
 登山口の協和道の駅の周辺には大森山のほかにも、その建物の背後に形のいい光ヶ森(313m・旧石器遺跡が発掘された)があり、大森山の横には長者森(323m)もある。いずれも登山道のない「未踏峰」の山だ。近いうちに(冬しか無理なので)この2つもやっつけてしまいたい。

 温泉は協和温泉「四季の湯」。もちろん初めての温泉だ。温泉に行く途中、荒川鉱山資料館と松田解子文学記念室のある「大盛館」に寄り、中の展示を見てきた。秋田にずっと住んでいるのに、一度も行ったことのない場所だ。山を歩いていると、いろんな勉強にもなる。

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