No.136
ピッケルとやぶ漕ぎで登る山
[鳥海山御浜小屋(1700m・山形県遊佐町――2016年6月19日)]
 5月に恒例の鳥海山祓川コース・直登雪山登山が天候悪化で8合目でリタイア。ずっとその不満というか消化不良の気持ちがくすぶっている。
 今日は鳥海山鉾立コースだ。御浜小屋まで行き、そこから上へは行かず、帰ってくるという簡単コースだ。天気もいい。暑くも寒くもなく、風も穏やかだ。登り始めが5合目で1150メートルある。駐車場はもう一杯だ。ここから6合目の賽の河原までは約1時間。ここからは雪渓が出てくる。簡単なコースといっても雪渓がいたるところにある。ここからは軽アイゼンが必要となる。上に行くほど雪質は締まり、アイスバーンもある。例年に比べて明らかに雪量が少ないが、少ない分、安定しない雪が歩きにくい。「花心」の雪形はくっきりよく見えたが、「鳥の海」の氷はほぼ解けかかっていた。鳥の海の近くまで下り、その周辺をはじめて歩いた。
 長老Aさんはピッケル持参だ。少し大げさだなあ、と思ったが、なんとそのピッケルが大活躍。最後の急斜面の雪渓でステップを切って進まなければ滑落者が出るかもしれない事態に遭遇したのだ。雪渓のある山ではピッケルは必需品だ。

「鳥の海」の氷はこのとおり

ピッケルが必要だった雪渓
 さらに最後の八丁坂の登りではリーダーが珍しく判断ミス、背丈より高いやぶ漕ぎを余儀なくされた。距離にすればわずか100mほどだが、まるで前に進まない。やぶの怖さを実感した。
 山にはこのピッケルややぶ漕ぎのような「突発的な事故」がつきものだ。
 最難関のやぶを乗り越えた八丁坂の下でランチ。ここ数回、山行のたびに弁当を作っている。おいしいものを詰め込んでいるのだが、昼はいつも食欲がない。山行の疲れのためと思い込んでいたが、普段から昼はリンゴと寒天しか食べない癖が影響していることに気が付いた。
 お昼時には腹がすかないように習慣化されているのだ。
 御浜小屋には三時間半かかって到着。いやはや簡単コースとはとんでもない。下りは二時間弱。

 温泉は象潟の「さんねむ温泉」。いつもと違う。清潔で新しく、浴場も明るい。露天風呂がないのが残念だが、洗い場は腰板風に間仕切りがあり、洗い場だけでいえば秋田ナンバーワン。ここは初めてではないのだが、前に来た時のことが思い出せない。日帰り温泉ベストファイブに入るところなのに、過去の記憶がないというのは情けない。

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