No.197
樹氷と青空の、一生ものの景観
[森吉山(北秋田市・1454m・2019年2月24日)]
 今日は森吉山樹氷ハイキング。唯一で県内で樹氷を見られる場所だが(八幡平は岩手県なので)、暖冬のせいか樹氷はやせ細ったものばかりらしい。直前までリーダーのSシェフは「樹氷がダメなら行き先を変更します」と言っていたが、「ダメな樹氷も見るのもいい勉強になる」と意地悪な反論を持ち出し、森吉山にこだわったのは私だ。
やはりこの時期は、できれば森??山の樹氷と対面したかったし、アオモリトドマツ(オオシラビソ)の枯死と樹氷の因果も、できれば自分の目で確かめたかった。
 森吉山は予想外の好天候だった。スキー場も超満員の盛況で、阿仁ゴンドラに乗り20分、山頂付近はきりりと冷え込んで雲ひとつない。空の青みは高度を増すごとに凄みを増し、雪はあくまで白く、スキー客たちのカラフルなウエアーがそのコントラストに華やかさを添えていた。原色だけが存在を許される、まるでヨーロッパアルプスの映画のような風景だ。

樹氷の中を行く

避難小屋の凍てつく神社
 確かに例年に比べて確かに樹氷への着氷は薄く、時にまだらに木の肌が露出したものもある。でもそれも高度を増すにしたがい、気にならなくなった。去年は来ていないが、二年前の樹氷はもっと太っていたのは間違いない。これがオオシラビソの枯死した葉っぱと関係があるのか、早く関係者には解明してほしいものだ。
 今日は新しいスノーシューとそれ専用のウインターブーツの履き初めでもあった。実に履き心地がいい。先日、仙台のモンベルでスノーシューを物色しに行ったとき、「秋田では雪山はスパイク長靴で歩くのが定番」と若い女性スタッフに言うと、彼女は怪訝な表情で無言になった。どうやらまったくスパイク長靴なるものを知らないようだ。そのモンベルが美郷町に出店が決まったと地元紙が報じていた。町ではモンベルと包括連携協定を結び、一般会計で1億円の補助を出すことに決めたらしい。

 ランチは誰もいない避難小屋(2階の窓からはいる)。外はたぶん零下10度近い冷え込みなのだが小屋の中はマイナス1度。快適なランチを楽しんだ。
 このまま下山するのも惜しくて、スキーリフト横の観光ハイキングコースも周ってきた。1秒でも長くこの場所に居たかったからだ。人生で何度も経験はできない青空(蒼空といったほうがいいかも)の中のスノーハイキングだった。
 温泉は小倉温泉。脱衣場の狭さに相変わらず閉口するが、泉質は自分に合っているし、それ以外の建物の設備などはシンプルで、居心地はいい。本当は内陸線の阿仁前田駅に併設されている「クウィンス森吉」に入る予定だったが、スキー場からの帰り道を1本間違えてしまい温泉にたどり着けなかった。まあ、こんなこともあるさ。

backnumber  ◆ Topへ