No.210
女岳とマラソン中継
[秋田駒・女岳(仙北市田沢湖町 1521m・2019年9月15日)]
 9月は3連休が続けて2週ある。70歳になる身としては休みが増えてもうれしいことなど何もない。やることがなくなってしまうのだ。今回も3連休をただただダラダラ過ごすのが嫌で、予定にはなかった山に行くことにした。
 岩手県の国見温泉登山口側からSシェフと2人だけの秋田駒ケ岳だ。登山口は県内外の人でいっぱいだった。ここで「県」というのはもちろん岩手県のこと。若い人が多いのが特徴で、秋田の山で若い人や県外の人を見る機会はめったにないから、これは岩手県の県民性によるものなのだろうか。
 秋田駒は男女岳(1637m)をピークとする男岳(1623m)と女岳(1521m)の3つの山の総称だ。十和田八幡平国立公園の南端に位置している。今回は駒ケ岳群のなかの女岳登頂を目指した。 
 天気は薄曇りで絶好の登山日和だが、なにせ登山者が多い。山よりも人間が気になってしまうのが難点だ。いろんな人を追い越し、追い越され、黙々とペースを守ってのぼるうち、どうにか山頂へたどり着いた。山中には秋の風が吹いていたが、噴火口のある女岳は山自体が地下のマグマで暖かかった(いや熱かった)。

ムーミン谷を行く

山頂にて
 登りながらSシェフ夫人から、オリンピック出場をかけた男女の一発勝負のマラソンがケータイで「実況放送」されてくる。なんだかとてつもないドラマチックな展開のようだ。
 その報告に一喜一憂しながら、山に登る。なんだかいままで経験したことのない心境だ。マラソンの結果にドキドキしながら、雄大な景色の中を汗をかきかき山に登っているのである。山頂まで3時間20分、着いた頃には男子35キロ過ぎのの息詰まるレースが展開中だった。その結果を聞いてから山を下りムーミン谷でランチをとった。

 温泉は角館にある「花葉館」。電気風呂で有名だが、ちょっと苦手。運よく電気風呂はやっていなかったので、露天風呂に使ってすぐに上がる。身体を洗って、さっと湯にくぐり、脱衣所に戻ってくるまでものの10分ほどだろうか。年々、烏の行水度合がひどくなっていく。自分にはのんびりと温泉に浸かって、風情を楽しむのは死ぬまで無理かもしれない。

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